有形固定資産の取得
有形固定資産は、1年を超えて使うために持っている形のある資産で、建物・備品・車両運搬具・土地の4つが3級の範囲です。科目はものの種類ではなく用途で決まります。
有形固定資産の種類と、それぞれの科目が分かるようになります。取得原価に付随費用を含める理由と、含めるものの範囲が判断できるようになります。取得後の支出を、資産に足すか費用にするかで分けられるようになります。土地だけ減価償却しない理由が説明できるようになります。
固定資産は、買った年だけでなく、そのあと何年も帳簿に残り続けます。だから最初の取得原価を1円間違えると、以後の減価償却費が毎年ずれ続けます。第1問で取得の仕訳が問われるほか、第3問の減価償却の前提にもなります。設例のミナタカ商事も、期首に備品300,000円を買っています。
有形固定資産は、長く使うために持っている形のあるもの
会社が持っているものには、売るために持っているもの(商品)と、使うために持っているものがあります。後者のうち、1年を超えて使う予定で、形があるものを有形固定資産といいます。
3級で出る科目は4つです。
| 科目 | 中身 |
|---|---|
| 建物 | 事務所、店舗、倉庫 |
| 備品 | パソコン、机、応接セット、エアコン |
| 車両運搬具 | 営業車、トラック |
| 土地 | 敷地、駐車場用地 |
判断のポイントは何のために持っているかです。同じパソコンでも、パソコン販売店が売るために仕入れたなら商品(仕入)ですし、自社で使うために買ったなら備品です。ものの種類ではなく用途で決まります。
ミナタカ商事は文房具の卸売会社なので、文房具は商品です。一方、事務所で使うパソコンや机は備品になります。
×1年4月1日、備品300,000円を購入し、代金は当座預金から支払った
(借) 備品 300,000 / (貸) 当座預金 300,000
資産が増えただけで、費用は発生していません。買った時点では費用にならないというのが固定資産の特徴です。使う期間にわたって少しずつ費用にしていきます(単元18)。
使えるようになるまでにかかった費用は、取得原価に含めます
固定資産の取得原価は、買った本体価格だけではありません。その資産を使える状態にするまでにかかった費用を、すべて含めます。これを付随費用といいます。
含めるものの例です。
- 引取運賃、運送保険料
- 据付費、設置工事費
- 試運転費
- 購入手数料、仲介手数料
- 登記費用、不動産取得税(土地・建物)
備品400,000円を購入し、据付費20,000円とともに当座預金から支払った(設例外の金額です)
(借) 備品 420,000 / (貸) 当座預金 420,000
据付費を「支払手数料」などの費用にしてはいけません。据え付けなければ使えないのだから、それも備品を手に入れるためのコストだと考えます。
付随費用を費用にしてしまうと、その年の費用が多くなりすぎ、かつ以後の減価償却費が毎年少なくなるという二重のずれが起きます。1か所の間違いが何年も続くので、ここは丁寧に扱われます。
商品を仕入れたときの引取運賃を仕入に含めたのと、まったく同じ考え方です(単元6)。手に入れるまでにかかったものは、そのものの値段に含める。
代金を後払いにしたときは、未払金を使います
固定資産の代金を後払いにすることがあります。このとき使う科目は買掛金ではありません。未払金です。
備品300,000円を購入し、代金は翌月末に支払うことにした
(借) 備品 300,000 / (貸) 未払金 300,000
買掛金は商品売買から生じた債務にだけ使う科目です。備品は商品ではないので、一般的な債務を表す未払金を使います(単元7)。
逆に、使わなくなった備品を売って代金を後で受け取るときも、売掛金ではなく未収入金です。
判断はいつも同じ1点です。その債権債務は、商品売買から生まれたか。生まれていれば売掛金・買掛金、そうでなければ未収入金・未払金です。
買ったあとの支出は、資産に足すか費用にするか
固定資産は買ったあとにもお金がかかります。修理したり、造り替えたりです。この支出は2つに分かれます。
資本的支出……資産の価値を高める、使える期間を延ばす支出
建物に非常階段を付けた、というような支出です。もとの資産にはなかったものが加わるので、固定資産の金額に足します。
(借) 建物 500,000 / (貸) 当座預金 500,000
収益的支出……もとの状態に戻すための支出
壊れた窓ガラスを入れ替えた、外壁を塗り直した、というような支出です。価値が上がったわけではなく、維持しているだけなので、修繕費という費用にします。
(借) 修繕費 80,000 / (貸) 当座預金 80,000
見分け方は、もとの性能より良くなったか、もとに戻しただけかです。問題文には「改良」「増築」「耐用年数が延びた」(資本的支出)、「修理」「原状回復」「維持」(収益的支出)といった言葉が置かれます。
1回の支出に両方が混ざっていることもあり、その場合は問題文で金額が分けて示されます。
土地だけは減価償却しません
有形固定資産は、使うにつれて古くなり価値が下がるので、その分を毎年費用にします。これが減価償却です(単元18)。
ところが、土地だけは減価償却しません。理由は単純で、土地は使っても減らないからです。建物は50年経てば古くなりますが、土地は50年経っても土地のままです。
| 科目 | 減価償却 |
|---|---|
| 建物 | する |
| 備品 | する |
| 車両運搬具 | する |
| 土地 | しない |
試験では、土地を含む複数の固定資産を示して減価償却費を計算させ、土地まで償却していないかを見る出題があります。表を作って機械的に処理していると、土地の行にも数字を入れてしまいがちです。
なお、購入した固定資産の明細は固定資産台帳という補助簿で管理します。取得日・取得原価・耐用年数・当期の減価償却費・帳簿価額を1件ずつ並べたもので、第2問で出題されます(単元20)。
エアコンをビルトインに替えて換気の性能が上がるような改修は、修繕費ではなく資産になります。監査の途中でこの判断が変わり、決算中に仕訳を切り替えたこともあります。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 自社の営業で使うために乗用車を購入しました。仕入と車両運搬具のどちらで処理しますか。
A. 車両運搬具です。売るためではなく使うために持っているからです。
科目はものの種類ではなく用途で決まるからです。中古車販売店が販売用に仕入れた車なら、同じ車でも商品(仕入)になります。
Q. 土地を1,000,000円で購入し、仲介手数料50,000円と登記費用30,000円を現金で支払いました。土地の取得原価はいくらですか。
A. 1,080,000円です。仲介手数料と登記費用は付随費用として取得原価に含めます。
その土地を自分のものとして使えるようにするために必要な支出だからです。費用として処理してしまうと、土地の金額が過小になり、売却したときの損益まで狂います。
Q. パソコン200,000円を購入し、代金は翌月払いとしました。貸方の科目は何ですか。
A. 未払金です。買掛金は商品売買から生じた債務にだけ使います。
パソコンは自社で使う備品であり、商品ではないからです。この分岐は第1問で繰り返し問われます。
有形固定資産の取得は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
- この単元の確認問題 あと2問
- この単元の問題 10問(どこをどう間違えたかまで解説)
- この単元のひっかけ(本試験がどう引っかけてくるか)
- 財務諸表ラボ(切った仕訳が貸借対照表と損益計算書のどこに現れるかを画面で追う)
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- 間違えた問題だけを自動で拾い直す復習リスト
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