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その他の決算整理事項【決算整理】

簿記3級 無料テキスト 単元34/第8章 決算 ― 1年をしめくくる/重要度 ★★★★/出題箇所 第3問/読む目安 40分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

決算整理のうち、売上原価・貸倒引当金・経過勘定・減価償却以外をまとめて扱います。原因不明の現金過不足は雑損・雑益へ振り替え、決算日に判明した差額は現金過不足を経由せず直接処理します。

この単元を読み終えるとできること

売上原価・貸倒引当金・経過勘定・減価償却以外の決算整理事項を、ひととおり処理できるようになります。とくに法人税等の計上と、未使用の切手・収入印紙を貯蔵品へ振り替える処理ができるようになります。

なぜこの順番でここに置いているか

第3問の決算整理は、多いときで8項目ほど並びます。そのうち主要な4つ(売上原価・貸倒引当金・経過勘定・減価償却)は単元32・33と単元16・18で扱いました。この単元は、残りをまとめて片づける回です。1項目あたりの配点は小さいものの、どれも仕訳1本で終わるので、取りこぼすと単純に損をします。

残っている整理事項を並べます

決算整理でやることを、もう一度整理します。

整理事項単元
① 売上原価の算定31
② 貸倒引当金の設定32
③ 経過勘定(前払・前受・未払・未収)33
④ 減価償却13
⑤ 現金過不足の整理7・この単元
⑥ 貯蔵品への振替この単元
⑦ 当座借越の振替8・この単元
⑧ 消費税の精算19・この単元
⑨ 法人税等の計上この単元

⑤から⑨がこの単元の範囲です。⑤⑦⑧はそれぞれの単元ですでに処理を見ているので、ここでは決算日の視点でもう一度確認します。

ミナタカ商事の決算整理は7項目でしたが、そのうちこの単元にあたるのは⑨の法人税等だけです。ほかの項目は、この会社では発生していません。発生していない項目の仕訳は切らない、というのも大事な判断です。第3問では「与えられた資料に書いてあることだけを処理する」のが原則です。

現金過不足を雑損・雑益へ

期中に発生した現金過不足のうち、決算日まで原因が分からなかった分は、雑損または雑益へ振り替えます。仮の科目である現金過不足を、決算をまたいで残すことはできないからです。

借方に現金過不足3,000円が残っている場合(設例外の金額です)

(借) 雑損 3,000 / (貸) 現金過不足 3,000

貸方に現金過不足2,000円が残っている場合

(借) 現金過不足 2,000 / (貸) 雑益 2,000

もう1つ、決算日に現金の実際有高を数えたら帳簿と違っていた、という出題があります。この場合は現金過不足を経由しません。

決算日に現金の実際有高が帳簿より1,000円少なかった

(借) 雑損 1,000 / (貸) 現金 1,000

原因を調べる時間がもうないので、仮の場所に置く意味がないためです。

処理の詳細は単元9で扱っています。ここでは「決算日には現金過不足を必ず空にする」という一点を覚えてください。

未使用の切手・収入印紙は貯蔵品へ

郵便切手を買ったとき、通信費という費用で処理します。収入印紙を買ったときは租税公課という費用で処理します(単元22)。

しかし決算日に使い残しがあった場合、その分はまだ費用になっていないはずです。使っていないのですから、当期の費用ではありません。

そこで、未使用分を貯蔵品という資産へ振り替えます。

決算日に、郵便切手の未使用分4,000円と収入印紙の未使用分6,000円があった(設例外の金額です)

(借) 貯蔵品 10,000 / (貸) 通信費   4,000
                        租税公課  6,000

費用を減らして、資産に移します。考え方は前払費用(単元33)とまったく同じです。当期に使った分だけを費用にして、残りは翌期へ送ります。それだけです。

そして翌期首には、再振替仕訳でこれを元に戻します。

(借) 通信費   4,000 / (貸) 貯蔵品 10,000
     租税公課  6,000

翌期に使うことになるので、翌期の費用に戻しておくためです。この再振替を忘れると、翌期の費用が足りなくなります。

当座借越と消費税

当座借越の振替

決算日に当座預金が貸方残高(マイナス)になっている場合、そのままでは貸借対照表に載せられないので、負債へ振り替えます。

(借) 当座預金 150,000 / (貸) 当座借越 150,000

指示があれば借入金を使います。貸借対照表では短期借入金と表示します。詳しくは単元10で扱いました。

消費税の精算

税抜方式では、期中に払った消費税を仮払消費税、受け取った消費税を仮受消費税として記録しています。どちらも仮の科目なので、決算日に精算します。

仮受消費税140,000円、仮払消費税80,000円だった(設例外の金額です)

