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経営戦略手法

ITパスポート 無料テキスト 単元09/第2章 経営戦略とビジネス/ストラテジ系/重要度 ★★★★★/出題箇所 ストラテジ系/読む目安 45分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

SWOT分析・3C分析・VRIO分析は、いずれも自社の状況や強みを整理する手法です。PPMは事業への資源配分を、BSCやKGI・KPIは目標の達成度を検討する手法です。

この単元を読み終えるとできること

SWOT分析やPPM、VRIO分析など、企業が経営戦略を立てる際に使う代表的な分析手法と、目標を数値で管理するBSCやKPIといった手法を説明できるようになります。

なぜこの順番でここに置いているか

経営戦略手法はストラテジ系の中でも特に出題頻度が高いテーマです。手法の名称と、それぞれが何を評価するための軸を持つのかを対応させる問題が繰り返し出題されるため、体系的に整理しておくことが得点への近道になります。

SWOT分析と3C分析・VRIO分析

企業が経営戦略を立てるとき、最初に行うのが自社の置かれた状況を整理する作業です。この整理に使う代表的な手法がSWOT分析です。SWOTは、Strength(強み)Weakness(弱み)Opportunity(機会)Threat(脅威)の頭文字を取ったもので、いわば会社の健康診断にあたります。強みと弱みは自社の技術力や資金力といった内部要因、機会と脅威は市場の成長や競合の動向といった外部要因です。この「内部か外部か」という軸を意識すると、4つの要素を混同せずに整理できます。

SWOT分析と似た場面で使われる手法に3C分析があります。3Cは、Customer(顧客・市場)Competitor(競合)Company(自社)の3つの視点から事業環境をとらえる手法です。SWOT分析が自社の内部・外部の要因を洗い出すのに対し、3C分析は顧客・競合・自社という3つの立場を横並びで比較する点が違います。両者は対立するものではなく、3C分析で市場を把握したうえでSWOT分析に落とし込む、という使い方もよくされます。

自社の強みそのものを評価する手法がVRIO分析です。VRIOは、Value(経済価値)Rarity(希少性)Imitability(模倣困難性)Organization(組織)という4つの問いから、その強みが本当に競争優位につながるかを判定します。単に「強みがある」というだけでなく、他社に真似されにくく、それを活かす組織体制まで整っているかを確認する点が特徴です。例えば、優れた技術を持っていても、それを製品化して売り出す社内体制が整っていなければ、競争優位にはつながりにくいと判断します。

SWOT分析には、洗い出した4つの要素を掛け合わせて具体的な戦略を導くクロスSWOT分析という使い方もあります。強みを活かして機会を捉える戦略、弱みを補いながら脅威を回避する戦略というように、要素を組み合わせて考える点がポイントです。

SWOT・3C・VRIOはいずれも自社の状況を整理する手法ですが、SWOTは強み弱みの棚卸し、3Cは市場との位置関係の把握、VRIOは強みの中身の精査というように役割が異なります。試験ではそれぞれの軸となる言葉の組み合わせを問う問題が多いため、頭文字と軸を対応させて覚えておくと得点につながります。

SWOT分析の2×2マトリクス

PPMと目標管理(BSC・KPI)

企業が複数の事業を展開している場合、限られた経営資源をどの事業にどれだけ配分すべきかという判断が欠かせません。この判断を助ける手法がPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)です。松村IT勉強会でもよく紹介される例えですが、PPMは商品を金のなる木花形などに分けて、どこに投資するかを決める考え方だとイメージすると理解しやすくなります。

PPMでは、各事業を市場成長率(縦軸)と市場占有率(横軸)の2つの軸で評価し、4つの象限に分類します。成長率・占有率がともに高い事業は花形と呼ばれ、売上は大きいものの成長維持のために投資も必要です。成長率は低いが占有率が高い事業は金のなる木と呼ばれ、大きな投資を必要とせず安定した利益を生むため、他事業への投資原資になります。成長率は高いが占有率が低い事業は問題児、両方とも低い事業は負け犬と呼ばれ、撤退や縮小が検討されます。「金のなる木で得た利益を問題児に投資し、花形に育てる」という資金の循環がPPMの基本的な考え方です。

一方、目標を数値で管理する枠組みとしてBSC(バランススコアカード)があります。BSCは、「財務の視点」「顧客の視点」「業務プロセスの視点」「学習と成長の視点」という4つの視点から目標と指標を設定し、財務指標だけでは見えない組織の成長力も評価に取り入れます。

