その他の決算整理事項【決算整理】
決算整理のうち、売上原価・貸倒引当金・経過勘定・減価償却以外をまとめて扱います。原因不明の現金過不足は雑損・雑益へ振り替え、決算日に判明した差額は現金過不足を経由せず直接処理します。
売上原価・貸倒引当金・経過勘定・減価償却以外の決算整理事項を、ひととおり処理できるようになります。とくに法人税等の計上と、未使用の切手・収入印紙を貯蔵品へ振り替える処理ができるようになります。
第3問の決算整理は、多いときで8項目ほど並びます。そのうち主要な4つ(売上原価・貸倒引当金・経過勘定・減価償却)は単元32・33と単元16・18で扱いました。この単元は、残りをまとめて片づける回です。1項目あたりの配点は小さいものの、どれも仕訳1本で終わるので、取りこぼすと単純に損をします。
残っている整理事項を並べます
決算整理でやることを、もう一度整理します。
| 整理事項 | 単元 |
|---|---|
| ① 売上原価の算定 | 31 |
| ② 貸倒引当金の設定 | 32 |
| ③ 経過勘定(前払・前受・未払・未収) | 33 |
| ④ 減価償却 | 13 |
| ⑤ 現金過不足の整理 | 7・この単元 |
| ⑥ 貯蔵品への振替 | この単元 |
| ⑦ 当座借越の振替 | 8・この単元 |
| ⑧ 消費税の精算 | 19・この単元 |
| ⑨ 法人税等の計上 | この単元 |
⑤から⑨がこの単元の範囲です。⑤⑦⑧はそれぞれの単元ですでに処理を見ているので、ここでは決算日の視点でもう一度確認します。
ミナタカ商事の決算整理は7項目でしたが、そのうちこの単元にあたるのは⑨の法人税等だけです。ほかの項目は、この会社では発生していません。発生していない項目の仕訳は切らない、というのも大事な判断です。第3問では「与えられた資料に書いてあることだけを処理する」のが原則です。
現金過不足を雑損・雑益へ
期中に発生した現金過不足のうち、決算日まで原因が分からなかった分は、雑損または雑益へ振り替えます。仮の科目である現金過不足を、決算をまたいで残すことはできないからです。
借方に現金過不足3,000円が残っている場合(設例外の金額です)
(借) 雑損 3,000 / (貸) 現金過不足 3,000
貸方に現金過不足2,000円が残っている場合
(借) 現金過不足 2,000 / (貸) 雑益 2,000
もう1つ、決算日に現金の実際有高を数えたら帳簿と違っていた、という出題があります。この場合は現金過不足を経由しません。
決算日に現金の実際有高が帳簿より1,000円少なかった
(借) 雑損 1,000 / (貸) 現金 1,000
原因を調べる時間がもうないので、仮の場所に置く意味がないためです。
処理の詳細は単元9で扱っています。ここでは「決算日には現金過不足を必ず空にする」という一点を覚えてください。
未使用の切手・収入印紙は貯蔵品へ
郵便切手を買ったとき、通信費という費用で処理します。収入印紙を買ったときは租税公課という費用で処理します(単元22)。
しかし決算日に使い残しがあった場合、その分はまだ費用になっていないはずです。使っていないのですから、当期の費用ではありません。
そこで、未使用分を貯蔵品という資産へ振り替えます。
決算日に、郵便切手の未使用分4,000円と収入印紙の未使用分6,000円があった(設例外の金額です)
(借) 貯蔵品 10,000 / (貸) 通信費 4,000
租税公課 6,000費用を減らして、資産に移します。考え方は前払費用(単元33)とまったく同じです。当期に使った分だけを費用にして、残りは翌期へ送ります。それだけです。
そして翌期首には、再振替仕訳でこれを元に戻します。
(借) 通信費 4,000 / (貸) 貯蔵品 10,000
租税公課 6,000翌期に使うことになるので、翌期の費用に戻しておくためです。この再振替を忘れると、翌期の費用が足りなくなります。
当座借越と消費税
当座借越の振替
決算日に当座預金が貸方残高(マイナス)になっている場合、そのままでは貸借対照表に載せられないので、負債へ振り替えます。
(借) 当座預金 150,000 / (貸) 当座借越 150,000
指示があれば借入金を使います。貸借対照表では短期借入金と表示します。詳しくは単元10で扱いました。
消費税の精算
税抜方式では、期中に払った消費税を仮払消費税、受け取った消費税を仮受消費税として記録しています。どちらも仮の科目なので、決算日に精算します。
仮受消費税140,000円、仮払消費税80,000円だった(設例外の金額です)
(借) 仮受消費税 140,000 / (貸) 仮払消費税 80,000
未払消費税 60,000受け取った消費税から払った消費税を差し引いた60,000円が、税務署へ納める金額です。これを未払消費税という負債で計上します。
逆に仮払いのほうが多ければ、差額は還付されるので未収還付消費税という資産になります。
