株式会社の純資産
純資産は、株主が出した資本金と、会社が稼いで残した繰越利益剰余金でできています。株式を発行して出資を受けたときは、3級では払込金額の全額を資本金とします。
株式を発行して会社をつくったときの仕訳が書けるようになります。稼いだ利益が繰越利益剰余金として積み上がる流れと、そこから配当をするときの仕訳(未払配当金と利益準備金の積立)を説明できるようになります。
純資産は、資産から負債を引いた残りです。株主が出したお金(資本金)と、会社が稼いで残したお金(繰越利益剰余金)の2つでできています。この2つの区別がつくと、貸借対照表の右下が何を表しているのかが見えてきます。配当の仕訳は第1問でよく出ます。
純資産は「株主が出した分」と「稼いで残した分」
株式会社は、株主からお金を集めて事業を始めます。集めたお金は返す必要がありません。借入金と違い、返済義務がないからです。だから負債ではなく純資産になります。
純資産は大きく2つに分かれます。
| 区分 | 科目 | 中身 |
|---|---|---|
| 株主が出した | 資本金 | 出資されたお金 |
| 会社が稼いで残した | 繰越利益剰余金 | 過去からの利益の累計 |
ミナタカ商事の貸借対照表を見てください。
純資産 資本金 1,000,000 繰越利益剰余金 210,000 合計 1,210,000
資本金1,000,000円は、×1年4月1日に株主が出したお金です。繰越利益剰余金210,000円は、この1年で稼いだ当期純利益がそのまま乗ったものです。設立初年度なので、過去からの繰越はありません。
つまり純資産1,210,000円は、「元手1,000,000円が、1年で1,210,000円になった」という結果を表しています。
会社をつくったとき ― 株式の発行
株式を発行して出資を受けたときは、受け取ったものを借方に、資本金を貸方に書きます。
ミナタカ商事の設立(×1年4月1日)
株主から現金1,000,000円の出資を受けて会社を設立した。
(借) 現金 1,000,000 / (貸) 資本金 1,000,000
資本金は純資産なので、増えたら貸方です。
3級では、払込金額の全額を資本金にします。実際の会社法では一部を資本準備金にできますが、3級では扱いません。
増資
設立後に追加でお金を集めることを増資といいます。仕訳は設立時と同じ形です。
1株あたり50,000円で新たに10株を発行し、当座預金に払い込まれた(設例外の金額です)
(借) 当座預金 500,000 / (貸) 資本金 500,000
1株あたりの金額と株数が問題文に出てきたら、掛け算して払込総額を出します。ここで株数だけを見て仕訳しないよう気をつけてください。
稼いだ利益は繰越利益剰余金に積み上がる
1年間の利益は、決算で損益という集計用の勘定に集められ、最後に繰越利益剰余金へ振り替えられます。
ミナタカ商事の決算(×2年3月31日)
(借) 損益 210,000 / (貸) 繰越利益剰余金 210,000
当期純利益210,000円が、そのまま純資産の増加になります。この仕訳の詳しい手順は単元36で扱います。
ここで押さえたいのは、利益は現金ではなく純資産として残るということです。稼いだ210,000円が金庫に210,000円あるわけではありません。売掛金になっていたり、商品や備品に姿を変えていたりします。
損失が出た年は逆になります。
(借) 繰越利益剰余金 / (貸) 損益
繰越利益剰余金が減ります。マイナスになることもあり、その場合は貸借対照表にマイナスで表示されます。
配当 ― 稼いだ利益を株主に分ける
積み上がった繰越利益剰余金は、株主総会の決議で株主に分配できます。これが配当です。
仕訳は2つの場面に分かれます。
①株主総会で決議したとき
この時点ではまだ払っていません。払う義務が決まっただけです。だから未払配当金という負債にします。
株主総会で配当金100,000円と、利益準備金10,000円の積立が決議された(設例外の金額です)
(借) 繰越利益剰余金 110,000 / (貸) 未払配当金 100,000
/ 利益準備金 10,000借方の110,000円は、配当と積立の合計です。繰越利益剰余金から、その分が出ていきます。
利益準備金とは
配当をするときは、法律で一定額を会社に積み立てておくことが求められます。株主に配りすぎて会社が弱らないようにするためです。積み立てたものが利益準備金で、これも純資産です。
注意したいのは、利益準備金の積立では純資産の総額が減らないことです。繰越利益剰余金から利益準備金へ、純資産の中で移し替えているだけだからです。減るのは配当した100,000円のほうです。
②実際に支払ったとき
(借) 未払配当金 100,000 / (貸) 当座預金 100,000
負債が消えます。決議と支払いが別の仕訳になるのは、法人税等(単元22)と同じ考え方です。
配当をいくら払うかに、決まった正解はありません。利益のうち何割を配当に回すかという配当性向を目安にしながら、最後は会社ごとの方針で決めています。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 株主から集めたお金は、負債と純資産のどちらですか。
A. 純資産です。
借入金と違って返済する義務がないからです。返さなくてよいお金なので、負債ではなく会社の正味の持ち分になります。
Q. 1株50,000円で10株を発行し、当座預金に払い込まれました。資本金はいくら増えますか。
A. 500,000円です。50,000円×10株で計算します。
3級では払込金額の全額を資本金とするからです。1株あたりの金額と株数が示されたら、掛け算した総額が資本金の増加額になります。
Q. 当期純利益210,000円が出ました。どの科目に振り替えますか。
A. 繰越利益剰余金です。損益勘定から振り替えます。
稼いだ利益は株主のものとして会社に残るからです。返済義務のない持ち分なので、純資産が増えます。
株式会社の純資産は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
- この単元の確認問題 あと1問
- この単元の問題 11問(どこをどう間違えたかまで解説)
- この単元のひっかけ(本試験がどう引っかけてくるか)
- 財務諸表ラボ(切った仕訳が貸借対照表と損益計算書のどこに現れるかを画面で追う)
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- 間違えた問題だけを自動で拾い直す復習リスト
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