決算整理後残高試算表
決算整理前残高試算表に決算整理仕訳を反映させたものが決算整理後残高試算表です。ミナタカ商事では、前T/Bの合計3,100,000円に7本の整理仕訳を反映して、後T/Bは3,268,000円になります。
決算整理前残高試算表に決算整理仕訳を反映させて、決算整理後残高試算表を作れるようになります。後T/Bのどの行が貸借対照表へ行き、どの行が損益計算書へ行くのかを判断できるようになります。
第3問では、決算整理後残高試算表そのものを作らせる出題があります。また、精算表や財務諸表を作る問題でも、頭の中でこの表を作ってから答えを書くことになります。決算のすべての情報が1枚に集まった状態なので、ここが正しく作れれば、あとは行き先で振り分けるだけです。
決算整理後残高試算表とは何か
決算整理を始める前に作る試算表を決算整理前残高試算表(前T/B)、決算整理仕訳をすべて反映させたあとの試算表を決算整理後残高試算表(後T/B)と呼びます。T/Bは trial balance の略で、実務でも試験でもこの呼び方をよく使います。
ミナタカ商事の前T/Bはこうでした。
決算整理前残高試算表(×2年3月31日)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 128,000 | 買掛金 | 200,000 |
| 当座預金 | 820,000 | 借入金 | 500,000 |
| 売掛金 | 400,000 | 資本金 | 1,000,000 |
| 備品 | 300,000 | 売上 | 1,400,000 |
| 仕入 | 800,000 | ||
| 給料 | 240,000 | ||
| 支払家賃 | 240,000 | ||
| 保険料 | 120,000 | ||
| 通信費 | 36,000 | ||
| 水道光熱費 | 16,000 | ||
| 合計 | 3,100,000 | 合計 | 3,100,000 |
借方14科目のうち10科目、貸方4科目。期中の取引を集計しただけの、素朴な状態です。
ここに決算整理仕訳7本を足していきます。
決算整理仕訳7本が、どこに効くか
ミナタカ商事の決算整理仕訳は次の7本でした。
① (借) 繰越商品 200,000 / (貸) 仕入 200,000 ② (借) 貸倒引当金繰入 8,000 / (貸) 貸倒引当金 8,000 ③ (借) 減価償却費 60,000 / (貸) 減価償却累計額 60,000 ④ (借) 前払費用 120,000 / (貸) 支払家賃 120,000 ⑤ (借) 前払費用 110,000 / (貸) 保険料 110,000 ⑥ (借) 支払利息 10,000 / (貸) 未払費用 10,000 ⑦ (借) 法人税等 90,000 / (貸) 未払法人税等 90,000
この7本が、前T/Bの各科目にどう効くかを追います。
| 科目 | 前T/B | 整理仕訳 | 後T/B |
|---|---|---|---|
| 仕入 | 800,000 | ①で△200,000 | 600,000 |
| 支払家賃 | 240,000 | ④で△120,000 | 120,000 |
| 保険料 | 120,000 | ⑤で△110,000 | 10,000 |
| 繰越商品 | ― | ①で+200,000 | 200,000 |
| 前払費用 | ― | ④⑤で+230,000 | 230,000 |
| 貸倒引当金繰入 | ― | ②で+8,000 | 8,000 |
| 減価償却費 | ― | ③で+60,000 | 60,000 |
| 支払利息 | ― | ⑥で+10,000 | 10,000 |
| 法人税等 | ― | ⑦で+90,000 | 90,000 |
| 貸倒引当金 | ― | ②で+8,000 | 8,000 |
| 減価償却累計額 | ― | ③で+60,000 | 60,000 |
| 未払費用 | ― | ⑥で+10,000 | 10,000 |
| 未払法人税等 | ― | ⑦で+90,000 | 90,000 |
動かなかった科目(現金・当座預金・売掛金・備品・給料・通信費・水道光熱費・買掛金・借入金・資本金・売上)は、前T/Bの金額がそのまま後T/Bに載ります。
合計は3,100,000円から3,268,000円へ、168,000円増えました。
決算整理後残高試算表の姿
7本を反映させると、こうなります。
決算整理後残高試算表(×2年3月31日)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 128,000 | 買掛金 | 200,000 |
| 当座預金 | 820,000 | 借入金 | 500,000 |
| 売掛金 | 400,000 | 未払費用 | 10,000 |
| 繰越商品 | 200,000 | 未払法人税等 | 90,000 |
| 前払費用 | 230,000 | 貸倒引当金 | 8,000 |
| 備品 | 300,000 | 減価償却累計額 | 60,000 |
| 仕入 | 600,000 | 資本金 | 1,000,000 |
| 給料 | 240,000 | 売上 | 1,400,000 |
| 支払家賃 | 120,000 | ||
| 保険料 | 10,000 | ||
| 通信費 | 36,000 | ||
| 水道光熱費 | 16,000 | ||
| 減価償却費 | 60,000 | ||
| 貸倒引当金繰入 | 8,000 | ||
| 支払利息 | 10,000 | ||
| 法人税等 | 90,000 | ||