(借) 仮受消費税 140,000 / (貸) 仮払消費税  80,000
                             未払消費税  60,000

受け取った消費税から払った消費税を差し引いた60,000円が、税務署へ納める金額です。これを未払消費税という負債で計上します。

逆に仮払いのほうが多ければ、差額は還付されるので未収還付消費税という資産になります。

消費税は、会社が預かって納めているだけのお金です。損益計算書には出てきません。詳しくは単元23で扱います。

法人税等の計上 ― ミナタカ商事の90,000円

会社が1年で稼いだ利益には、法人税・住民税・事業税がかかります。簿記ではこれをまとめて法人税等という費用で処理します。

計算のもとになるのは、税引前当期純利益です。

ミナタカ商事の場合、ほかの決算整理をすべて終えた時点で、税引前当期純利益は300,000円でした。税率は30%です。

300,000 × 30% = 90,000円

(借) 法人税等 90,000 / (貸) 未払法人税等 90,000

未払法人税等は負債です。決算日にはまだ納めていないからです。実際の納付は決算日から2か月以内に行います。

注意すべき点が2つあります。

① 法人税等は必ず最後に計算します。ほかの決算整理をすべて終えないと、税引前当期純利益が確定しないからです。第3問で決算整理の項目が並んでいても、法人税等だけは最後に回してください。

② 中間納付をしている場合は、仮払法人税等を差し引きます。

会社は年度の途中で税金の一部を前払いすることがあります。その分は仮払法人税等という資産で記録されています。決算日にはこれを差し引きます。

法人税等が90,000円、仮払法人税等が40,000円ある場合(設例外の金額です)

(借) 法人税等 90,000 / (貸) 仮払法人税等 40,000
                          未払法人税等 50,000

90,000円のうち40,000円はすでに前払いしているので、残りの50,000円だけを未払いとして計上します。

ミナタカ商事は中間納付をしていないので、90,000円が全額そのまま未払法人税等になります。

なお、法人税等は損益計算書では法人税、住民税及び事業税という名前で表示します(単元38)。

法人税等は、先に払って、決算で精算します

この単元の整理事項を、ミナタカ商事で確かめる

ミナタカ商事の決算整理7本のうち、この単元にあたるのは7本目だけでした。

⑦ (借) 法人税等 90,000 / (貸) 未払法人税等 90,000

この1本によって、損益計算書と貸借対照表の最後のピースが埋まります。

損益計算書

項目金額
税引前当期純利益300,000
法人税、住民税及び事業税90,000
当期純利益210,000

貸借対照表(負債の部の一部)

項目金額
未払法人税等90,000

この210,000円が、単元1から追いかけてきた当期純利益です。そしてこの金額が、貸借対照表の繰越利益剰余金として現れます。

決算整理が7本すべて終わったので、次の単元35では、これらを反映した決算整理後残高試算表を作ります。

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. 第3問の資料に現金過不足について何も書かれていない場合、雑損や雑益の仕訳を切りますか。

A. 切りません。資料に書かれていない事項は処理しません。

決算整理は暗記した項目を全部並べる作業ではなく、与えられた資料に応じて必要なものだけを処理する作業です。書いていないものを勝手に足すと、貸借が合わなくなります。

Q. 決算日に現金の実際有高を数えたところ、帳簿残高より2,500円多いことが分かりました。原因は不明です。仕訳を切ってください。

A. (借) 現金 2,500 / (貸) 雑益 2,500

実際のほうが多いので、帳簿の現金を2,500円増やします。決算日に判明した差額なので、現金過不足を経由せず直接雑益にします。

Q. 決算日に収入印紙の未使用分が8,000円ありました。仕訳を切ってください。

A. (借) 貯蔵品 8,000 / (貸) 租税公課 8,000

買ったときに租税公課という費用にしていた分のうち、まだ使っていない8,000円を資産に戻します。貯蔵品は資産なので、増えるときは借方です。

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その他の決算整理事項【決算整理】は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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