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知的財産権

ITパスポート 無料テキスト 単元05/第1章 企業活動と法務/ストラテジ系/重要度 ★★★★★/出題箇所 ストラテジ系/読む目安 50分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

知的財産権は著作権と産業財産権に大きく分かれます。著作権はプログラムや文章などの創作物を保護し、登録なしで発生します。産業財産権には特許権・実用新案権・意匠権・商標権があり、いずれも特許庁への出願が必要です。

この単元を読み終えるとできること

著作権法や産業財産権関連法規、不正競争防止法など知的財産に関する主な法律の対象を説明できるようになります。ソフトウェアライセンスの種類や、AIと著作権の関係も押さえます。

なぜこの順番でここに置いているか

知的財産権はITパスポート試験で最も出題頻度が高いテーマの一つです。ソフトウェアやコンテンツを扱うIT業界では日常的に関わる知識であり、著作権と産業財産権の違いを正確に理解しておくことが得点に直結します。

著作権のしくみと著作隣接権

知的財産権とは、人がつくり出したアイデアや作品を財産として保護するための権利の総称です。大きく分けると、小説や音楽、コンピュータプログラムなどの創作物を守る著作権と、発明やデザインを守る産業財産権の2種類があります。まずは著作権のしくみから見ていきます。

著作権は、作品を創作した時点で自動的に発生します。特許のように役所へ出願したり登録したりする手続きは必要ありません。この考え方を無方式主義と呼びます。保護される対象は小説や音楽、絵画だけでなく、コンピュータプログラムも含まれます。無断でコピーする行為や、違法にアップロードされたコンテンツと知りながらダウンロードする行為は、著作権侵害にあたります。著作権の保護期間は、原則として著作者の死後70年間、法人が著作者である場合は公表後70年間です。保護期間が満了した著作物は誰でも自由に利用できるようになります。

著作物を作った本人が持つ権利のほかに、それを世の中に伝える人にも権利が認められています。これを著作隣接権と呼びます。似ているようで対象が違い、著作権は作品そのものを創作した人を保護するのに対し、著作隣接権は歌手や演奏家などの実演家、CDを製作するレコード製作者、番組を流す放送事業者など、作品を様々な手段で公衆に伝達する人を保護します。無断で作品を公衆に伝達する行為は、著作隣接権の侵害になります。

学校などの教育機関では、遠隔授業といった教育目的であれば、著作物を通常より柔軟に利用できる特例が設けられています。通常なら著作権者の許諾が必要な複製や公衆送信でも、授業で必要な範囲であれば許諾なしに行えるケースがあることを覚えておきましょう。

また近年は、生成AIが学習に利用するデータや、AIが生成した文章・画像についても、誰の著作権に触れる可能性があるかという観点で注意が必要になっています。学習データに他人の著作物が含まれる場合や、AIが既存の作品に似た内容を生成した場合には、著作権上の問題になり得ることを押さえておきましょう。AIを業務で使う機会が増えるIT業界だからこそ、この論点は今後さらに重要になっていきます。

知的財産権:著作権と産業財産権の違い

ソフトウェアライセンスの種類

ソフトウェアは著作物として保護されますが、実際に利用する際は、著作権者が定めた条件のもとで使う権利を得る形になります。この契約を使用許諾契約(ライセンス契約)と呼びます。市販のソフトウェアを購入しても、著作権そのものを手に入れるわけではなく、決められた範囲内で使う権利を得ているにすぎません。ここを勘違いして、購入したソフトウェアを自由に複製・再配布してよいと思い込むと、著作権侵害になってしまいます。

ライセンス契約にはいくつかの種類があり、想定する利用規模によって呼び分けられています。1台のパソコンでの利用を想定した通常のライセンスに対して、企業などがまとめて多数のパソコンで使えるようにする契約をボリュームライセンス契約と呼びます。同様に、特定の施設内であれば台数を問わず利用できるようにする契約をサイトライセンス契約と呼びます。またサーバー製品などでは、実際にアクセスする端末やユーザーの数に応じてライセンスを購入するCAL(Client Access License、クライアントアクセスライセンス)という考え方もあります。

