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当座預金・普通預金・当座借越

簿記3級 無料テキスト 単元10/第3章 現金と預金/重要度 ★★★★/出題箇所 第1問・第2問・第3問/読む目安 45分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

当座預金は会社が決済に使う口座で、資金の大半がここを通ります。増えたら借方、減ったら貸方です。2027年3月までの試験では小切手も出題され、自分が振り出したものは当座預金の減少、他人が振り出したものを受け取れば現金の増加、自己振出小切手が戻ってきたら当座預金の増加として処理します。

この単元を読み終えるとできること

当座預金の預入と引出の仕訳を切れるようになります。複数の口座を持っている場合の口座別の勘定の使い方が分かるようになります。当座借越が生じている状態を説明でき、決算日に短期借入金へ振り替える処理ができるようになります。

なぜこの順番でここに置いているか

当座預金は会社の資金のほとんどが通る口座で、第1問・第2問の両方に頻出します。また決算時の当座借越の振替は、第3問の決算整理として出題されます。2027年度以降は小切手が出題範囲から外れますが、当座預金そのものは3級に残ります。

当座預金は、会社が決済に使う口座です

会社は、日々の支払いに当座預金という口座を使います。普通預金と違って利息がつかない代わりに、決済のための機能を持った口座です。

ミナタカ商事の1年間で、当座預金は8回動きました。

日付取引増減
4/1現金を預け入れた+800,000
4/1銀行から借り入れた+500,000
4/5備品を購入した−300,000
7/31売掛金を回収した+1,000,000
8/31買掛金を支払った−600,000
9/25給料を支払った−220,000
10/11年分の家賃を支払った−240,000
3/11年分の保険料を支払った−120,000
決算日の残高820,000

当座預金は資産なので、定位置は借方です。増えたら借方、減ったら貸方に書きます。

たとえば4月1日に現金800,000円を当座預金に預け入れた仕訳は、こうなります。

(借) 当座預金 800,000 / (貸) 現金 800,000

資産が別の資産に姿を変えただけで、会社の財産の合計は変わりません。この日、現金は800,000円減り、当座預金は800,000円増えています。

小切手を振り出したとき【2027年3月まで】

この節の内容は、2027年3月31日までの試験範囲です。2027年4月1日以降、紙の小切手が廃止されることに伴い、小切手は3級の出題範囲から外れます。それ以降に受験する方は、この節を飛ばしても構いません。当座預金そのものは範囲に残ります。

当座預金からお金を引き出すために使う紙が小切手です。金額を書いて相手に渡すと、相手はそれを銀行に持ち込んで換金します。この行為を小切手を振り出すといいます。

買掛金300,000円を支払うため、小切手を振り出した(設例外の金額です)

(借) 買掛金 300,000 / (貸) 当座預金 300,000

ここで大事なのは、振り出した時点で当座預金を減らすということです。相手が銀行に持ち込むのは数日後かもしれませんが、簿記では振り出した日に処理します。

逆に、他社が振り出した小切手を受け取った場合は、単元9で見たとおり現金です。

立場使う科目
自分が振り出した当座預金の減少
他人が振り出したものを受け取った現金の増加

同じ小切手という紙でも、自分が出した側か受け取った側かで科目が変わります。問題文の主語を確認してください。

自分が振り出した小切手が戻ってきたとき【2027年3月まで】

この節も2027年3月31日までの試験範囲です。

少し変わった場面があります。自分が過去に振り出した小切手が、めぐりめぐって自分のところへ戻ってくる場合です。自己振出小切手と呼びます。

たとえば、以前に買掛金の支払いのため振り出した小切手200,000円を、売掛金の回収として受け取ったとします。

(借) 当座預金 200,000 / (貸) 売掛金 200,000

借方は現金ではなく当座預金です。

理由は単純です。振り出したときに当座預金を200,000円減らしていますが、その小切手が銀行に持ち込まれることはもうありません。自分の手元に戻ってきたからです。つまり、減らした当座預金が減らなくてよくなったので、元に戻します。

