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経営管理とヒューマンリソース

ITパスポート 無料テキスト 単元02/第1章 企業活動と法務/ストラテジ系/重要度 ★★★/出題箇所 ストラテジ系/読む目安 35分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

経営管理はPDCAサイクルを回しながら継続的に改善する活動で、BCPやリスクアセスメントのように不測の事態に備える取り組みも含まれます。人材育成ではOJT・Off-JTに加えコーチングやリスキリングが広がり、人事評価ではMBOやリーダーシップ理論、DE&Iやテレワークといった多様な働き方への配慮が重要なキーワードになります。

この単元を読み終えるとできること

経営管理の基本サイクルであるPDCAや、人材を活かすための人事管理・人材育成の考え方を説明できるようになります。目標管理や多様な働き方を支える制度も押さえます。

なぜこの順番でここに置いているか

経営管理とヒューマンリソースは、組織を継続的に改善していくための基礎知識です。PDCAサイクルはIT分野のプロジェクト管理やサービスマネジメントにも共通する考え方のため、他分野の理解にもつながります。

経営管理サイクル(PDCA)

組織の活動を継続的に改善していくための基本的な考え方がPDCAサイクルです。PDCAはPlan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことで、業務の質を高めていく手法です。Planでは目標を設定して計画を立て、Doでは計画に基づいて業務を行い、Checkでは結果を評価して問題点を確認し、Actでは改善策を次の計画に反映させます。

PDCAは品質管理の分野で生まれた考え方ですが、現在では経営管理全般、プロジェクト管理、ITサービスマネジメントなど幅広い分野で使われています。一方、変化の速い状況で素早く判断するための考え方としてOODAループがあります。OODAはObserve(観察)→Orient(状況判断)→Decide(意思決定)→Act(行動)の頭文字で、あらかじめ立てた計画を回すPDCAに対し、目の前の状況変化に即応することを重視する点が異なります。

経営管理には、予測できない事態への備えも含まれます。地震や感染症の流行、システム障害といった緊急事態が起きても事業を止めない、あるいは早期に復旧させるための計画をBCP(Business Continuity Plan、事業継続計画)と呼び、その計画を平常時から維持・運用していく活動をBCM(Business Continuity Management、事業継続管理)と呼びます。BCPを策定する前段階として、どのようなリスクがどの程度の影響を及ぼすかを洗い出すリスクアセスメントも欠かせません。BCPは自然災害だけでなく、システム障害や取引先の倒産といった幅広いリスクを想定して作られ、実際に発動した際にスムーズに動けるよう、平常時から訓練や見直しを重ねることがBCMの役割です。経営管理の対象は財務・資産・人事・情報など多岐にわたり、それぞれの分野で目標(経営目標)を定め、PDCAを回しながら達成度を確認していく点は共通しています。PDCAとOODAは対立する考え方ではなく、日常業務の改善にはPDCA、突発的なトラブルへの対応にはOODAというように、場面に応じて使い分けることが実務では重要です。試験ではPDCAの各段階の意味や、OODAとの違いを問う問題が出題されます。

PDCAとOODAループの違い

人材育成とキャリア開発

人材育成の代表的な方法として、実際の業務を通じて指導を受けるOJT(On the Job Training)と、業務から離れた研修などで学ぶOff-JT(Off the Job Training)があります。OJTは実務に即した指導ができる一方、指導する上司や先輩のスキルに育成の質が左右されやすい特徴があります。Off-JTは体系的な知識を効率よく学べますが、実務との結びつきをどう作るかが課題になります。

指導方法にも違いがあります。答えを教えるのではなく対話を通じて本人に気づかせ、目標達成を支援する手法をコーチングと呼び、経験豊富な先輩が個別に助言・支援する取り組みをメンタリングと呼びます。また、時間や場所を選ばずに学べるe-ラーニングや、学習者の理解度に応じて内容や難易度を自動で調整するアダプティブラーニングも広がっています。技術の変化に合わせて新しいスキルを学び直すことをリスキリングと呼び、自主的に学習を進める自己啓発とあわせて、変化の速い時代の人材育成のキーワードになっています。

