補助簿の全体像
必ず作る主要簿に対し、補助簿はもっと細かく知りたいときに作る任意の帳簿です。日付順に並べる補助記入帳(現金出納帳・仕入帳・売上帳など)と、相手先や品目別にページを分ける補助元帳(売掛金元帳・商品有高帳・固定資産台帳など)に分かれます。
主要簿と補助簿の関係を地図として説明できるようになります。ある取引がどの補助簿に記入されるかを判断できるようになります。統制勘定と補助元帳の関係が分かるようになります。
第2問で「この取引はどの補助簿に記入されるか」を問う形式が定番です。補助簿の名前を10個覚えるのではなく、「何を細かく知りたいときに作る帳簿か」で整理すると、初めて見る取引でも判断できます。
補助簿は「もっと細かく知りたい」から作る
総勘定元帳を見れば、売掛金の残高は分かります。しかしどの得意先にいくら残っているかは分かりません。売掛金勘定は全得意先をまとめた1本の科目だからです。
そこで、必要に応じて細かい帳簿を作ります。これが補助簿です。法律上の義務はなく、会社が必要と判断したものだけを作ります。
補助簿は大きく2種類に分かれます。
| 種類 | 何をするか | 例 |
|---|---|---|
| 補助記入帳 | ある取引を発生順に細かく記録する | 現金出納帳、仕入帳、売上帳 |
| 補助元帳 | ある科目を相手先・種類別に分けて記録する | 売掛金元帳、商品有高帳、固定資産台帳 |
見分け方は、日付順に並んでいるか(記入帳)、相手先や品目ごとにページが分かれているか(元帳)です。仕訳帳と総勘定元帳の関係と同じ構造になっています。
主な補助簿の一覧
3級で出てくる補助簿は次のとおりです。
| 補助簿 | 何を記録するか | 種類 |
|---|---|---|
| 現金出納帳 | 現金の増減 | 記入帳 |
| 当座預金出納帳 | 当座預金の増減 | 記入帳 |
| 小口現金出納帳 | 小口現金の増減 | 記入帳 |
| 仕入帳 | 仕入の明細 | 記入帳 |
| 売上帳 | 売上の明細 | 記入帳 |
| 商品有高帳 | 商品の数量・単価・残高 | 元帳 |
| 売掛金元帳(得意先元帳) | 得意先ごとの売掛金 | 元帳 |
| 買掛金元帳(仕入先元帳) | 仕入先ごとの買掛金 | 元帳 |
| 固定資産台帳 | 固定資産の取得・償却の履歴 | 元帳 |
第2問では「次の取引はどの補助簿に記入されるか、すべて選べ」という形式で問われます。1つの取引が複数の補助簿に載ることがあるのがポイントです。
商品200,000円を掛けで仕入れた(設例外の金額です)
(借) 仕入 200,000 / (貸) 買掛金 200,000
この取引が載る補助簿は3つです。
- 仕入帳(仕入があったから)
- 買掛金元帳(買掛金が増えたから)
- 商品有高帳(商品が増えたから)
仕訳に出てくる科目を1つずつ見て、「この科目の細かい帳簿はあるか」と確認していけば、漏れません。商品有高帳は仕訳の科目に「商品」と出てこないので忘れやすい場所です。仕入と売上は必ず商品有高帳に響きます。
統制勘定と補助元帳 ― 合計は必ず一致する
売掛金元帳は、得意先ごとにページを分けた帳簿です。A社のページ、B社のページ、というように並びます。
このとき、総勘定元帳の売掛金勘定の残高と、売掛金元帳の全ページの合計は必ず一致します。同じ売掛金を、まとめて見るか分けて見るかの違いしかないからです。
この関係で、まとめ役になっている総勘定元帳側の科目を統制勘定といいます。
総勘定元帳 売掛金(統制勘定)400,000 │ 売掛金元帳 A社 250,000 B社 150,000 → 合計400,000
一致しなければ、どちらかに記入漏れか誤りがあります。補助元帳は検算の道具でもあるわけです。
買掛金と買掛金元帳も同じ関係です。固定資産台帳と備品勘定・減価償却累計額勘定も同じで、台帳の期末帳簿価額の合計は、備品から減価償却累計額を引いた金額と一致します(単元20)。
手形記入帳について
従来の3級には、受取手形記入帳と支払手形記入帳という補助簿がありました。手形を1枚ごとに管理し、いつ決済されたかをてん末欄に書く帳簿です(単元12)。
これらは2027年4月1日以降の試験では出題されません。手形そのものが3級の範囲から外れるためです。手形記入帳も一緒に消えます。
2026年度中に受験する方は、補助簿の一覧に含めて覚えてください。2027年度以降に受験する方は、次のように読み替えます。
| 2026年度まで | 2027年度から |
|---|---|
| 受取手形記入帳 | (出題されない) |
| 支払手形記入帳 | (出題されない) |
電子記録債権・電子記録債務は範囲に残ります。ただし専用の補助簿は3級では扱いません。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 補助簿は必ず作らなければなりませんか。
A. 義務ではありません。会社が必要と判断したものだけを作ります。
必ず作るのは仕訳帳と総勘定元帳の主要簿だけだからです。補助簿は経営上もっと細かく知りたいときに足すものです。
Q. 商品を掛けで仕入れました。記入される補助簿をすべて挙げてください。
A. 仕入帳、買掛金元帳、商品有高帳の3つです。
仕入という取引、買掛金という科目、商品という物の3つがそれぞれ動いているからです。仕訳の科目だけを見ると商品有高帳を落とします。
Q. 総勘定元帳の売掛金残高が400,000円、売掛金元帳の合計が380,000円でした。何が起きていますか。
A. どちらかに記入漏れか誤りがあります。この2つは必ず一致します。
同じ売掛金を、まとめて記録するか得意先別に記録するかの違いしかないからです。金額が違うということは、片方だけに書いた取引があるということです。
補助簿の全体像は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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