無料ではじめる

企業活動と組織形態

ITパスポート 無料テキスト 単元01/第1章 企業活動と法務/ストラテジ系/重要度 ★★★/出題箇所 ストラテジ系/読む目安 35分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

企業は利益の追求だけでなく、社会的責任も果たす存在です。企業理念やCSR、パーパス経営、人的資本経営といった考え方、株式会社をはじめとする会社形態、機能別組織や事業部制組織などの組織構造を押さえておくと、経営戦略の単元もスムーズに理解できます。

この単元を読み終えるとできること

企業がどのような目的で活動し、どのような形態や組織構造をとるのかを説明できるようになります。株式会社の仕組みや主な組織形態の違いを整理して押さえます。

なぜこの順番でここに置いているか

ストラテジ系の導入となる分野で、企業活動の基本用語は他の単元(経営管理や会計・財務)を理解する土台になります。試験では企業理念や組織形態に関する用語の意味を問う問題が定期的に出題されます。

企業活動の目的と企業理念

企業は、商品やサービスを提供して利益を得ることを主な目的とする組織です。ただし利益だけを追い求めるのではなく、社会の一員として果たすべき責任も重視されています。この考え方をCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)と呼びます。CSRには、環境への配慮、地域社会への貢献、従業員への公正な処遇などが含まれます。

企業が長期的に目指す方向性を示すものが企業理念(経営理念)です。近年は、ミッション(使命)・ビジョン(目指す姿)・バリュー(行動指針)の頭文字を取ったMVVとして整理されることが増えています。企業が「何のために存在するのか」という存在意義を軸に経営する考え方をパーパス経営と呼び、従業員の共感を得やすくする狙いがあります。また、従業員を単なる人件費ではなく将来の価値を生み出す資本ととらえ、育成に積極的に投資する考え方を人的資本経営と呼びます。

企業を取り巻く株主・従業員・取引先・地域社会などの利害関係者をステークホルダと呼びます。近年は環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の頭文字を取ったESGという評価軸も重視されており、投資家がESGへの取り組みを基準に投資先を選ぶことをSRI(社会的責任投資)と呼びます。CSRが企業の自主的な社会貢献であるのに対し、SRIは投資家側の判断基準という違いがあります。企業がブランドとしての信頼を積み上げることをコーポレートブランドと呼び、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みもブランド価値の向上につながります。

企業理念は一度決めたら終わりというものではなく、事業内容が変わったり社会の期待が変わったりすれば、時代に合わせて見直されることもあります。例えば、環境問題への関心が高まるにつれて、多くの企業がCSRやESGの取り組みを経営計画やIR(投資家向け広報)の中で積極的に発信するようになりました。ステークホルダは株主だけでなく、顧客・取引先・従業員・地域住民など立場によって企業に期待するものが異なるため、それぞれの声にどう応えるかが経営の課題になります。

試験では、CSRやESGといった略語の意味を問う問題や、企業理念の役割を説明させる問題が出題されます。略語はそのまま覚えるのではなく、何の頭文字かを理解しておくと忘れにくくなります。

会社の種類と株式会社の仕組み

日本の会社法では、会社の形態として株式会社合同会社合名会社合資会社の4種類が定められています。このうち最も多く使われているのが株式会社です。

株式会社は、事業に必要な資金を株式という形で複数の投資家から集める仕組みを持っています。株式を購入した人を株主と呼び、株主は出資額の範囲内でのみ責任を負う有限責任という特徴があります。会社が倒産しても、株主は出資した金額以上の負担を負うことはありません。

株式会社の経営を担うのが取締役であり、取締役の中から選ばれた代表取締役が会社を代表します。株主は年に一度開かれる株主総会に出席し、取締役の選任や決算(1年間の経営成績や財産状況の確定)の承認などの重要事項を決定します。経営が適切に行われているかを確認する役割として監査役が置かれることもあり、外部の専門家が財務諸表を確認する監査も企業の信頼性を支える仕組みです。企業が経営状況を株主や社会に公開することをディスクロージャー(情報開示)と呼び、株主総会での説明や決算の公表もその一つです。つまり、出資者(株主)と経営者(取締役)が分かれている点が株式会社の大きな特徴で、これを所有と経営の分離と呼びます。

