記憶装置と入出力インタフェース
コンピュータの記憶装置は、速度と容量のバランスを取るために階層構造になっています。CPUに近いキャッシュメモリは高速だが容量が小さく、補助記憶装置に近づくほど低速だが容量が大きくなります。
キャッシュメモリを含む記憶階層の考え方と補助記憶装置の種類を理解し、外部の機器を接続するためのインタフェース(USB、Bluetoothなど)や入出力装置、IoTデバイスの特徴を説明できるようになります。
記憶階層とインタフェースは、身の回りのパソコンやスマートフォンの使用感と直結する分野です。用語の意味を実感と結びつけて覚えることで、記憶しやすく、応用問題にも対応しやすくなります。
記憶階層と補助記憶装置
単元28で学んだ主記憶装置に加えて、コンピュータには記憶の速さと容量のバランスを取るための階層構造があります。CPUの処理速度は非常に高速な一方、主記憶装置とのやり取りには時間がかかり、これが処理全体のボトルネック(速度を制限する要因)になりがちです。そこでCPUと主記憶装置の間に、主記憶装置よりもさらに高速な小容量の記憶装置を置きます。これがキャッシュメモリです。CPUが必要なデータをまずキャッシュメモリの中から探し、見つかれば(キャッシュヒット)高速に処理でき、見つからなければ(キャッシュミス)主記憶装置まで探しに行くため時間がかかります。速い順に並べると、キャッシュメモリ→主記憶装置(RAM)→補助記憶装置となり、これを記憶階層と呼びます。
補助記憶装置(ストレージ)にも複数の種類があります。回転する円盤にデータを記録するHDD(ハードディスクドライブ)と、半導体を使って記録するSSD(ソリッドステートドライブ)は、いずれも大容量のデータを長期保存する装置です。SSDの方が読み書きが速く衝撃にも強い一方、容量あたりの価格は高めです。持ち運べる記録媒体としては、レーザー光でデータを読み書きするCD・DVD・ブルーレイディスクといった光学メディア、手軽に抜き差しできるUSBメモリ、カメラやスマートフォンでよく使われるSDカードなどがあります。用途に応じて、速度・容量・可搬性(持ち運びやすさ)のどれを優先するかで使い分けます。
記憶階層の考え方をあらためて整理すると、キャッシュメモリはCPUのすぐそばにあるごく少量の記憶で、値段は高いものの圧倒的に高速です。主記憶装置(RAM)はキャッシュより容量が大きく速度はやや落ちますが、処理中のデータをまとめて扱うのに向いています。補助記憶装置はさらに容量が大きく安価な一方、速度は最も遅くなります。CPUに近いほど高速・小容量・高価、遠いほど低速・大容量・安価という関係を押さえておくと、どの記憶装置が何のために使われているかを迷わず判断できるようになります。
有線・無線インタフェース
コンピュータに周辺機器を接続するための規格をインタフェースと呼び、ケーブルを使う有線のものと、電波を使う無線のものがあります。
有線インタフェースの代表がUSB(Type-AやType-Cなど複数の形状があります)で、マウスやキーボード、外付けストレージまで幅広い機器を接続できる汎用性の高さが特徴です。電力を供給する機能もあり、機器を充電しながら使えます。映像出力にはHDMIやDisplayPort、少し古い規格のDVIが使われ、いずれもパソコンとディスプレイをつなぐ用途が中心です。HDMIは映像と音声を1本のケーブルでまとめて伝送できる点が特徴です。
無線インタフェースでは、Bluetoothが比較的近い距離にある機器どうしを直接つなぐ規格で、ワイヤレスイヤホンやマウスなどに使われます。赤外線を使って近距離でデータをやり取りするIrDAという古くからの規格もあります。NFC(近距離無線通信)は数センチという極めて近い距離で通信する規格で、交通系ICカードや電子マネーのタッチ決済に使われています。RFID(無線タグを使った自動認識技術)は、NFCよりもやや離れた距離から情報を読み取れる技術で、商品管理や在庫管理のタグとして使われています。
これらの機器を実際に使えるようにするには、OSが機器を制御するためのソフトウェアであるデバイスドライバが必要です。多くの現在のOSは、機器を接続するだけで自動的に必要なデバイスドライバを認識し設定する仕組みを備えており、これをプラグアンドプレイと呼びます。