従業員一人ひとりの中長期的な能力開発計画をCDP(Career Development Program)と呼び、本人の適性や希望を踏まえて計画的に経験を積ませる仕組みです。単発の研修で終わらせず、数年単位でどのような経験を積ませるかを設計する点がCDPの特徴です。人事データを活用して採用・配置・育成を効率化するITツールをHRテック(HR Tech)と呼び、人的資源管理全般を指すHRM(Human Resource Management)の実践を支えています。従業員の心身の健康を保つメンタルヘルスへの配慮も、継続的な人材育成の前提として欠かせません。育成にかけた時間や費用が生かされるかどうかは、本人の意欲だけでなく、職場の環境やメンタルヘルスの状態にも左右されるため、企業は制度と職場づくりの両面から人材育成を支える必要があります。OJT・Off-JT・自己啓発は、それぞれ単独で完結させるのではなく、CDPに沿って組み合わせることで、従業員のキャリア全体を見据えた育成につながります。

人事評価と多様な働き方

従業員の目標達成度を評価する仕組みとして目標管理制度(MBO、Management by Objectives)があります。従業員自身が上司と相談しながら目標を設定し、一定期間後に達成度を評価することで、モチベーション(意欲)の向上につながります。評価制度には他にも、能力・態度・実績を評価する人事考課や、上司だけでなく同僚や部下からも評価を受ける360度評価があります。

組織を率いる力であるリーダーシップにはさまざまな理論があります。状況に応じて有効なリーダーシップの型は変わるとするコンティンジェンシー理論、特定の一人ではなくメンバー同士がリーダーシップを分かち合うシェアードリーダーシップ、メンバーを支えることを通じて成果を引き出すサーバントリーダーシップなどが代表例です。従業員が仕事にやりがいを感じ主体的に取り組む状態をワークエンゲージメントと呼び、優秀な人材の離職を防ぐリテンション、将来を見据えて人材を育成・配置するタレントマネジメントとあわせて重要視されています。

性別・年齢・国籍・障がいの有無など多様な背景を持つ人材が能力を発揮できる環境を整える考え方をDE&I(Diversity, Equity & Inclusion、多様性・公平性・包摂性)と呼びます。仕事と生活の調和を図るワークライフバランスを実現する手段として、自宅で働く在宅勤務、外出先で働くモバイルワーク、専用の共有拠点で働くサテライトオフィス勤務、休暇先で働きながら過ごすワーケーションなどテレワークの多様な形態も広がっています。一方でテレワークは、勤務時間の管理や体調変化への気づきが難しくなるなど、労務管理の面で新たな課題も生んでいます。制度を整えるだけでなく、離れた場所で働く従業員とどう信頼関係を築くかも、これからのヒューマンリソースマネジメントの重要なテーマです。DE&Iやワークライフバランス、テレワークといった取り組みはいずれも、従業員が能力を発揮しやすい環境を整えることでワークエンゲージメントを高め、結果として企業の成長につなげるという共通の狙いを持っています。

テレワークの4つの形態

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. PDCAサイクルのCheckの段階では何を行いますか。

A. 実行した結果を評価し、目標に対する達成度や問題点を確認する

Checkは計画(Plan)に対して実行(Do)した結果を検証する段階で、この評価をもとに次のAct(改善)につなげます。状況変化への即応を重視するOODAループとは目的が異なります。

Q. 実際の業務を通じて行う人材育成の方法を何と呼びますか。

A. OJT(On the Job Training)

OJTは職場で実務を行いながら上司や先輩から指導を受ける育成方法で、実践的なスキルを身につけやすい特徴があります。研修などで学ぶOff-JTと組み合わせて活用されます。

Q. 従業員自身が目標を設定し、達成度を評価する制度を何と呼びますか。

A. 目標管理制度(MBO)

MBOは従業員が主体的に目標設定に関わることで、モチベーションと達成度の両方を高める狙いがあります。360度評価のように多方向から評価する仕組みと組み合わせて使われることもあります。

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