e-ビジネスとIoTの活用
電子商取引にはBtoB・BtoC・CtoCなどの分類があり、それぞれ取引の主体が異なります。決済ではEMV 3-Dセキュアなどの本人確認の仕組みも広がっています。
電子商取引(EC)の種類や決済の仕組み、IoTを活用したビジネスの広がりを説明できるようになります。近年の試験で重視されるDXとの関連も押さえます。
e-ビジネスとIoTはIT技術の進化とともにビジネスの現場で急速に広がっている分野で、ITパスポート試験でも近年出題が増えています。EC取引の分類やIoTの仕組みは実務的な理解にもつながります。
電子商取引(EC)の種類
インターネットなどのネットワークを通じて商品やサービスを売買する取引を電子商取引(EC: Electronic Commerce)と呼びます。店舗や店員にかかるコストを抑え、少ない投資で事業に参入できることが特徴で、実店舗では置ききれない数の商品を扱うロングテール、基本機能を無料にして一部を有料にするフリーミアム、店舗を持たずに事業を営む無店舗販売といった考え方も、ECだからこそ成立しやすいビジネスモデルです。
ECは取引の主体によって分類されます。企業と企業の間で行われる取引がBtoB(Business to Business)で、原材料の調達や部品の発注など企業間取引を電子化したものです。企業と消費者の間の取引がBtoC(Business to Consumer)で、私たちが日常的に利用するネットショッピングサイトが最も身近な形態です。消費者同士の取引がCtoC(Consumer to Consumer)で、フリマアプリやオークションサイトが代表例です。企業と行政機関の取引はBtoG(Business to Government)と呼ばれ、電子入札などが該当します。「B(企業)」「C(消費者)」「G(行政)」という主体の組み合わせで読み解くと、アルファベットを丸暗記するより混同しにくくなります。
企業間取引では、注文書や請求書などのやり取りを標準化された形式で電子的に行うEDI(電子データ交換)、金融機関の口座間で資金を電子的に移動するEFT(電子資金移動)もあわせて使われます。また、ネット上の注文と実店舗への来店を結びつける動きをO2O(Online to Offline)、オンラインとオフラインの垣根をなくして一体的にサービスを提供する考え方をOMO(Online Merges with Offline)と呼びます。O2Oが「ネットから店舗へ人を呼び込む」という一方向の働きかけであるのに対し、OMOはオンラインとオフラインを区別せず、顧客にとって使いやすい体験を一体で設計するという考え方の違いがあります。
電子決済とキャッシュレス化
電子商取引の普及にともない、支払い方法も多様化しています。現金を使わずに決済する仕組みをキャッシュレス決済と呼び、クレジットカード、電子マネー、QRコード決済などがあります。電子マネーには、あらかじめ金額をチャージして使うプリペイド方式と、利用金額を後日まとめて口座から引き落とすポストペイ方式があり、交通系ICカードの多くはプリペイド方式を採用しています。スマートフォンの画面や店舗のコードを読み取って支払うQRコード決済(バーコード決済)は、専用の読み取り機器を店舗側が用意する必要が少なく、比較的低コストで導入できる点が普及の背景にあります。
インターネット上の通信内容を第三者に読み取られないよう暗号化する技術がSSL/TLSです。ECサイトでカード情報を入力する際、URLが「https」で始まっているかを確認するとよいと言われるのは、この暗号化が有効かどうかの目安になるためです。クレジットカードのオンライン決済では、これに加えてパスワードなどでカード名義人本人であることを追加確認する国際的な仕組みとしてEMV 3-Dセキュアがあり、不正利用対策として広がっています。
金融とITを組み合わせた新しいサービスの総称をフィンテック(FinTech)と呼び、ブロックチェーン技術を使う暗号資産、中央銀行が発行するデジタル通貨であるCBDCもその一例です。また、デジタルデータに唯一性を持たせ、複製できない資産として扱えるようにする技術をNFT(非代替性トークン)と呼び、デジタルアートの取引などに使われています。口座開設などの際にオンラインで本人確認を完結させる仕組みをeKYC、マネーロンダリングやテロ資金供与を防ぐための対策をAML・CFTと呼び、いずれも電子商取引を安全に運用するための重要な仕組みです。取引の代金をいったん第三者が預かり、商品の受け渡しが確認できてから売り手に支払うエスクローサービスは、面識のない者同士がインターネット上で安心して取引するための仕組みとして、CtoCの取引などで使われています。
