マーケティング
マーケティングはSTPのプロセスで市場を捉え、4P・4Cで具体的な施策を組み立てます。セグメントマーケティングやプッシュ・プル戦略といった手法、SEOやリスティング広告といったWebマーケティングの手法、スキミングやペネトレーションといった価格設定の手法もあわせて出題されやすいテーマです。
マーケティングの基本プロセスであるSTPやマーケティングミックス(4P・4C)を説明できるようになります。Webマーケティングの代表的な手法や、価格設定の考え方も押さえます。
マーケティングは製品やサービスを顧客に届けるための戦略全般に関わる分野で、ITパスポートでは基本用語の意味を問う問題が頻出します。ビジネスの現場でも幅広く使われる考え方です。
マーケティングの基礎とSTP
マーケティングとは、顧客のニーズを把握し、それに応える製品やサービスを届けるための一連の活動を指します。単に商品を売り込むことではなく、顧客が求めているものを的確にとらえ、価値を届ける仕組みを作ることがマーケティングの本質です。顧客が製品やサービスに対して抱く期待と、実際に得られた価値のギャップは顧客満足度(CS)と呼ばれる指標で測られます。
顧客が製品を使う体験を指す言葉として、UX(ユーザーエクスペリエンス)とCX(カスタマーエクスペリエンス)があります。UXは製品やサービスを使っている最中の使いやすさや満足感を指すのに対し、CXは購入前の情報収集から購入後のサポートまで、顧客との関わり全体を通じた体験を指します。UXが「使うときの体験」、CXが「関わり全体の体験」という違いで区別すると整理しやすくなります。顧客がどのような経路で認知・興味・購入・利用に至るかを時系列で可視化した図をカスタマージャーニーマップと呼びます。
マーケティング戦略を組み立てる基本プロセスがSTPです。STPは、Segmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲティング)、Positioning(ポジショニング)の頭文字を取ったものです。セグメンテーションは市場を年齢・地域・ライフスタイルなどの基準でグループに分けることで、ターゲティングはその中から重点的にアプローチする対象を選ぶことです。ポジショニングは、選んだターゲットに対して自社の製品が競合とどう違う価値を持つかを明確にすることです。「市場を分けて(S)→狙いを定めて(T)→立ち位置を明確にする(P)」という順序で理解すると混同しにくくなります。
製品が発売から市場に浸透し、やがて衰えていく過程を示す考え方がプロダクトライフサイクルです。導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階に分けて捉え、各段階に応じた戦略を検討します。導入期は認知拡大が課題、成長期は売上とシェアの拡大、成熟期は競合との差別化、衰退期は撤退や次の製品への切り替えが主な論点になります。
こうした基礎の分析は、市場調査や販売・製品・仕入計画の立案とセットで行われます。データに基づいて顧客のニーズをつかみ、STPとプロダクトライフサイクルの段階に応じた打ち手を考えることが、マーケティングの土台になります。
マーケティングミックスと分析手法
STPでターゲットとポジショニングを定めた後、具体的な施策に落とし込む枠組みがマーケティングミックスです。売り手側の視点で整理したものが4Pで、Product(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(販売促進)の4要素からなります。これを顧客(買い手)側の視点で捉え直したものが4Cで、それぞれCustomer Value(顧客価値)・Cost(顧客のコスト)・Convenience(利便性)・Communication(コミュニケーション)に対応します。4Pが「企業は何を提供するか」、4Cが「顧客は何を得て何を支払うか」という視点の違いで区別できます。
ターゲットへの働きかけ方にも種類があります。市場を細分化した特定のセグメントに絞って展開するセグメントマーケティング、個々の顧客に直接働きかけるダイレクトマーケティング、テレビ・SNS・Webなど複数の媒体を組み合わせるクロスメディアマーケティングがあります。また、広告で押しかけるのではなく、有益な情報発信で顧客から見つけてもらうインバウンドマーケティング、顧客の現在地情報を活用してクーポンなどを届けるロケーションベースマーケティングも押さえておきましょう。
