貸付金・借入金と利息
お金を貸したら貸付金という資産、借りたら借入金という負債になります。返済時はそれを消します。利息は年利率で示されるので、借りていた期間のぶんだけに月割で按分します。
貸付金と借入金の仕訳を書けるようになります。利息を月割で計算できるようになります。利息を前払いする場合と後払いする場合の違いが分かるようになります。役員貸付金など、相手によって科目を分ける理由が説明できるようになります。
貸付金・借入金そのものは単純ですが、必ず利息がついてきます。利息は「年○%」で示されるため、借りていた期間のぶんだけに直す計算が要ります。この月割の考え方は、決算整理の経過勘定(単元33)でもそのまま使うので、ここで身につけておくと後が楽になります。設例のミナタカ商事も銀行から500,000円を借り入れており、その利息が決算整理に出てきます。
貸したら資産、借りたら負債
お金を貸すと、返してもらう権利が生まれます。権利なので資産で、科目は貸付金です。お金を借りると、返す義務が生まれます。義務なので負債で、科目は借入金です。
ミナタカ商事の設例で見ます。
×1年4月1日、銀行から500,000円を借り入れ、当座預金に入金された
(借) 当座預金 500,000 / (貸) 借入金 500,000
貸した側(銀行)の立場なら、鏡のように反対になります。
(借) 貸付金 500,000 / (貸) 当座預金 500,000
返済したときは、立てた資産・負債を消します。
(借) 借入金 500,000 / (貸) 当座預金 500,000
ここまでは売掛金・買掛金と同じ形です。違うのは、貸し借りには利息がつくという点だけです。
利息は、借りていた期間のぶんだけ計算します
利息は「年2%」のように1年あたりの率で示されます。したがって、借りていた期間が1年に満たなければ、そのぶんに直す必要があります。
利息 = 元本 × 年利率 × 期間 ÷ 12(月割の場合)
ミナタカ商事は×1年4月1日に500,000円を年2%で借り、×2年4月1日に元本と利息をまとめて返す約束です。決算日は×2年3月31日なので、借りていた期間は12か月、まるまる1年です。
500,000 × 2% × 12/12 = 10,000
もし同じ条件で、借りたのが11月1日だったとします。決算日までは11月・12月・1月・2月・3月の5か月です。
500,000 × 2% × 5/12 = 4,166.66…
端数が出るので、実際の問題では割り切れる月数や利率が選ばれます。
計算で間違いやすいのは、期間を数え間違えることです。4月1日に借りて3月31日が決算なら12か月、11月1日に借りたなら5か月です。借りた月を1か月目として数えます。日割の指示があるときは日数で按分しますが、3級では月割が中心です。
支払利息は費用、受取利息は収益
利息を払う側は支払利息(費用)、受け取る側は受取利息(収益)を使います。
利息10,000円を当座預金から支払った
(借) 支払利息 10,000 / (貸) 当座預金 10,000
利息10,000円を当座預金で受け取った
(借) 当座預金 10,000 / (貸) 受取利息 10,000
注意点が1つあります。元本と利息は必ず分けて仕訳します。返済のときに元本510,000円をまとめて払っても、借入金は500,000円しか減りません。
(借) 借入金 500,000 / (貸) 当座預金 510,000 (借) 支払利息 10,000 /
借入金は借りた金額そのものであって、利息は借りたお金ではないからです。ここを1本にまとめて借入金510,000としてしまうと、負債が過大に減り、費用が計上されません。
利息を前払いするか、後払いするか
利息をいつ払うかには、2つのパターンがあります。どちらかによって決算での扱いが変わります。
後払い(元本と一緒に、返すときに払う)
ミナタカ商事はこちらです。決算日の時点で、12か月分の利息10,000円はすでに発生していますが、まだ払っていません。発生しているのに払っていない費用なので、決算で未払費用を立てます。
(借) 支払利息 10,000 / (貸) 未払費用 10,000
前払い(借りるときに、先にまとめて払う)
借入時に1年分の利息を差し引かれて入金されることがあります。この場合、決算日の時点で、まだ来ていない期間のぶんまで払ってしまっています。払ったのにまだ発生していない費用なので、決算で前払費用に振り替えます。
どちらも、当期に発生した分だけを当期の費用にするという同じ考え方です。足りなければ足し(未払)、多すぎれば引く(前払)というだけの違いです。詳しくは単元33で扱います。
貸した側も同じで、まだもらっていない利息は未収収益、先にもらいすぎた利息は前受収益になります。
相手によって科目を分けます
貸付金・借入金は、相手が誰かによって科目を分けることがあります。
| 相手 | 科目 |
|---|---|
| 一般の取引先・銀行 | 貸付金/借入金 |
| 自社の役員 | 役員貸付金/役員借入金 |
| 従業員 | 従業員貸付金 |
科目を分ける理由は、会社と身内のお金のやりとりは、外から見て意味が違うからです。社長個人にお金を貸している会社と、取引先に貸している会社とでは、決算書を見る人が受ける印象がまったく違います。だから混ぜずに区別します。
また、貸し借りに約束手形を使ったときは手形貸付金・手形借入金という別の科目を使います。これは単元12で扱いました。なお約束手形そのものが2027年4月1日以降の試験では出題範囲から外れるため、それ以降に受験する方は貸付金・借入金だけを覚えておけば足ります。
問題文に「役員に」「従業員に」と書かれていたら、素直にその科目を使ってください。書かれていなければ普通の貸付金・借入金です。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 銀行から300,000円を借り入れ、普通預金に入金されました。仕訳を書いてください。
A. (借) 普通預金 300,000 / (貸) 借入金 300,000 です。
お金が入ってきて資産が増え、同時に返す義務という負債が増えます。収益ではありません。借りたお金を売上のように扱ってしまう間違いを防ぐため、ここで「借入は負債」と固めておいてください。
Q. 12月1日に600,000円を年3%で借り入れました。決算日が3月31日のとき、当期の利息はいくらですか。
A. 600,000 × 3% × 4/12 = 6,000円です。12月・1月・2月・3月の4か月分です。
年利率をそのまま掛けると18,000円になり、3倍多く費用を計上してしまいます。期間の按分は、利息が出てきたら必ず行う作業だと考えてください。
Q. 借入金500,000円と利息10,000円を、まとめて当座預金から返済しました。借入金勘定はいくら減りますか。
A. 500,000円です。利息の10,000円は支払利息という費用で処理し、借入金には含めません。
借入金は借りた元本を表す科目だからです。利息を混ぜると、いくら借りていたのかが帳簿から分からなくなります。
貸付金・借入金と利息は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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