IoTの活用とDX
身の回りのさまざまな「モノ」がインターネットに接続され、データをやり取りする仕組みをIoT(Internet of Things、モノのインターネット)と呼びます。家電製品や自動車、工場の設備、農業機器などが、センサーや通信機能を備えることでネットワークにつながり、情報を収集・共有できるようになっています。
IoTの仕組みは、モノが「耳」と「口」を持った状態に例えるとイメージしやすくなります。センサーが温度・位置・稼働状況などを感じ取る「耳」の役割を、通信機能がそのデータをネットワークへ送る「口」の役割を果たします。そして、送られたデータをもとに指示を受け、実際にモノを動かすアクチュエータが「手」にあたります。感じ取り、伝え、動かすという3つの役割がそろって初めて、IoTは意味のある働きをします。
収集したデータは、機器の遠隔制御や、故障の予兆を検知してから壊れる前に対応する予知保全、生産効率の改善などに活用されます。製造業では工場の設備にセンサーを取り付け、稼働データを分析して予知保全を行う例が広がっています。都市の交通・エネルギー・防災などをIoTやデータで最適化するまちづくりをスマートシティ、家庭のエネルギー利用を見える化し制御する仕組みをHEMS(家庭用エネルギー管理システム)、IoTを取り入れた工場をスマートファクトリーと呼びます。
こうしたデジタル技術の活用は、業務効率化にとどまらず、企業のビジネスモデルそのものを変革する動きにもつながっています。この考え方をDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼びます。AIやIoT、ビッグデータを活用して製品・サービス・業務プロセス・企業文化までも変革し、新たな価値を生み出す取り組みを指し、ITツールの導入そのものではなく、その先にある事業や組織の変革までを視野に入れている点が重要です。
なお、IoTがモノをネットワークにつなげる仕組みであるのに対し、特定の機器の中に組み込まれ、決められた機能だけを実行するコンピュータシステムを組込みシステムと呼びます。組込みシステムを動かす基本的なソフトウェアをファームウェアと呼び、産業用ロボットや携帯電話、携帯情報端末など身の回りの多くの機器に使われています。組込みシステムは単体でも機能しますが、そこに通信機能が加わりネットワークにつながることで、IoTの一部として働くようになります。両者は対立する概念ではなく、組込みシステムがIoTを実現する土台になっていると理解しておくとよいでしょう。
インターネットが生んだ新しい商売の形
インターネットは、店と客の間にあった制約を外しました。その結果、それまで成り立たなかった商売の形がいくつも生まれています。名前だけを覚えるより、「何ができるようになったから成り立つのか」で捉えると混同しません。
まず、遊んでいるモノや時間を、必要な人に貸し出して回す仕組みがシェアリングエコノミーです。空いている部屋を旅行者に貸す、空いている時間に自分の車で人を運ぶ、といった形が代表例で、持っている人と使いたい人を結び付ける場をインターネットが用意したことで成立しました。
売り方の面では、買い切りではなく期間で使う権利を売るサブスクリプションが広がりました。利用者は初期費用を抑えられ、提供側は収入が読みやすくなります。また、需要に応じて価格を上げ下げするダイナミックプライシングも、販売状況をその場で把握できるからこそ回る仕組みです。
売り場の形も変わりました。多数の出店者が同じ場所に店を並べるオンラインマーケットプレイスでは、運営者は場と決済を提供し、商品は出店者が持ちます。さらに、自分では在庫を持たず、注文が入ってから仕入先に直接発送してもらうドロップシッピングという形もあります。在庫を抱えないため、少ない元手で始められるのが特徴です。