企業が働きかける方向にも2つの型があります。企業が広告や営業で顧客に直接働きかけるプッシュ戦略と、顧客のほうから製品を求めてもらえるよう魅力を発信するプル戦略です。
事業の方向性を製品と市場の2軸で整理する手法がアンゾフの成長マトリクスです。既存製品を既存市場でさらに売り込む「市場浸透戦略」、既存製品を新市場に展開する「市場開拓戦略」、新製品を既存市場に投入する「製品開発戦略」、新製品を新市場に投入する「多角化戦略」の4つに分類します。マーケティングミックスが「今の事業をどう売るか」を考える枠組みであるのに対し、アンゾフの成長マトリクスは「次にどこへ広げるか」を考える枠組みという役割の違いがあります。
顧客データの活用手法として、最終購買日(Recency)・購買頻度(Frequency)・累計購買金額(Monetary)の3つの指標から優良顧客を見極めるRFM分析があります。こうした分析を通じて顧客との関係を長期的に育てる考え方をCRM(顧客関係管理)、製品やサービスに対する信頼やイメージを高める活動をブランド戦略と呼びます。強いブランドを築くことができれば、価格競争に巻き込まれにくくなる効果も期待できます。
Webマーケティングと価格設定
インターネットを使ったマーケティングは、店舗を持たない企業でも世界中の顧客にアプローチできる手段として重要性を増しています。Webサイトやアプリに表示するインターネット広告には、利用者があらかじめ許可した相手にだけ送るオプトインメール広告、Webページの一部に表示するバナー広告、検索結果に連動して表示されるリスティング広告(検索連動型広告)などがあります。
自社サイトが検索結果の上位に表示されるよう工夫することをSEO(検索エンジン最適化)と呼びます。リスティング広告が費用を払って上位表示させる手法であるのに対し、SEOは費用をかけずに検索エンジンの評価を高めて上位表示を狙う手法という違いで区別できます。広告文やWebページの効果を比較検証するA/Bテスト、成果に応じて報酬を支払うアフィリエイト、閲覧履歴などから興味に合う商品を提示するレコメンデーション、街中のディスプレイに広告や情報を表示するデジタルサイネージも代表的な手法です。実店舗とネット通販など複数の販売チャネルを一体的に運用し、顧客がどこからでも同じように買い物できるようにする考え方をオムニチャネルと呼びます。ある分野で影響力を持ち、他の消費者の購買行動に影響を与える人物をオピニオンリーダーと呼びます。
価格の決め方にも代表的な手法があります。新製品を高く設定し、早期の利益回収を狙うスキミングプライシング、逆に低価格で発売して早期にシェアを獲得するペネトレーションプライシング、需要や在庫状況に応じて価格を変動させるダイナミックプライシングがあります。スキミングは「高く始めて回収」、ペネトレーションは「安く始めて拡大」という違いで対比させて覚えると区別しやすくなります。ダイナミックプライシングは、繁忙期のホテル料金や航空券のように、需要が高い時期に価格を上げ、需要が低い時期に価格を下げることで収益を最大化しようとする考え方です。
Webマーケティングと価格設定はどちらも、限られた予算や在庫をどう有効に使うかという視点でつながっています。集客の手法とあわせて、価格の付け方も企業の戦略を反映していることを意識しておくと、単なる用語の暗記にとどまらない理解につながります。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. STPのうち、市場全体を共通のニーズを持つグループに分ける段階を何と呼びますか。
A. セグメンテーションです。市場を年齢・地域・ライフスタイルなどの基準で細分化する段階で、その後のターゲティング(対象選定)の土台となります。
Q. マーケティングミックス4Pのうち、製品を届ける経路や場所に関する要素を何と呼びますか。
A. Place(流通)です。店舗販売やオンライン販売など、製品を顧客に届けるためのチャネルに関する要素で、4Cの「利便性(Convenience)」に対応します。
Q. 検索結果の上位に表示されるよう、費用をかけずにサイトを工夫する手法を何と呼びますか。
A. SEO(検索エンジン最適化)です。費用を払って上位表示させるリスティング広告とは、費用の有無という点で区別できます。
マーケティングは、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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