税金と貯蔵品
会社が払う税金は3つに分かれます。固定資産税や印紙税など事業のコストになるものは租税公課、利益に対してかかる法人税・住民税・事業税はまとめて法人税等、社員から天引きした所得税は預り金です。
会社が払う税金を、費用になるものとならないものに分けられるようになります。収入印紙や固定資産税を租税公課で処理し、期末に未使用分を貯蔵品へ振り替える流れを説明できるようになります。法人税等の中間納付から確定・納付までの3本の仕訳が書けるようになります。
税金は種類ごとに使う科目が違います。丸暗記しようとすると必ずどれかが抜けます。「その税金は会社の費用なのか、利益から差し引かれるものなのか、そもそも会社のお金ではないのか」という3つの物差しを持つと、初めて見る税金でも当たりがつきます。第1問で問われるのはこの区別です。
税金を3つに分ける
会社はいろいろな税金を払います。簿記で迷わないために、まず3つに分けます。
| 分類 | 使う科目 | 例 |
|---|---|---|
| ①会社の費用になる税金 | 租税公課(費用) | 固定資産税、印紙税、自動車税 |
| ②利益に対してかかる税金 | 法人税等(費用) | 法人税、住民税、事業税 |
| ③会社が預かっているだけ | 所得税預り金など(負債) | 社員の給料から天引きした所得税 |
①は事業をするうえでかかるコストなので、費用として当期の利益を減らします。
②も費用の科目ですが、性質が違います。利益が出たあとで、その利益に対してかかる税金だからです。損益計算書でも、税引前当期純利益の下に別枠で並びます(単元37で見ます)。
③は会社の費用ではありません。社員が払うべき税金を会社が預かって代わりに納めているだけです(単元21)。
消費税は①〜③のどれとも違う扱いになるため、単元23で別に見ます。
租税公課で処理する税金
固定資産税や印紙税を払ったときは、租税公課という費用で処理します。
固定資産税50,000円を現金で納付した(設例外の金額です)
(借) 租税公課 50,000 / (貸) 現金 50,000
収入印紙10,000円を現金で購入した(設例外の金額です)
(借) 租税公課 10,000 / (貸) 現金 10,000
収入印紙は、契約書や領収書に貼って印紙税を納めるためのものです。買った時点では郵便局にある切手のような形をしていますが、簿記では買った時点で全額を費用にします。
注意したいのは、租税公課は「税金を払ったときの科目」であって、「税金という名前がついたものを全部入れる箱」ではないことです。法人税等は別ですし、社員から預かった所得税も違います。
郵便切手は税金ではありませんが、買った時点で全額を費用にする点は同じです。こちらは通信費で処理します。
期末に残った印紙と切手は貯蔵品へ
買った時点で全額を費用にしたので、期末に使い残しがあると費用が多すぎる状態になっています。当期に使っていないものまで当期の費用に入っているからです。
そこで決算で、未使用分だけを費用から資産に戻します。使う科目は貯蔵品です。
期末に収入印紙3,000円と郵便切手1,000円が未使用だった(設例外の金額です)
(借) 貯蔵品 4,000 / (貸) 租税公課 3,000
/ 通信費 1,000貸方は、買ったときに使った科目にそのまま戻します。印紙は租税公課へ、切手は通信費へです。まとめて租税公課に戻してしまう間違いが多い場所です。
貯蔵品は資産なので、貸借対照表に載ります。そして翌期首に再振替仕訳をして、また費用に戻します。
(借) 租税公課 3,000 / (貸) 貯蔵品 4,000 (借) 通信費 1,000 /
翌期に使うものだからです。この行ったり来たりの考え方は、経過勘定(単元33)とまったく同じ構造をしています。決算整理としての貯蔵品は単元34でもう一度扱います。
法人税等 ― 中間納付から確定まで
法人税・住民税・事業税は、まとめて法人税等という1つの科目で処理します。3級ではこの3つを分けません。
流れは3本の仕訳になります。
①中間納付(期の途中)
年度の途中で、前年の実績などをもとに概算で先に納めます。まだ当期の利益が確定していないので、仮払法人税等という資産で預けておきます。
中間申告により40,000円を現金で納付した(設例外の金額です)
(借) 仮払法人税等 40,000 / (貸) 現金 40,000
②決算で確定
決算で当期の利益が固まると、納める税額が決まります。確定額を法人税等として計上し、中間納付した分を差し引いた残りを未払法人税等という負債にします。
ミナタカ商事の確定額は90,000円です。中間納付を40,000円していたとすると、
(借) 法人税等 90,000 / (貸) 仮払法人税等 40,000
/ 未払法人税等 50,000仮払法人税等は、預けてあったものが精算されて消えます。残りの50,000円はこれから払う義務なので負債です。
③翌期に納付
(借) 未払法人税等 50,000 / (貸) 現金 50,000
負債が消えます。①②③を通して見ると、資産で預ける→確定して負債に振り替える→払って消す、という3段階になっています。仮払金(単元14)とまったく同じ動き方です。
法人税には中間納付があり、前年の利益が大きいと翌年の途中で先に納めることになります。利益が出た翌年ほど資金繰りが苦しくなるのは、この仕組みのためです。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 固定資産税と法人税は、どちらも会社が払う税金です。同じ科目で処理しますか。
A. しません。固定資産税は租税公課、法人税は法人税等で処理します。
固定資産税は資産を持っていることに対してかかる事業のコストですが、法人税は稼いだ利益に対してかかる税金だからです。損益計算書での位置も変わります。
Q. 収入印紙を買ったとき、資産と費用のどちらで処理しますか。
A. 費用(租税公課)で処理します。
買ってすぐ使う前提の少額のものを、いちいち資産として管理するのは手間に合わないからです。ただし期末に残っていた分は、次の節のとおり資産に戻します。
Q. 期末に未使用の切手が残っていました。貸方はどの科目に戻しますか。
A. 通信費です。租税公課ではありません。
切手を買ったときに通信費で処理したからです。戻し先は、買ったときに使った科目と一致させます。
税金と貯蔵品は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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- この単元のひっかけ(本試験がどう引っかけてくるか)
- 財務諸表ラボ(切った仕訳が貸借対照表と損益計算書のどこに現れるかを画面で追う)
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