目標管理では、KGI(重要目標達成指標)KPI(重要業績評価指標)の違いも押さえておきましょう。KGIは「売上高○億円達成」のような最終ゴールを示す指標で、KPIはそのゴールに至る過程を測る指標です。目標達成のカギとなる要因をCSF(重要成功要因)と呼び、KGI・CSF・KPIを段階的に整理する手法をKPIツリーと呼びます。目標の立て方には、Specific(具体的)・Measurable(測定可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(関連性)・Time-bound(期限)の頭文字を取ったSMARTという基準もよく使われ、あいまいな目標を具体的な行動に落とし込むのに役立ちます。目標に現状から段階を追って近づく考え方をGROWモデルと呼び、Goal(目標)・Reality(現状)・Options(選択肢)・Will(意志)の4段階で整理します。また、コストと機能のバランスから製品やサービスの価値を高める考え方をバリューエンジニアリングと呼びます。PPMが投資先の事業を選ぶ手法、BSC・KGI・KPIが選んだ事業の達成度を測る手法という役割の違いを意識すると、両方の位置づけを混同せずに整理できます。

PPMの4象限(花形・金のなる木・問題児・負け犬)

競争戦略とビジネス用語

業界内での勝ち方には、いくつかの型があります。特定の分野に経営資源を集中し、大手が手を出しにくい隙間の市場で強みを発揮する戦略をニッチ戦略と呼びます。反対に、後発企業が先行企業の商品やサービスをまねて追いつこうとする戦略を同質化戦略と呼びます。ニッチ戦略が「隙間を狙う」戦略であるのに対し、同質化戦略は「相手に合わせて追いかける」戦略という違いで区別できます。

競争そのものを避ける発想もあります。血みどろの価格競争が起きる既存市場をレッドオーシャンと呼ぶのに対し、競合のいない新しい市場を切り開く戦略をブルーオーシャン戦略と呼びます。ニッチ戦略が「既存市場の隙間」を狙うのに対し、ブルーオーシャン戦略は「市場そのものを新しく作り出す」点で発想が異なります。また、自社だけでなく他社や顧客も含めたつながり全体で価値を生み出す仕組みをエコシステムと呼びます。スマートフォンの基本ソフトを軸に、アプリ開発者と利用者が互いに支え合う関係などが代表例です。

企業活動に関する用語もまとめて押さえておきましょう。自社ブランドの製品を他社に製造してもらうことをOEM、自社で工場を持たず製造を他社に委託する企業をファブレスと呼びます。加盟店にブランドや経営ノウハウを提供する仕組みがフランチャイズチェーンです。経営陣が自社の株式を買い取ることをMBO、株式を証券市場外で買い集める公開買付けをTOBと呼びます。

生産量が増えるほど製品1個あたりのコストが下がることを規模の経済、経験の蓄積によって効率が上がりコストが下がることを経験曲線と呼びます。どちらも「数をこなすほど有利になる」という発想は共通していますが、規模の経済は生産量、経験曲線は積み重ねた経験量に着目する点が異なります。原材料の調達から製造、販売まで自社で手がけることを垂直統合、製品の差がなくなり価格でしか選ばれなくなることをコモディティ化と呼びます。

このほか、他社の優れた取り組みを比較・分析して自社の改善に活かすベンチマーキング、モノの調達・保管・輸配送を一括して管理するロジスティクス、自社の新商品が既存商品の売上を奪ってしまうカニバリゼーション、利益だけでなく環境・社会・企業統治を重視して投資先を選ぶESG投資も用語として押さえておきましょう。名称だけでなく、それぞれがどんな場面で使われる考え方かをセットで覚えておくことが得点への近道です。

ニッチ戦略とブルーオーシャン戦略の違い

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. SWOT分析における「機会」と「脅威」は、内部要因・外部要因のどちらに分類されますか。

A. 外部要因です。機会と脅威は市場動向や競合、法改正など自社の外部環境から生じる要因であり、強み・弱みという自社内部の要因とは区別されます。

Q. PPMにおいて、市場成長率は低いが市場占有率が高く、安定した利益を生み出す事業を何と呼びますか。

A. 金のなる木です。市場が成熟し大きな投資を必要としない一方、高いシェアにより安定的な収益を生み出す事業で、他事業への投資原資として位置づけられます。

Q. 特定の分野に経営資源を集中し、大手が手を出しにくい隙間の市場で強みを発揮する戦略を何と呼びますか。

A. ニッチ戦略です。後発企業が先行企業をまねて追いつこうとする同質化戦略とは、狙いの方向が異なる点に注意しましょう。

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