ライセンスの種類は、利用条件の自由度によっても分かれます。ソースコードが公開され、誰でも内容を確認・改変し、再配布もできるオープンソースソフトウェアと、無料で使えるものの改変や再配布は制限されているフリーソフトウェアは、どちらも無償で使える点は似ていますが、自由度が異なります。また著作権の保護期間が満了するなどして誰でも自由に使えるようになった作品は、パブリックドメインソフトウェアと呼ばれます。

利用開始時に、インターネット経由などで正規の利用者であることを確認する仕組みをアクティベーションと呼びます。近年はソフトウェアを一括で買い切るのではなく、月額や年額の料金を払い続けている間だけ利用できるサブスクリプションという方式も広く使われています。買い切り型は初期費用が大きく最新版へのアップデートが有料になりがちなのに対し、サブスクリプション型は支払いを続けている限り常に最新版を使える点が違いです。

産業財産権と不正競争防止法、その他の権利

産業財産権は、発明やデザインなど産業の発展に関わるものを保護する権利で、著作権と違って特許庁への出願と登録が必要です。創作した時点で自動的に発生する著作権とは対照的に、産業財産権は登録して初めて権利が発生し、その後に無断で使用すれば違法となります。産業財産権には特許権・実用新案権・意匠権・商標権の4種類があります。

特許権は自然法則を利用した高度で新しい発明を保護する権利で、コンピュータを使ったビジネスの仕組みそのものを保護するビジネスモデル特許が認められることもあります。実用新案権は物品の形状や構造に関する比較的小規模な考案(小発明)を保護し、特許権に比べて審査が簡易な分、権利の内容も限定的です。意匠権は製品のデザイン(形状・模様・色彩)を、商標権は商品やサービスを他社と区別するロゴや名称であるトレードマーク、サービスマークを保護します。保護期間は特許権が出願から20年、実用新案権が10年、意匠権が25年、商標権は登録から10年ですが、商標権は更新すれば半永久的に保護を継続できる点が他の3つと異なります。

著作権や産業財産権のように登録された権利ではないものの、企業の営業秘密や、事業者間で共有される限定提供データを不正に取得・利用する行為から企業を守る法律として、不正競争防止法があります。技術情報や顧客リストの盗用は、この法律で規制されます。産業財産権が「登録した発明やデザインそのもの」を守るのに対し、不正競争防止法は「登録の有無にかかわらず、不正な手段で競争上の利益を奪う行為」を規制する点が違いです。

このほか、法律に明文化された権利ではなく、判例の積み重ねによって認められてきた権利もあります。無断で自分の写真や映像を利用されない権利を肖像権、有名人の氏名や肖像が持つ経済的な価値を保護する権利をパブリシティ権と呼びます。誰にでも認められる肖像権に対し、パブリシティ権は氏名や肖像が持つ顧客誘引力(集客力)という経済的な価値に着目した権利で、著名人に特に問題となりやすい点が異なります。いずれも法律の条文には直接規定されていない点が、著作権や産業財産権と異なります。

産業財産権4種、保護期間の長さと更新できるか

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. 著作物を創作した時点で登録なしに著作権が発生するという考え方を何と呼びますか。

A. 無方式主義です。著作権は特許権などの産業財産権と異なり、出願や登録の手続きをしなくても創作した時点で自動的に権利が発生します。

Q. オープンソースソフトウェアとフリーソフトウェアの違いを一言で言うと何ですか。

A. オープンソースソフトウェアはソースコードが公開され改変・再配布が認められているのに対し、フリーソフトウェアは無料で使えても改変は制限されている点が異なります。

Q. 特許権・実用新案権・意匠権・商標権のうち、更新によって半永久的に保護を継続できるのはどれですか。

A. 商標権です。保護期間は登録から10年ですが、更新を繰り返すことで半永久的に保護を続けられる点が他の3つの権利と異なります。

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知的財産権は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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