精算表
精算表は、前T/Bに決算整理仕訳を反映させ、損益計算書と貸借対照表に振り分けるまでの作業を、1枚の表に横並びにした下書きです。3級で出るのは残高試算表・修正記入・損益計算書・貸借対照表の4欄からなる8桁精算表です。
8桁精算表の構造を説明できるようになります。決算整理仕訳を修正記入欄に書き入れ、各行を損益計算書欄と貸借対照表欄に振り分けられるようになります。当期純利益が両方の欄に現れる理由を説明できるようになります。
第3問で精算表を作らせる出題は定番です。作業量は多いのですが、やっていることは単元35と同じで、それを1枚の表に横並びにしただけです。構造さえ分かれば、あとは手を動かすだけの問題になります。逆に構造を理解しないまま埋め方だけ覚えると、金額が1つずれた瞬間に立て直せなくなります。
精算表は、決算の下書きを1枚にまとめた表です
決算では、前T/Bに決算整理仕訳を反映させ、その結果を損益計算書と貸借対照表に振り分けます。この一連の作業を、横に並べて1枚の表にしたものが精算表です。
本来なら、後T/Bを作り、それを2枚に切り分けるという2段階の作業になります。精算表は、その2段階を1枚の紙の上で同時に進めるための道具です。
精算表は正式な決算書類ではありません。あくまで下書きです。それでも試験で問われるのは、この1枚を正しく埋められるかどうかが、決算の全体を理解しているかどうかとほぼ同じだからです。
言い換えると、精算表の問題は単元31から35(と単元16・18)の総合問題です。新しく覚えることはほとんどありません。
8桁精算表の構造
3級で出るのは8桁精算表です。8桁というのは、金額を書く欄が8列あるという意味です。
| 勘定科目 | 残高試算表 | 修正記入 | 損益計算書 | 貸借対照表 | ||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 | 借方 | 貸方 |
4つの欄が、それぞれ借方・貸方の2列を持つので8列です。
各欄の役割はこうです。
| 欄 | 何を書くか | 対応する単元 |
|---|---|---|
| 残高試算表 | 決算整理前の残高(前T/B) | 29 |
| 修正記入 | 決算整理仕訳 | 31〜34 |
| 損益計算書 | 収益・費用の行 | 37 |
| 貸借対照表 | 資産・負債・純資産の行 | 37 |
左から右へ、作業の順に並んでいます。左の2欄を足したものを、右の2欄のどちらかに書く。これが精算表のすべてです。
どちらに書くかは、その科目が5要素のどれなのかで決まります。収益・費用なら損益計算書欄、資産・負債・純資産なら貸借対照表欄です。単元1で確認した5要素の判別が、ここで直接効いてきます。
修正記入欄の書き方
決算整理仕訳を、そのまま該当する科目の行に書き込みます。ミナタカ商事の①の仕訳で見てみます。
① (借) 繰越商品 200,000 / (貸) 仕入 200,000
これを精算表に書くと、こうなります。
| 勘定科目 | 残高試算表 借方 | 修正記入 借方 | 修正記入 貸方 |
|---|---|---|---|
| 繰越商品 | ― | 200,000 | |
| 仕入 | 800,000 | 200,000 |
仕訳の借方に書いた科目は修正記入の借方欄へ、貸方に書いた科目は貸方欄へ。それだけです。
残高試算表欄に無い科目が出てきたら、行を追加します。繰越商品・前払費用・貸倒引当金・減価償却累計額・未払費用・未払法人税等・減価償却費・貸倒引当金繰入・支払利息・法人税等は、決算整理で初めて登場する科目です。精算表の下のほうに空白行が用意されているので、そこに科目名を書き入れます。
7本すべてを書き終えたら、修正記入欄の借方合計と貸方合計が一致することを確認してください。仕訳はすべて借方と貸方が同額なので、その合計も必ず一致します。ミナタカ商事では、修正記入欄の合計は借方・貸方とも598,000円になります。
ここが合わなければ、どこかの仕訳を片側しか書いていません。先へ進む前に必ず確認してください。
損益計算書欄・貸借対照表欄への振り分け
残高試算表欄と修正記入欄を足して、その科目の最終的な金額(後T/Bの金額)を出します。そしてそれを、右の2欄のどちらかに書きます。
計算のルールは単純です。
- 同じ側どうしなら足す(残高試算表の借方+修正記入の借方)
- 反対側なら引く(残高試算表の借方−修正記入の貸方)
ミナタカ商事の主な行を見てみます。
| 科目 | 試算表 借方 | 修正 借方 | 修正 貸方 | P/L 借方 | B/S 借方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 仕入 | 800,000 | 200,000 | 600,000 | ||
| 支払家賃 | 240,000 | 120,000 | 120,000 | ||
| 保険料 | 120,000 | 110,000 | 10,000 | ||
| 繰越商品 | ― | 200,000 | 200,000 | ||