他人振出小切手なら現金、自己振出小切手なら当座預金。誰が振り出したかだけで判断します。第1問でこの区別を狙った問題が出ます。

普通預金・定期預金と、口座別の勘定

会社が持つ預金は当座預金だけではありません。

科目性質
普通預金いつでも出し入れできる。利息がつく
定期預金一定期間預ける。利息が高い
当座預金決済用。利息がつかない

どれも資産で、動き方は同じです。増えたら借方、減ったら貸方です。

預金に利息がついたときは、受取利息という収益で受けます。

(借) 普通預金 1,000 / (貸) 受取利息 1,000

会社が複数の銀行に口座を持っている場合、口座ごとに勘定を分けることがあります。銀行名を科目名に付ける方法です。

(借) 普通預金東西銀行 500,000 / (貸) 現金 500,000

このように書くと、どの銀行の口座がいくらあるかが総勘定元帳を見るだけで分かります。問題文で「普通預金東西銀行」のような科目が与えられていたら、そのまま使ってください。勝手に「普通預金」にまとめてはいけません。

貸借対照表に載せるときは、口座別の残高を合計して「普通預金」の1行にします。この読み替えは単元38で扱います。

当座借越 ― 残高を超えて引き出せる契約

当座預金の残高を超えて支払いをしようとすると、ふつうは支払えません。しかし銀行と当座借越契約を結んでおくと、決められた限度額まで、残高を超えて引き出せます。

超えて引き出した分は、実質的に銀行からの借入です。当座預金の残高がマイナスになった状態、と考えてください。

期中はこのマイナスを気にせず、当座預金勘定にそのまま記録していきます。たとえば当座預金の残高が100,000円のときに、300,000円の支払いをした場合。

(借) 買掛金 300,000 / (貸) 当座預金 300,000

この時点で当座預金勘定の残高は貸方に200,000円、つまりマイナス200,000円になります。

資産である当座預金が貸方残高になるのは、本来おかしな状態です。しかし期中はこのままにしておきます。すぐにまた入金があってプラスに戻ることが多いからです。

問題を放置できないのは決算日です。次の節で扱います。

当座預金がマイナスになったら、決算で負債にします

決算日に、当座借越を負債へ振り替えます

決算日に当座預金が貸方残高(マイナス)になっている場合、そのまま貸借対照表に載せることはできません。資産の欄にマイナスの金額を書くわけにはいかないからです。

そこで決算整理として、そのマイナス分を負債へ振り替えます。

決算日、当座預金勘定が貸方に150,000円の残高になっていた

(借) 当座預金 150,000 / (貸) 当座借越 150,000

または、

(借) 当座預金 150,000 / (貸) 借入金 150,000

どちらの科目を使うかは問題文の指示に従ってください。指定がなければ当座借越を使います。

この仕訳によって、当座預金勘定の残高はゼロになり、代わりに負債が150,000円立ちます。貸借対照表には短期借入金として表示します。当座借越という科目名は帳簿の中だけで使うもので、外に出す貸借対照表では短期借入金と書き換えます。この読み替えは単元38で扱います。

そして翌期首には、この仕訳を逆にして元に戻します(再振替仕訳)。

(借) 当座借越 150,000 / (貸) 当座預金 150,000

決算日のためだけに姿を変えていたものを、翌期は元の形に戻して記帳を続けるためです。同じ考え方が経過勘定でも出てきます(単元33)。

なお、ミナタカ商事の当座預金は常にプラスだったので、この決算整理は発生していません。この節の金額はすべて説明用のものです。

実務現場から

支払いの多くはネットバンキングの振込に置き換わり、小切手を使う会社は減りました。それでも当座借越の考え方は、借入の実務としてそのまま残っています。

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. ミナタカ商事の×2年3月31日の当座預金残高はいくらですか。

A. 820,000円です。

入金2,300,000円(800,000+500,000+1,000,000)から出金1,480,000円(300,000+600,000+220,000+240,000+120,000)を引いた金額です。期末の貸借対照表には、現金128,000円と当座預金820,000円が別々の行として載ります。

Q. 買掛金150,000円を支払うため、小切手を振り出しました。貸方に立つ科目は何ですか。

A. 当座預金です。自分が振り出した小切手なので、振り出した時点で当座預金が減ります。

小切手を渡した時点では現金は動いていませんが、簿記では振出日に当座預金の減少として処理します。相手が実際に換金する日を待ちません。

Q. 売掛金の回収として、以前に当社が振り出した小切手100,000円を受け取りました。借方に立つ科目は何ですか。

A. 当座預金です。自己振出小切手なので、現金ではありません。

振り出したときに減らした当座預金を、元に戻す処理です。もし他社が振り出した小切手を受け取ったのであれば、借方は現金になります。

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