計算用紙はA4が2枚だけ — 60分を落とさない下書きの型
簿記3級のネット試験(CBT)では、計算用紙は会場が配ります。A4サイズが2枚です。 自分で持ち込んだメモ用紙は使えません。筆記用具も会場がボールペンを配るので、自分のシャープペンシルや消しゴムは使えません。
つまり、書けるのは4面(2枚×表裏)、しかも消せません。
ここで詰まる人が毎回います。第3問の途中で紙が足りなくなり、書いたものを探し回って時間を失う。これは実力ではなく、置き場所を決めていないだけで起きる失点です。
配られるものと、その扱い
| 内容 | |
|---|---|
| 計算用紙 | A4サイズ・2枚 |
| 筆記用具 | 会場が配るボールペン(消せません) |
| 自分のメモ用紙 | 持ち込めません |
| 自分の筆記用具・消しゴム | 使えません |
| 追加の用紙 | 原則もらえないと考えてください |
| 試験後の扱い | 全部回収されます。持ち帰れません |
計算用紙が回収されるのは、問題内容の持ち出しを防ぐためです。ですから、試験が終わったあとに「自分がどう解いたか」を見返すことはできません。復習は記憶が新しいうちに、会場を出てすぐメモしてください。
4面の配分 — 先に決めておきます
紙を4面と数えて、解き始める前に役割を決めます。おすすめはこの配分です。
| 面 | 使いみち |
|---|---|
| 1枚目・表 | 第3問の決算整理仕訳(8本前後)を縦に並べる |
| 1枚目・裏 | 第3問のT字勘定(現金・売掛金・繰越商品・備品など、動く科目だけ) |
| 2枚目・表 | 第2問の下書き(勘定記入・補助簿・伝票) |
| 2枚目・裏 | 予備。合計が合わないときの検算はここ |
第1問(仕訳15問)には紙をほとんど使いません。 第1問はプルダウンで科目を選び、金額を入力する形式です。紙に「借方 仕入 / 貸方 買掛金」と書いてから画面に打ち直すのは、同じ作業を2回やっているだけです。
第1問で紙が要るのは、金額の計算が必要なときだけです。減価償却の月割、売上原価の算定、返品や値引きの差引き。このときだけ、1枚目の表の余白に数字だけ書きます。科目名は書きません。
第3問の下書きの型
第3問(決算整理と財務諸表の作成、35点)が最も紙を使います。ここに型があるかどうかで、10分は変わります。
① 決算整理仕訳を縦に、番号を振って並べる
問題文を読みながら、決算整理事項を上から順に仕訳へ落とします。番号を必ず振ってください。
① 仕入 200,000 / 繰越商品 200,000 繰越商品 200,000 / 仕入 200,000 ② 貸引繰入 8,000 / 貸倒引当金 8,000 ③ 減価償却費 60,000 / 減価償却累計額 60,000 ④ 前払家賃 120,000 / 支払家賃 120,000 ⑤ 前払保険料 110,000 / 保険料 110,000 ⑥ 支払利息 10,000 / 未払利息 10,000 ⑦ 法人税等 90,000 / 未払法人税等 90,000
科目名は略して構いません。「貸引繰入」「減累」「前払家」で十分です。 誰にも見せない紙ですし、回収されて終わりです。フルネームを書く時間がもったいない。
番号を振る理由は、あとで見直すときに「④はどこだ」と探さなくて済むからです。答案を作り終えてから合計が合わないとき、探し回る時間が最も無駄になります。
② 動く科目だけT字勘定を書く
決算整理で残高が動く科目だけ、簡単なT字を書きます。動かない科目は書きません。 現金や資本金のように整理仕訳が1本も入らない科目は、前T/Bの金額をそのまま答案に写せば済みます。
繰越商品 支払家賃
前T/B 200,000 │ ①200,000 前T/B 240,000 │ ④120,000
①200,000 │ │
──────────── ────────────
200,000 │ 120,000 │書くのは「前T/Bの金額」「整理仕訳の番号と金額」「差引後の残高」の3つだけです。線を丁寧に引く必要はありません。
③ 当期純利益は最後に1か所で出す
P/Lを埋めてから当期純利益を出し、それをB/Sの繰越利益剰余金に足します。この数字を2か所に書かないでください。
計算用紙のどこか1か所に、大きめに囲んで書きます。
【当期純利益 210,000】→ 繰越利益剰余金へ
2か所に書くと、片方だけ直して片方を直し忘れる事故が起きます。答案を修正したら、この囲みも必ず一緒に直します。
消せないことを前提に書く
ボールペンなので、間違えても消せません。消しゴムで直す前提のレイアウトをやめてください。
具体的には3つです。
1. 詰めて書かない。 行間を1行ぶん空けて書きます。訂正が入ったとき、上か下に書き足せます。
2. 間違えたら二重線で消して、隣に書き直す。 ぐしゃぐしゃに塗りつぶすと、あとで元の数字が読めなくなります。読めなくなって困るのは自分です。
3. 端まで使わない。 紙の右側3センチほどを空けておくと、そこが訂正欄になります。
見直しの時間に、紙をどう使うか
解き終わって時間が余ったら、紙と画面を突き合わせます。
見るのはこの順です。
- 合計が一致しているか。 B/Sの資産合計と負債・純資産合計、精算表の貸借。ここが合っていれば、大きな転記漏れはありません。
- 決算整理仕訳の番号を1つずつ追って、答案に反映されているか。 ①から⑦まで指で追います。反映漏れがあるとしたら、たいてい最後の1本です。
- 当期純利益が2か所で同じか。 P/Lの最終行と、B/Sの繰越利益剰余金に足した金額。
紙を全部読み返す必要はありません。 上の3点だけです。合計が合っていて、整理仕訳が全部入っていて、利益が一致していれば、細かい転記ミスの可能性はかなり低くなります。
練習のときから、A4を2枚だけにしてください
家で解くときにノートを何ページも使っていると、本番で確実に足りなくなります。普段の演習から、A4のコピー用紙を2枚だけ用意して、ボールペンで解いてください。
これは根性論ではなく、単なる慣れの問題です。2枚に収まる書き方は、2枚でしか練習できません。3回も解けば、どこに何を書くかは指が覚えます。
なお、下書きは少ないほど良いわけではありません。 T字勘定を省いて暗算で進めると、途中で分からなくなったときに戻る場所がなくなります。書くべきものを決めて書く、というのがここでの目的です。
よくある質問
Q. 計算用紙が足りなくなったら、もらえますか。
A. 原則としてもらえないと考えてください。会場によって運用が異なる可能性はありますが、追加でもらえる前提で解き進めるのは危険です。2枚で収まる書き方を練習しておいてください。
Q. 試験が終わったあと、計算用紙を持ち帰れますか。
A. 持ち帰れません。全部回収されます。自己採点のために解答を書き写して持ち出すこともできません。
Q. ボールペンではなくシャープペンシルを使えませんか。
A. 使えません。筆記用具は会場が配るものを使います。自分の筆記用具は持ち込めません。
Q. 定規は使えますか。
A. 使えません。T字勘定の線もフリーハンドで引きます。線がまっすぐである必要はまったくありません。
Q. 第1問の仕訳も紙に書いてから入力したほうが確実ではありませんか。
A. 確実さは上がりますが、15問ぶんの時間を失います。第1問は45点あり、ここに時間をかけすぎると第3問(35点)を解く時間がなくなります。金額の計算が要る問題だけ数字をメモし、それ以外は画面で直接答えるのが現実的な配分です。
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