消費税は、会社が預かって納めているだけのお金です。損益計算書には出てきません。詳しくは単元23で扱います。
法人税等の計上 ― ミナタカ商事の90,000円
会社が1年で稼いだ利益には、法人税・住民税・事業税がかかります。簿記ではこれをまとめて法人税等という費用で処理します。
計算のもとになるのは、税引前当期純利益です。
ミナタカ商事の場合、ほかの決算整理をすべて終えた時点で、税引前当期純利益は300,000円でした。税率は30%です。
300,000 × 30% = 90,000円
(借) 法人税等 90,000 / (貸) 未払法人税等 90,000
未払法人税等は負債です。決算日にはまだ納めていないからです。実際の納付は決算日から2か月以内に行います。
注意すべき点が2つあります。
① 法人税等は必ず最後に計算します。ほかの決算整理をすべて終えないと、税引前当期純利益が確定しないからです。第3問で決算整理の項目が並んでいても、法人税等だけは最後に回してください。
② 中間納付をしている場合は、仮払法人税等を差し引きます。
会社は年度の途中で税金の一部を前払いすることがあります。その分は仮払法人税等という資産で記録されています。決算日にはこれを差し引きます。
法人税等が90,000円、仮払法人税等が40,000円ある場合(設例外の金額です)
(借) 法人税等 90,000 / (貸) 仮払法人税等 40,000
未払法人税等 50,00090,000円のうち40,000円はすでに前払いしているので、残りの50,000円だけを未払いとして計上します。
ミナタカ商事は中間納付をしていないので、90,000円が全額そのまま未払法人税等になります。
なお、法人税等は損益計算書では法人税、住民税及び事業税という名前で表示します(単元38)。
この単元の整理事項を、ミナタカ商事で確かめる
ミナタカ商事の決算整理7本のうち、この単元にあたるのは7本目だけでした。
⑦ (借) 法人税等 90,000 / (貸) 未払法人税等 90,000
この1本によって、損益計算書と貸借対照表の最後のピースが埋まります。
損益計算書
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 税引前当期純利益 | 300,000 |
| 法人税、住民税及び事業税 | 90,000 |
| 当期純利益 | 210,000 |
貸借対照表(負債の部の一部)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 未払法人税等 | 90,000 |
この210,000円が、単元1から追いかけてきた当期純利益です。そしてこの金額が、貸借対照表の繰越利益剰余金として現れます。
決算整理が7本すべて終わったので、次の単元35では、これらを反映した決算整理後残高試算表を作ります。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 第3問の資料に現金過不足について何も書かれていない場合、雑損や雑益の仕訳を切りますか。
A. 切りません。資料に書かれていない事項は処理しません。
決算整理は暗記した項目を全部並べる作業ではなく、与えられた資料に応じて必要なものだけを処理する作業です。書いていないものを勝手に足すと、貸借が合わなくなります。
Q. 決算日に現金の実際有高を数えたところ、帳簿残高より2,500円多いことが分かりました。原因は不明です。仕訳を切ってください。
A. (借) 現金 2,500 / (貸) 雑益 2,500
実際のほうが多いので、帳簿の現金を2,500円増やします。決算日に判明した差額なので、現金過不足を経由せず直接雑益にします。
Q. 決算日に収入印紙の未使用分が8,000円ありました。仕訳を切ってください。
A. (借) 貯蔵品 8,000 / (貸) 租税公課 8,000
買ったときに租税公課という費用にしていた分のうち、まだ使っていない8,000円を資産に戻します。貯蔵品は資産なので、増えるときは借方です。
その他の決算整理事項【決算整理】は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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- 財務諸表ラボ(切った仕訳が貸借対照表と損益計算書のどこに現れるかを画面で追う)
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- 単元33 経過勘定と再振替仕訳【決算整理】
- 単元35 決算整理後残高試算表
- 単元36 帳簿の締切と損益振替
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