情報の出どころも変わりました。利用者自身が投稿した内容が中身になっているサービスをCGM(消費者生成メディア)と呼びます。口コミサイトや動画投稿サイトが該当し、企業が発信する情報より利用者の評価が購買を左右する場面が増えました。検索結果の上位に出るように自社サイトを整えるSEOが重視されるのも、探す起点が検索になったためです。
資金の集め方にも同じ変化が起きています。クラウドファンディングは、インターネットを通じて多数の人から少額ずつ資金を集める仕組みです。金融機関からの借入と違い、共感してくれる人から直接集められる点、そして集まり具合そのものが需要の確認になる点が特徴です。
IoTを支える機器とサービス
IoTは「モノがインターネットにつながる」と説明されますが、試験で問われるのは、つながって何を取り、何を動かし、どこで処理するのか、という中身です。
役割は2つに分かれます。周囲の状態を数値として読み取るのがセンサで、温度、明るさ、加速度、位置などを測ります。読み取った結果に応じて実際に動かす側がアクチュエータで、モーターやバルブのように物を動かす部品です。「測る」と「動かす」を対にして覚えると取り違えません。
モノを識別する手段もあります。電波でタグの情報を読み取るRFIDは、箱に入ったままの商品をまとめて読み取れるため、在庫管理や物流で使われます。近距離に電波を発して端末に情報を届けるビーコンは、店舗内での案内や来店の検知に使われます。バーコードと違い、1つずつかざす必要がない点が違いです。
集めたデータをどこで処理するかも論点です。すべてをクラウドに送って処理すると、通信量が増え、応答も遅れます。そこで、機器の近くで処理を済ませてしまうエッジコンピューティングが使われます。自動運転のように、判断が一瞬でも遅れては困る用途で効いてきます。
活用の場面では、工場の設備をつないで稼働状況を把握するスマートファクトリー、都市全体のデータを使って交通やエネルギーを最適化するスマートシティがあります。移動の手段をまとめて1つのサービスとして扱う考え方はMaaSと呼ばれ、経路の検索から予約、決済までを一続きにします。車がネットワークにつながるコネクテッドカーや、上空から撮影や配送を行うドローンも、センサと通信の組み合わせでできています。
現実のモノをそのまま仮想空間に写し取り、そこで試すことをデジタルツインといいます。実機を止めずに条件を変えて検証できるため、製造業で使われています。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 消費者同士で商品を売買する電子商取引の形態を何と呼びますか。
A. CtoC(Consumer to Consumer)
CtoCはフリマアプリやオークションサイトのように、個人と個人の間で行われる電子商取引の形態です。企業間のBtoB、企業と消費者間のBtoCとは取引の主体が異なります。
Q. あらかじめ一定の金額をチャージして利用する電子マネーの方式を何と呼びますか。
A. プリペイド方式
プリペイド方式は事前にチャージした金額の範囲内で利用する方式で、後払いのポストペイ方式と対をなす電子マネーの代表的な方式です。
Q. AIやIoTなどのデジタル技術を活用して、事業や組織のあり方そのものを変革する取り組みを何と呼びますか。
A. DX(デジタルトランスフォーメーション)
DXは単なるITツールの導入にとどまらず、製品・サービス・業務プロセス・企業文化までを変革し、新たな価値を生み出す取り組みを指します。
e-ビジネスとIoTの活用は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
- この単元の確認問題 あと2問
- この単元の問題 47問(どこをどう間違えたかまで解説)
- この単元のひっかけ(本試験がどう引っかけてくるか)
- この単元をそのままITパスポート専用AIチューターに質問できます
- 間違えた問題だけを自動で拾い直す復習リスト
「第2章 経営戦略とビジネス」の他の単元
この単元を、手を動かして確かめる
ITパスポートAIチューターでは、いま読んだ単元の四択問題をその場で解いて、 どこで間違えたかまで解説付きで確かめられます。 わからないところはITパスポート専用のAIチューターに訊けます。
この単元をアプリで開く 登録は無料。メールアドレスだけで始められます。