| 合計 | 3,268,000 | 合計 | 3,268,000 |
借方16科目、貸方8科目、合計24科目です。決算に必要な情報が、この1枚にすべて入っています。
借方と貸方が一致していることを必ず確認してください。一致していなければ、決算整理仕訳のどこかで片側しか反映できていません。
後T/Bを水平に切ると、2枚の書類になります
ここが3級の山場です。
後T/Bの24科目を、上から順に並べ替えてみます。上に資産・負債・純資産を、下に収益・費用を置きます。そしてその境目に、水平に1本線を引きます。
上半分に残るもの
現金・当座預金・売掛金・繰越商品・前払費用・備品/買掛金・借入金・未払費用・未払法人税等・貸倒引当金・減価償却累計額・資本金
下半分に残るもの
仕入・給料・支払家賃・保険料・水道光熱費・通信費・減価償却費・貸倒引当金繰入・支払利息・法人税等/売上
上半分が貸借対照表、下半分が損益計算書です。並べ替えて線を引いただけで、2枚の書類ができています。
そして、切った両側の合計を見てください。
| 借方 | 貸方 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 上半分(B/S) | 2,078,000 | 1,868,000 | 貸方が210,000不足 |
| 下半分(P/L) | 1,190,000 | 1,400,000 | 借方が210,000不足 |
同じ210,000円が、上下で反対の側に現れます。
これは偶然ではありません。切る前の全体は借方3,268,000円・貸方3,268,000円で一致していました。一致しているものを2つに切れば、片方の不足はもう片方の余りと必ず同額になります。
この210,000円が当期純利益です。下半分では収益が費用を上回った額として、上半分では純資産の増加分として現れます。「P/Lの利益がB/Sの純資産を増やす」という関係が、ここで暗記ではなく必然として立ちます。
第3問で、後T/Bはどう問われるか
後T/Bの出題のされ方は、大きく3通りです。
① 後T/Bそのものを作らせる
前T/Bと決算整理事項が与えられ、後T/Bの空欄を埋めさせる形です。この単元でやったことをそのまま書きます。
② 後T/Bを与えて、財務諸表を作らせる
決算整理はすでに終わっている状態から始まります。あとは行き先で振り分けて、表示科目に読み替えるだけです(単元38)。
③ 精算表を作らせる
前T/Bと決算整理事項から、修正記入欄を経て、損益計算書欄と貸借対照表欄まで一気に書かせる形です(単元37)。
どの形でも、やっていることは同じです。前T/B + 決算整理仕訳 = 後T/B = B/S + P/L。この等式が頭に入っていれば、どこから聞かれても対応できます。
解くときのコツを1つ。決算整理仕訳を切ったら、その場で前T/Bの数字を書き換えてしまってください。仕訳を全部切ってから集計しようとすると、どの仕訳をどこに反映したか分からなくなります。1本切るたびに反映する。これが第3問でいちばん事故が少ない手順です。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 前T/Bに繰越商品や減価償却累計額が載っていないのはなぜですか。
A. どちらも決算整理で初めて登場する科目だからです。ミナタカ商事は設立初年度で期首商品がなく、期中は繰越商品を動かしません。減価償却も決算日に行います。
前T/Bは期中の取引だけを集計した表です。決算整理で新しく登場する科目は、当然ながらまだ載っていません。この違いが分かると、前T/Bと後T/Bの見分けがつくようになります。
Q. 決算整理によって、支払家賃の残高はいくらからいくらに変わりましたか。
A. 240,000円から120,000円になりました。④の仕訳で、翌期に属する120,000円を前払費用に振り替えたためです。
10月1日に1年分240,000円を払いましたが、当期に属するのは10月から3月までの6か月分120,000円だけです。残りの6か月分は翌期の費用なので、資産(前払費用)として繰り越します。
Q. 後T/Bの合計3,268,000円は、前T/Bの3,100,000円より168,000円多くなっています。この差はどこから来ましたか。
A. 決算整理仕訳7本のうち、科目を振り替えるだけでなく新たに借方と貸方の両方を増やした仕訳の分です。②の8,000円、③の60,000円、⑥の10,000円、⑦の90,000円の合計168,000円です。
①④⑤は、ある科目から別の科目へ振り替えているだけなので、合計は変わりません。一方②③⑥⑦は、費用と負債(または資産の控除)を同時に新しく立てているので、借方も貸方も同額ずつ増えます。この見分けがつくと、検算が速くなります。
決算整理後残高試算表は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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- 財務諸表ラボ(切った仕訳が貸借対照表と損益計算書のどこに現れるかを画面で追う)
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- 単元31 決算手続きの全体像
- 単元32 売上原価の算定【決算整理】
- 単元33 経過勘定と再振替仕訳【決算整理】
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- 単元36 帳簿の締切と損益振替
- 単元37 精算表
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