小口現金
小口現金は、少額の支払いのために担当者へ前渡ししておくお金です。使った分だけを補給して常に一定額に戻す方法を定額資金前渡法(インプレスト・システム)といいます。
定額資金前渡法(インプレスト・システム)の1週間の循環を説明できるようになります。前渡し・報告・補給の3つの場面で仕訳を書き分けられるようになります。報告と補給が同じ日に行われる場合の仕訳がまとめられるようになります。
少額の支払いのたびに経理へ申請していては仕事が進みません。そこで各部署にあらかじめ一定額を渡しておく仕組みが小口現金です。3級では前渡し・報告・補給という決まった循環が問われるので、流れさえ掴めば確実に取れます。
定額資金前渡法という仕組み
電車代や切手代のような少額の支払いは、毎回経理を通すと手間が合いません。そこで、担当者(用度係)にあらかじめお金を渡しておきます。このお金が小口現金です。
渡し方には決まりがあります。使った分だけを補給して、いつも同じ残高に戻すという方法です。これを定額資金前渡法、またはインプレスト・システムといいます。
1週間の流れはこうなります。
月曜日 50,000円を前渡し(残高50,000) ↓ 週の途中 用度係が支払う(残高が減っていく) ↓ 金曜日 使った42,000円を報告 ↓ 金曜日 42,000円を補給(残高50,000に戻る)
毎週月曜に必ず50,000円から始まるので、いくら使ったかが補給額そのもので分かります。残高を数えなくても管理できるのが、この仕組みの利点です。
この単元の金額は説明用の数字です。設例のミナタカ商事に小口現金は出てこないためです。金額は1,000円単位の丸い数字にしてあります。
3つの場面の仕訳
①前渡ししたとき
小口現金という資産が増え、当座預金が減ります。
(借) 小口現金 50,000 / (貸) 当座預金 50,000
会社全体で見ればお金は減っていません。置き場所が変わっただけです。当座預金から用度係の手元へ移しただけなので、費用は出ません。
②報告を受けたとき
用度係から「何にいくら使ったか」の報告が来ます。ここで初めて費用を計上します。
用度係から旅費交通費18,000円、通信費14,000円、消耗品費10,000円の報告を受けた
(借) 旅費交通費 18,000 / (貸) 小口現金 42,000 (借) 通信費 14,000 / (借) 消耗品費 10,000 /
小口現金が42,000円減り、残高は8,000円になります。
費用を計上するのは報告を受けたときです。前渡しした時点では、何に使われるかまだ分かっていません。
③補給したとき
(借) 小口現金 42,000 / (貸) 当座預金 42,000
残高が50,000円に戻ります。①と同じ形の仕訳です。
報告と補給が同じ日のとき
実務でも試験でも、金曜日に報告を受けてその場で補給することがよくあります。この場合、②と③の仕訳を1本にまとめます。
(借) 旅費交通費 18,000 / (貸) 当座預金 42,000 (借) 通信費 14,000 / (借) 消耗品費 10,000 /
小口現金という科目が出てきません。②で42,000円減って、③で42,000円増えるので、差し引きゼロになるからです。
まとめずに2本書いても間違いではありませんが、問題で「ただちに補給した」「同時に補給した」とあれば1本にまとめる形が求められます。
翌週に補給する場合は、報告と補給の日付が違うので、②と③を別々に書きます。この場合は週をまたいで小口現金の残高が8,000円になったままです。
問題文の「ただちに」「翌週月曜に」という一言で仕訳の形が変わるので、日付の指示を必ず読んでください。
小口現金出納帳
用度係が付ける補助簿が小口現金出納帳です。受入・支払・残高の欄があり、支払欄はさらに旅費交通費・通信費などの科目別に分かれています。週末に科目ごとに縦計を出すと、そのまま②の仕訳の借方になります。
この単元の確認問題
答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。
Q. 定額資金前渡法では、補給する金額はどう決まりますか。
A. その期間に使った金額と同額です。補給すると残高が定額に戻ります。
常に一定額から始めるようにしておけば、補給額を見るだけで使った額が分かるからです。残高を数える手間が省けます。
Q. 小口現金を前渡しした時点で、費用は計上しますか。
A. しません。費用は報告を受けたときに計上します。
前渡しはお金の置き場所を移しただけで、まだ何にも使われていないからです。使途が分かって初めて科目が決まります。
Q. 報告を受けてただちに補給しました。仕訳に小口現金は出てきますか。
A. 出てきません。減少と増加が同額で相殺されるためです。
報告で減る42,000円と補給で増える42,000円が同じ日に起きるからです。結果として費用と当座預金だけが動きます。
小口現金は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。
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