インタフェースを覚えるときは、名前をそのまま暗記するのではなく、「有線か無線か」「主に何のための規格か(汎用的な機器接続か、映像出力か、近距離のタッチ用か)」という切り口で整理すると混同しにくくなります。例えば同じ無線でも、Bluetoothは機器どうしをつなぐための規格、NFCはタッチ決済のように極めて近い距離での認証・通信に向いた規格というように、通信距離と用途で役割が分かれています。試験では、規格の名前と用途の組み合わせを問う問題が多いため、代表的な用途を1つずつセットで覚えておくと得点しやすくなります。
入出力装置とIoTデバイス
コンピュータに情報を入力したり、処理結果を人間に伝えたりする機器を入出力装置と呼びます。入力装置には、文字を入力するキーボードのほか、マウス・タッチパネル・ジョイスティック・ペンタブレットといったポインティングデバイス、紙の情報を読み取るイメージスキャナー、バーコードを読み取るバーコードリーダー、映像を取り込むWebカメラなどがあります。出力装置には、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、目の前に映像を映すヘッドマウントディスプレイ、壁面などに投影するプロジェクター、紙に印刷するプリンター、立体物を造形する3Dプリンターなどがあります。
近年広がっているのがIoT(Internet of Things、モノのインターネット)デバイスです。IoTデバイスは、モノが人間のように耳(センサ)と口(通信機能)を持った状態と考えると分かりやすくなります。光を感知する光学センサー、熱や気配を感知する温度センサーや赤外線センサー、動きを感知する加速度センサーやジャイロセンサー、音波を使って距離を測る超音波センサーなど、目的に応じたさまざまなセンサーが「耳」の役割を果たし、周囲の状況を数値のデータとして集めます。集めたデータをもとに、実際にモノを動かす「手」の役割を果たすのがアクチュエーターで、DCモーターや油圧シリンダ、空気圧シリンダなどがこれにあたります。センサーで状況を感知し、通信でデータを送り、アクチュエーターで実際に動かすという流れが、IoTシステムの基本的な仕組みです。
例えば工場の生産ラインでは、圧力センサーや温度センサーが機械の異常を感知し、そのデータが通信でサーバに送られて分析され、異常があればアクチュエーターがラインを自動的に停止させる、といった使われ方をします。家庭でも、人感センサーで人の動きを感知して照明を自動でつける仕組みなど、IoTデバイスは身の回りのさまざまな場面で使われています。試験では、それぞれのセンサーが何を感知するためのものかを、名称と役割をセットにして覚えておくことが有効です。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. CPUが必要なデータをキャッシュメモリの中に見つけられず、主記憶装置まで探しにいく状態を何と呼びますか。
A. キャッシュミスです。
キャッシュメモリの中に目的のデータが見つかる状態をキャッシュヒットと呼ぶのに対し、見つからず主記憶装置を参照する必要がある状態をキャッシュミスと呼ぶためです。
Q. 映像と音声の両方を1本のケーブルで同時に伝送できる、ディスプレイ接続用の代表的なインタフェースは何ですか。
A. HDMIです。
テレビやモニターとパソコンなどの機器を接続する際に、映像と音声をまとめて伝送できる規格として広く使われているためです。
Q. IoTデバイスにおいて、センサーとアクチュエーターはそれぞれどのような役割を果たしますか。
A. センサーは周囲の状況を数値データとして集める「耳」の役割、アクチュエーターは集めたデータをもとに実際にモノを動かす「手」の役割です。
IoTデバイスは、センサで周囲を感知し、通信でデータをやり取りし、アクチュエーターで実際に動作を起こすという流れで機能するためです。
記憶装置と入出力インタフェースは、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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