簿記3級ネット試験(CBT)のすべて — 申込から合格発表まで
日商簿記3級のネット試験(CBT方式)は、全国のテストセンターに設置されたパソコンで、自分の都合のよい日に受けられる試験です。統一試験(年3回のペーパー試験)と出題範囲・難易度・合格の効力はすべて同じで、履歴書にはどちらで合格しても「日商簿記検定試験3級」と書けます。
現在、3級受験者の大半はこちらです。2025年度のネット試験受験者は約27万6千人、同じ期間の統一試験は年3回あわせて約5万人でした。受験者の8割以上がネット試験を選んでいます。
このページは、申込から合格発表までの全体像をまとめたものです。各項目の細かい話は、それぞれの詳細ページに分けてあります。
まず結論:3つの方式の違い
| ネット試験(CBT) | 統一試験(ペーパー) | |
|---|---|---|
| いつ受けられるか | 随時(休止期間を除く) | 年3回の日曜日 |
| 会場 | 全国のテストセンター | 各地の商工会議所が指定する会場 |
| 受験料 | 3,300円(税込) | 3,300円(税込) |
| 事務手数料 | 550円(インターネット申込の場合) | 商工会議所により異なる |
| 試験時間 | 60分 | 60分 |
| 出題範囲・難易度 | 同じ | 同じ |
| 解答方法 | 画面上でプルダウン選択・キーボード入力 | 用紙に記入 |
| そろばん | 持ち込めません | 持ち込めます |
| 計算用紙 | 会場がA4を2枚配布・全部回収 | 問題用紙の余白 |
| 合否 | 試験終了直後に画面表示 | 後日発表(商工会議所により異なる) |
| 合格証 | デジタル合格証のみ | 紙の合格証書 |
このほかに団体試験という方式もありますが、企業や学校がまとめて実施するもので、個人で申し込むものではありません。
2026年度の統一試験は、第173回が2026年6月14日、第174回が2026年11月15日、第175回が2027年2月28日(2級・3級のみ)です。
合格率はネット試験のほうが高い、という事実の扱い方
数字だけを並べると、次のようになります。
| 直近の合格率 | |
|---|---|
| ネット試験(2026年4月〜6月) | 44.5%(64,183名中 28,546名) |
| 統一試験 第173回(2026年6月14日) | 33.8%(14,359名中 4,854名) |
10ポイント以上の開きがあります。ただし、これを「ネット試験のほうが簡単だ」と読むのは誤りです。日本商工会議所は3方式とも出題範囲・難易度は同一だと明記しており、差の要因は公表されていません。
私たちの見方は次のとおりです。 ネット試験は受験日を自分で選べます。つまり、準備が仕上がった人から順に受けています。一方、統一試験は日付が先に決まっているため、仕上がりきっていない人も試験日を迎えます。この受験タイミングの自由度が、そのまま合格率の差になっている可能性が高いと考えていますが、これは公式見解ではなく私たちの分析です。
いずれにせよ、あなたが取るべき行動は変わりません。受かる状態になってから受ける。それができるのがネット試験の最大の利点です。
申込の手順
ネット試験の申込には2つの方式があり、どちらでも試験内容は同じです。
インターネット申込方式(全国140超の会場)
- CBT-Solutionsの申込専用ページでマイページを作成します
- 会場と日時を選びます
- クレジットカード、コンビニ払い、Pay-easyのいずれかで支払います
- 事務手数料550円がかかります
会場問い合わせ方式(全国120超の会場)各ネット試験施行機関に直接申し込みます。窓口・電話・インターネットなど、方法は機関によって違います。事務手数料は0円のところもあります。
急がないのであれば、近くの会場が会場問い合わせ方式に対応しているか確認する価値はあります。550円の差ですが、手続きの手間と天秤にかけて選んでください。
申し込めない期間があります
ネット試験には「施行休止期間」があります。統一試験の前後に設定され、その間はネット試験を受けられません。2026年度は次の4区間です。
- 2026年4月1日〜4月13日
- 2026年6月8日〜6月17日
- 2026年11月9日〜11月18日
- 2027年2月22日〜3月3日
受験日を逆算して計画を立てるときは、この期間を先に除外してください。 「ちょうど仕上がった週が休止期間だった」ということが起こります。
当日、持ち込めるもの・持ち込めないもの
| 可否 | |
|---|---|
| 電卓 | 持ち込みます(画面上に電卓はありません) |
| そろばん | 不可(統一試験では可) |
| パソコンの計算機能 | 不可 |
| 筆記用具 | 不可(会場がボールペンを配ります) |
| 自分のメモ用紙・ノート | 不可(会場がA4を2枚配ります) |
| 身分証明書 | 必要 |
電卓は、四則演算のみのものに限られます。印刷機能、音の出る機能、プログラム機能(関数電卓や、売価計算・原価計算の公式を記憶できるもの)、辞書機能があるものは持ち込めません。ただし、日数計算・時間計算・換算・税計算・検算の機能は、音が出ないものであれば使えます。
