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簿記3級から手形が消えます — 2027年度の出題範囲改定を、受験日から逆算して整理する

簿記3級AIチューター/最終更新 2026-08-23 登録不要で読めます

2027年4月1日から、日商簿記検定の出題区分表が改定されます。3級への影響は小さくありません。手形が範囲から外れ、代わりに2級の3論点が降りてきます。

境界は単純です。受験日が2027年3月31日までなら現行の範囲、2027年4月1日以降なら新しい範囲。 統一試験もネット試験も同じ日付で切り替わります。経過措置はありません。

このページでは、何が消えて何が増えるのか、あなたはどちらで受けるのか、いま何を勉強すべきなのかを整理します。

結論を先に

あなたの受験予定適用される範囲手形定率法・除却廃棄・売上原価対立法
2027年3月31日まで現行(2022年度適用版)出ます出ません
2027年4月1日以降新版(2027年度適用版)出ません出ます

統一試験でいえば、第175回(2027年2月28日)が現行範囲の最後です。次の第176回(2027年6月頃・日程未公表)から新範囲になります。

ネット試験は日付そのものが境界なので、2027年3月31日に受ければ現行範囲、4月1日以降なら新範囲です。

手形は「2級に降りる」のではありません。試験から消えます

手形は3級から2級へ移るのではなく、日商簿記検定そのものから出題されなくなります。ここが最も誤解されやすいところです。

新しい出題区分表を全文で確認したところ、1級・2級・3級のどの欄にも「手形」という語が一度も出てきません。 3級から2級へ移動したのではなく、日商簿記検定という試験そのものから手形がなくなります。

同じことが「小切手」にも起きています。こちらも新区分表に1件も出現しません。

背景にあるのは、紙の手形・小切手の廃止です。全国銀行協会は約束手形の利用廃止と小切手の全面的な電子化を進めており、2026年度末をもって紙の手形・小切手による決済は終了する方向で動いています。試験がそれに合わせた形です。

3級から消える論点

手形貸付金・手形借入金が消えても、普通の貸付金・借入金は3級に残ります。 金銭の貸し借りそのものを学ばなくなるわけではなく、手形という形式を使った貸借だけが消えます。

消えると思われがちですが、残るもの

論点扱い
電子記録債権・電子記録債務3級に残ります。 現行区分表では「手形」の配下に置かれていましたが、新版では「売掛金および買掛金ならびに電子記録債権等」という新設項目に移されました。内容の変更はありません
当座預金・当座借越3級に残ります。小切手を振り出さなくなっても、電子記録債務の支払いに当座預金口座が求められることを日商が理由として挙げています
クレジット売掛金3級に残ります。「キャッシュレス決済を含む」という括弧書きが追加され、範囲が明確化されました
受取商品券3級に残ります。今回の改定とは無関係です

電子記録債権・電子記録債務は、むしろ重要度が上がります。 手形が果たしていた役割をこちらが引き継ぐためです。日商の説明書自身が重要性の高まりに言及しています。2027年4月以降に受験する方は、ここを厚めに押さえてください。

3級に追加される3つの論点

1. 定率法による減価償却

2級から降りてきます。ただし、区分表には「※」印が付いています。これは「本来は上の級の内容だが、簡易な範囲で下の級でも出す」という意味の記号です。

日商は、償却率を具体的に示すなど簡易な出題にとどめること、法人税法のいわゆる200%定率法における保証率・改訂償却率に関わる問題は3級では出さないことを明記しています。償却率が問題文に与えられた上での計算ができれば足ります。

なお、3級の記帳は引き続き間接法のみです。直接法と生産高比例法は2級のままです。

2. 有形固定資産の除却・廃棄

こちらは「※」印なしの本格的な範囲です。貯蔵品勘定と、固定資産除却損・固定資産廃棄損が3級に入ります。

もっとも、貯蔵品勘定そのものは現行の3級にも決算整理(郵便切手や収入印紙の未使用分の振替)で登場します。まったくの新顔ではありません。

3. 売上原価対立法(販売のつど売上原価勘定に振り替える方法)

2級から降りてきます。商品を売るたびに「商品」勘定から「売上原価」勘定へ振り替える方法です。

日商が挙げている理由は次のとおりです。三分法は決算まで売上原価が分からない簡便法にすぎないこと、実務では都度振替が増えていること、そして3級ではすでに商品有高帳で先入先出法・移動平均法によって払出原価を把握しているのだから、それを総勘定元帳にも反映する方法を学ぶべきだということです。

この論点が入ると、決算整理の景色が変わります。 売上原価対立法では、売るたびに売上原価が確定しているので、決算で「しいれ・くりしょう」の仕訳をする必要がありません。三分法との対比で理解すると腑に落ちます。