一方、合同会社は出資者自身が経営を行う仕組みで、株式会社に比べて設立コストが低く、意思決定も迅速に行える点が特徴です。株式会社が所有と経営を分けて多くの株主から資金を集めやすいのに対し、合同会社は少人数で機動的に経営したい場合に向いています。複数の企業が共同で出資して新しい会社を設立する形態を合弁会社(ジョイントベンチャー)と呼びます。異なる企業の技術やノウハウを組み合わせて新規事業に取り組む際に用いられる方法です。また、他の会社の株式を保有して支配することを主な事業とする会社を持株会社と呼び、グループ経営の中核として機能します。上場している株式会社は、決算の内容をまとめた有価証券報告書などを通じてディスクロージャーを行い、投資家が経営状況を確認できるようにしています。

株式会社のガバナンス構造

組織形態と経営資源

企業の内部組織にはいくつかの代表的な形態があります。組織を役職ごとに上下関係で積み上げた基本形を階層型組織と呼び、その中でも営業・製造・開発・人事といった業務の機能ごとに部門を分ける形態を機能別組織(職能別組織)と呼びます。専門性を高めやすい一方で、部門間の連携がとりにくくなる場合があります。

事業部制組織は、製品やエリアごとに事業部を設け、それぞれが独立採算で活動する形態です。各事業部が意思決定を迅速に行える利点がありますが、機能が事業部ごとに重複しコストがかさむことがあります。事業部制をさらに独立させ、それぞれを別会社に近い形で経営する仕組みをカンパニー制と呼びます。

さらに、機能別と事業部制を組み合わせ、一人の従業員が複数の上司の指示を受ける形態をマトリックス組織と呼びます。専門性と事業視点の両方を活かせる一方で、指揮命令系統が複雑になりやすいという課題があります。特定の目的のために期間を区切って編成されるプロジェクト組織も、新規事業や大型案件でよく使われます。

経営層では、最高経営責任者を意味するCEO(Chief Executive Officer)や、情報戦略を統括するCIO(Chief Information Officer)、財務を統括するCFO(Chief Financial Officer)のように「Chief ○○ Officer」の形で役割を示すCxOという呼び方が使われます。それぞれの経営幹部が専門領域の意思決定を担うことで、経営者一人にすべての判断が集中する負担を分散できます。組織を動かすために必要な経営資源は、一般にヒト・モノ・カネ・情報の4つに整理され、企業がどの経営資源をどの組織形態に投じるかによって成長のスピードも変わってきます。設立間もない企業は階層型組織のまま機能別組織で運営されることが多く、事業が拡大して製品や地域が増えるにつれて事業部制やカンパニー制へ移行していくという流れもよく見られます。試験では組織形態のメリット・デメリットを問う問題がよく出題されるため、「専門性重視なら機能別」「迅速な意思決定なら事業部制」という対比で整理しておくと覚えやすくなります。

組織形態の比較

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. 企業が利益追求だけでなく果たすべき社会的責任を表す略語は何ですか。

A. CSR(企業の社会的責任)

Corporate Social Responsibilityの頭文字で、環境配慮や地域貢献など企業が担う社会的な責任を指します。投資家の判断基準であるSRIとは主体が異なる点に注意しましょう。

Q. 株主が出資額の範囲内でのみ責任を負う仕組みを何と呼びますか。

A. 有限責任

株式会社の株主は、会社の債務について出資額を超える責任を負わない有限責任が原則です。これにより投資家は安心して出資できます。

Q. 製品やエリアごとに独立採算で運営される組織形態を何と呼びますか。

A. 事業部制組織

事業部制組織は製品別・地域別などに事業部を分け、各事業部が権限を持って迅速に意思決定できる点が特徴です。専門性を高めやすい機能別組織とは目的が異なります。

ここから先は無料登録で

企業活動と組織形態は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

無料で続きを見る メールアドレスだけで始められます。登録は無料で、インストールも不要です。
次の単元経営管理とヒューマンリソース

「第1章 企業活動と法務」の他の単元

← 単元一覧へ

この単元を、手を動かして確かめる

ITパスポートAIチューターでは、いま読んだ単元の四択問題をその場で解いて、 どこで間違えたかまで解説付きで確かめられます。 わからないところはITパスポート専用のAIチューターに訊けます。

この単元をアプリで開く 登録は無料。メールアドレスだけで始められます。