手持ちの電卓が条件を満たすかどうかは、当日ではなく今のうちに確認してください。 会場で使えないと判明した場合、代わりの電卓は用意されません。
計算用紙が2枚しかない点は、想像より大きな制約です。第3問の決算問題ではT字勘定をいくつも書くことになるので、どこに何を書くかを決めた上で本番に臨む必要があります。使った用紙は全部回収されるので、持ち帰って復習に使うことはできません。
解答の作法:ここで落ちる人がいます
ネット試験には、紙の試験にはなかった入力ルールがあります。仕訳の内容が正しくても、入力の仕方だけで不正解になります。
- 金額欄に「円」やカンマなどの文字を入れると不正解になります(数字のみ)
- 同じ勘定科目を、借方の中で2回使うと不正解になります
- 1行で足りる仕訳で2行目のプルダウンを選ぶと不正解になります
- 第1問の仕訳は1問3点の完答判定で、部分点はありません
このあたりは会場で初めて知ると確実に失点します。詳しくは解答方式と失点ルールのページにまとめました。
なお、試験開始直後に第1問が正しく表示されないことがあると公式が案内しています。その場合は画面左下の「第2問」を押してから「第1問」を押し直すと直ります。慌てないでください。
試験の中身
試験時間は60分、大問は3題、100点満点のうち70点以上で合格です。出題範囲は統一試験(ペーパー試験)とまったく同じです。
| 大問 | 配点 | 内容 |
|---|---|---|
| 第1問 | 45点 | 仕訳15問(各3点)。勘定科目はプルダウンから6択 |
| 第2問 | 20点 | 小問2つ。勘定記入、補助簿、伝票など |
| 第3問 | 35点 | 決算総合。精算表、財務諸表作成など |
合格は70点以上です。第1問と第3問で80点を占めるので、この2つで確実に取ることが合格の条件になります。第2問は範囲が広く対策の費用対効果が読みにくいところですが、20点は捨てられる点数ではありません。
配点については、日本商工会議所の公式サイトに記載がありません。問題用紙に印字されている配点と、複数の教育機関の記載が一致していることから、上記の配点で運用されていると判断しています。
合否とその後
試験が終わると、システムが自動採点してその場で合否が画面に出ます。紙のスコアレポートが渡され、合格していればレポートに印刷された二次元コードからデジタル合格証をダウンロードできます。
紙の合格証書やカードは発行されません。デジタル合格証はPDFで保存できるので、必ず手元に落としてください。
不合格だった場合、ネット試験は再受験の回数制限がありません。休止期間を避ければ、次の日程で受け直せます。ただし、その都度受験料3,300円と事務手数料がかかります。
よくある質問
Q. ネット試験と統一試験、どちらを受けるべきですか。
A. 特別な理由がなければネット試験です。準備が仕上がった時点で受けられること、その場で合否が分かること、落ちてもすぐ受け直せることが理由です。統一試験を選ぶ意味があるのは、そろばんを使いたい場合や、紙の合格証書が必要な場合に限られます。
Q. 履歴書にはどう書きますか。
A. 「日商簿記検定試験3級 合格」と書きます。ネット試験か統一試験かを書き分ける必要はありません。合格の効力は同じです。
Q. パソコン操作が苦手でも受けられますか。
A. 求められるのは、プルダウンから選ぶこととテンキーで数字を打つことだけです。文章入力はほとんどありません。ただし、入力の作法だけは事前に練習しておいてください。 操作そのものより、入力ルールを知らないことのほうが失点につながります。
Q. 何時間くらいの勉強が必要ですか。
A. 日本商工会議所は標準学習時間を公表していません。教育事業者の記載はおおむね独学で100〜150時間、講座を使って50〜100時間で一致しています。1日1時間なら4〜5ヶ月、1日2〜3時間なら約3ヶ月が目安です。
Q. 2027年度から出題範囲が変わると聞きました。
A. 2027年4月1日から出題区分表が改定されます。手形が3級の範囲から外れ、代わりに2級の一部の論点が3級に降りてきます。あなたがどちらの範囲で受けるかは受験日で決まります。 詳しくは2027年度改定のページをご覧ください。
関連ページ
- 解答方式と失点ルール — 入力だけで落とさないために
- 電卓の条件と選び方 — 持ち込めるもの・持ち込めないもの、GTキーの使い方
- 計算用紙2枚の使い方 — 4面の配分を先に決める
- 当日の流れ — 受付から退出まで
- 結果とデジタル合格証 — その場で出る点数と、合格の証明
- 落ちたあと、いつ受け直すか — 得点別の再受験の目安
- 2027年度の出題区分表改定 — 受験日で範囲が変わります
出典:日本商工会議所「ネット試験について」(2026年4月1日更新)、「3級 試験科目・注意事項」、「2026年度試験日程カレンダー」、「3級受験者データ」「2級・3級受験者データ(ネット試験)」
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