2026年度中に受ける人へ:影響はゼロですが、1つだけ注意点があります

2027年3月31日までに受験するなら、出題範囲への影響はまったくありません。 現行の範囲でそのまま勉強してください。手形も出ます。定率法は出ません。

ただし、次の場合だけ気をつけてください。

落ちて、受け直しが4月以降にずれた場合

これが最大のリスクです。2026年度中に受けて不合格になり、2027年4月以降に受け直すと、手形の学習が丸ごと使えなくなり、新しい3論点を追加で学ぶことになります。

とはいえ、追加は3論点だけです。定率法・除却廃棄・売上原価対立法は、いずれも既に学んだ論点の延長線上にあり、ゼロから積み上げる性質のものではありません。数時間で埋まります。 過度に恐れる必要はありません。

2027年1月〜3月の受験を狙っている場合

万一4月にずれ込む可能性を考えるなら、新しい3論点も先に学んでおくのが合理的です。 現行範囲の試験に新論点が出ることはないので、学びすぎによる害はありません。しかも定率法と除却は2級で必ず使うので、先に進むつもりなら無駄になりません。

テキストを買うとき

2026年秋から2027年春にかけて、書店には現行版と2027年度版が並びます。2026年度中に受けるのに2027年度版を買うと、手形が載っていません。 逆に4月以降に受けるのに現行版を買うと、追加の3論点が載っていません。

奥付や帯の対応年度を必ず確認してください。

3月末を逃すと、次は4月中旬かもしれません

ネット試験には、統一試験の前後に「施行休止期間」が設定されます。2026年度は年度の頭に4月1日から4月13日までの休止がありました。

2027年度の日程はまだ公表されていませんが、同じパターンなら、3月31日を逃した場合に次に受けられるのは4月中旬で、しかもその時は新範囲になります。 2027年1〜3月に受験を考えている方は、この点を頭の隅に置いておいてください。

4月以降に受ける人へ:学ぶ量はむしろ減ります

手形は3級の中でも独立性が高く、覚えることの多い論点でした。受取手形・支払手形の区別、記入帳の書き方、割引と裏書。これを一式やらなくてよくなります。

追加される3論点は、いずれも既存の論点の延長です。定率法は減価償却の別の計算方法、除却・廃棄は売却と同じ「帳簿価額を落とす」処理、売上原価対立法は三分法のもう一つのやり方。新しい章が3つ増えるのではなく、既にある章に節が1つずつ足される感覚です。

差し引きで、学習量は減ります。

iCareerでは受験日から出し分けます

私たちの簿記3級講座では、最初に受験予定日をうかがいます。そのうえで、あなたに必要な範囲だけを出します。

問題演習も同じ基準でフィルタします。受けない範囲の問題を解かされることはありません。

よくある質問

Q. 2027年4月1日ちょうどにネット試験は受けられますか。

A. 未確定です。2026年度は4月1日から4月13日までがネット試験の施行休止期間でした。2027年度の日程はまだ公表されていないため、4月上旬に受けられるかどうかは分かりません。公表され次第、このページを更新します。

Q. 経過措置や移行期間はありますか。

A. ありません。日商の説明資料には「適用は2027年4月1日から」とだけ書かれており、経過措置に関する記述は一切ありません。単純な日付での切り替えです。

Q. 手形は2級で勉強することになりますか。

A. なりません。新しい区分表には1級・2級・3級のどこにも「手形」の語がありません。日商簿記検定から消えます。

Q. 定率法はどこまで出ますか。

A. 償却率が与えられた上での基本的な計算までです。日商は、法人税法の200%定率法における保証率・改訂償却率に関わる問題は3級では出題しないと明記しています。

Q. 今持っているテキストは使えなくなりますか。

A. 2027年3月31日までに受験するなら、そのまま使えます。4月以降に受けるなら、手形の章を飛ばし、定率法・除却廃棄・売上原価対立法を別途補う必要があります。

Q. 合格の効力や履歴書の書き方は変わりますか。

A. 変わりません。改定前に取得した資格の価値が下がることはありません。

Q. 試験時間や配点は変わりますか。

A. 公表されていません。今回発表されたのは出題区分表の改定のみで、試験時間60分・合格基準70点・大問構成についての変更はアナウンスされていません。

今後の更新予定

次の2点が確定した時点で、このページを更新します。

  1. 2027年度のネット試験施行休止期間(4月上旬に受けられるかどうか)
  2. 第176回統一試験の実施日

出典:日本商工会議所「紙媒体による手形・小切手の廃止および企業会計基準第34号『リースに関する会計基準』等の適用にともなう商工会議所簿記検定試験出題区分表などの改定について【確定版】」(2026年7月31日)、「商工会議所簿記検定試験出題区分表(2026年7月31日最終制定/2027年4月1日施行)」、「2026年度試験日程カレンダー」

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