| 前払費用 | ― | 230,000 | 230,000 | ||
| 減価償却費 | ― | 60,000 | 60,000 |
仕入は、試算表の借方800,000円から修正記入の貸方200,000円を引いて600,000円。費用なので損益計算書欄の借方に書きます。
繰越商品は、試算表には無く、修正記入の借方に200,000円。資産なので貸借対照表欄の借方に書きます。
貸方の科目も同じ考え方です。売上1,400,000円は収益なので損益計算書欄の貸方へ。買掛金200,000円は負債なので貸借対照表欄の貸方へ。
どちらの欄に書くかは、金額の計算とは無関係に、その科目が5要素のどれかだけで決まります。迷ったら単元1に戻ってください。
当期純利益が、両方の欄に立ちます
全部の行を振り分け終わったら、損益計算書欄と貸借対照表欄のそれぞれで、借方合計と貸方合計を出します。
ミナタカ商事の場合はこうなります。
| 欄 | 借方合計 | 貸方合計 | 差 |
|---|---|---|---|
| 損益計算書 | 1,190,000 | 1,400,000 | 借方が210,000不足 |
| 貸借対照表 | 2,078,000 | 1,868,000 | 貸方が210,000不足 |
単元35で後T/Bを水平に切ったときと、まったく同じ数字です。当然です。同じことを縦にやるか横にやるかの違いしかありません。
そこで、不足している側に当期純利益という行を書き足します。
- 損益計算書欄は借方に210,000円
- 貸借対照表欄は貸方に210,000円
これで両方の欄が一致します。
| 欄 | 借方合計 | 貸方合計 |
|---|---|---|
| 損益計算書 | 1,400,000 | 1,400,000 |
| 貸借対照表 | 2,078,000 | 2,078,000 |
同じ210,000円が、左右反対の側に立つ。ここが精算表でいちばん間違えやすいところです。
意味を考えれば迷いません。損益計算書欄の借方は費用の側です。稼いだ利益は、収益から費用を引いた残りなので、費用と同じ側に置いて収益と釣り合わせます。一方、貸借対照表欄の貸方は純資産の側です。利益は純資産を増やすので、貸方に立ちます。
なお、損失が出た場合は逆になります。損益計算書欄の貸方と、貸借対照表欄の借方に当期純損失として書きます。
解く手順と、途中で使えるチェックポイント
精算表の問題は作業量が多いので、手順を固定しておくと事故が減ります。
手順
- 決算整理事項を上から読み、仕訳を計算用紙に書く
- 1本書くごとに、修正記入欄へ書き写す
- 全部書いたら、修正記入欄の借方合計と貸方合計が一致するか確認する
- 上の行から順に、残高試算表+修正記入を計算して右の欄へ振り分ける
- 損益計算書欄・貸借対照表欄の合計を出し、差額を当期純利益として両方に書く
- 2つの差額が同じ金額になっているか確認する
チェックポイント
| 段階 | 確認すること |
|---|---|
| 手順3 | 修正記入欄の借方合計=貸方合計 |
| 手順6 | 損益計算書欄の差額=貸借対照表欄の差額 |
この2つが合っていれば、大きな間違いはありません。逆に手順6で金額が違っていたら、どこかの行の振り分けを間違えています。資産を損益計算書欄に書いていないか、費用を貸借対照表欄に書いていないかを疑ってください。
最後に1つ。時間が足りないときは、全部を埋めようとしないでください。精算表の問題は、行ごとに部分点があります。確実に分かる行から埋めていき、当期純利益の行だけは必ず書きます。この順番が、結果的にいちばん点が残ります。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 精算表は正式な決算書類ですか。
A. いいえ、決算の作業を進めるための下書きです。正式な決算書類は損益計算書と貸借対照表です。
下書きだと分かっていると、精算表そのものを暗記する対象だとは思わなくなります。やっていることは前T/B+決算整理=後T/B=B/S+P/Lの分解であって、それ以上のものではありません。
Q. 精算表の「修正記入」欄には何を書きますか。
A. 決算整理仕訳です。仕訳の借方は修正記入の借方欄に、貸方は貸方欄に書きます。
修正記入欄は、仕訳を縦ではなく横に展開したものです。1本の仕訳が、2つ(以上)の行にまたがって書かれることになります。
Q. 修正記入欄の借方合計と貸方合計は一致しますか。
A. 必ず一致します。書き込んでいるのは仕訳であり、仕訳は必ず借方と貸方が同額だからです。
この一致は、精算表を解いている途中でできる唯一の中間チェックです。ここで止まって確認する習慣をつけると、あとで大きくずれることがなくなります。
精算表は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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