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諸掛りと商品売買の付随論点

簿記3級 無料テキスト 単元06/第2章 商品売買 ― 3級の主役/重要度 ★★★★/出題箇所 第1問/読む目安 40分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

商品の売買に付随する費用を諸掛りと呼び、仕入か売上か・誰が負担するかの2点で処理が決まります。当社負担の仕入諸掛は仕入に含めて取得原価とし、先方負担分を立て替えたときは立替金(または買掛金から控除)とします。

この単元を読み終えるとできること

仕入時・売上時にかかる送料を、誰が負担するかに応じて処理し分けられるようになります。手付金を受け渡ししたときの前払金・前受金の仕訳を切れるようになります。受取商品券とクレジット売掛金の処理ができるようになります。

なぜこの順番でここに置いているか

第1問の仕訳で、送料の扱いは頻出です。しかも「当社負担か先方負担か」という一行の条件を読み落とすと、正解と1円も合わない答えになります。前払金・前受金は、売上や仕入をいつ計上するかという簿記の核心にも関わる論点です。

なお、この単元で扱う取引はミナタカ商事の1年には登場しません。金額はすべて説明用に置いた丸い数字です。

諸掛りとは、商品の売り買いに付いてくる費用のことです

商品を仕入れるときには、商品代金のほかに運送料や保険料がかかります。売るときにも送料がかかります。この付随する費用をまとめて諸掛り(しょがかり)と呼びます。

諸掛りの処理は、次の2つを確認してから決めます。

  1. 仕入のときか、売上のときか
  2. 誰が負担するのか(当社負担か、先方負担か)

この2つの組み合わせで、4通りの処理があります。

当社が負担先方が負担(当社が立替払い)
仕入諸掛仕入に含める立替金(または買掛金から控除)
売上諸掛発送費(費用)売掛金に含める

この表を丸暗記するのではなく、次の節から1つずつ理由を確認していきます。理由が分かると、表を思い出さなくても導けるようになります。

問題文では「引取運賃は当社が負担した」「送料は先方負担のため、当社が立て替えて支払った」といった形で必ず書いてあります。まずそこを探してください。

運賃は、買うときと売るときで扱いが変わります

仕入諸掛を当社が負担するとき ― 仕入に含めます

商品を仕入れ、引取運賃を当社が負担した場合、その運賃は仕入に含めます。

商品200,000円を掛けで仕入れ、引取運賃10,000円を現金で支払った(当社負担)

(借) 仕入 210,000 / (貸) 買掛金 200,000
                        現金    10,000

借方は仕入210,000円の1行です。運賃を「支払運賃」などの別の費用にはしません。

理由は、その商品を手に入れるためにかかった金額の合計が、その商品の原価だからです。200,000円の商品を運ぶのに10,000円かかったなら、その商品は210,000円かけて手に入れたことになります。この考え方を取得原価といい、備品などの固定資産でも同じ考え方をします(単元17)。

貸方が2行になっていることにも注目してください。商品代金は掛け、運賃は現金と、支払い方が違うためです。このように片側が複数行になる仕訳を複合仕訳と呼びます。借方合計210,000円と貸方合計210,000円が一致していれば問題ありません。

先方が負担すべき運賃を立て替えたとき ― 立替金

仕入先が負担すべき運賃を、当社がその場で払ってしまうことがあります。この場合、その金額はあとで仕入先から返してもらうものです。仕入に含めてはいけません。

商品200,000円を掛けで仕入れ、運賃10,000円を現金で支払った(先方負担)

(借) 仕入   200,000 / (貸) 買掛金 200,000
     立替金  10,000     現金    10,000

立替金は資産です。返してもらう権利だからです。

もう1つ、問題文で「買掛金から差し引く」と指示される場合があります。その場合は立替金を使わず、買掛金を減らします。

(借) 仕入 200,000 / (貸) 買掛金 190,000
                        現金    10,000

買掛金200,000円のうち10,000円は相殺されるので、残り190,000円を払えばよいという処理です。どちらを使うかは問題文の指示に従ってください。指示がなければ立替金を使います。

当社負担なら仕入に足す、先方負担なら仕入に足さない。この一点さえ押さえれば迷いません。

売上諸掛 ― 発送費と、売掛金に含める場合

商品を売るときにかかる送料が売上諸掛です。

当社が負担する場合は、発送費という費用で処理します。

商品400,000円を掛けで売り上げ、送料8,000円を現金で支払った(当社負担)

(借) 売掛金 400,000 / (貸) 売上 400,000
     発送費   8,000     現金   8,000

売上は400,000円のままです。売った商品の値段は変わらないので、送料を売上に足したり引いたりはしません。送料は、売るためにかかった費用として別に立てます。

先方が負担する場合、つまり送料込みで請求する場合は、送料を売掛金に含めます。

商品400,000円を売り上げ、先方負担の送料8,000円を含めて408,000円を掛けとした

(借) 売掛金 408,000 / (貸) 売上   400,000
                        現金     8,000

この場合も売上は400,000円です。8,000円は立て替えた送料の回収分なので、収益ではありません。

なお、問題文で「送料8,000円を含めて408,000円で売り上げた」と書かれている場合は、売上を408,000円とし、発送費8,000円を計上する処理になります。問題文が売上をいくらと言っているかを、そのまま読み取ってください。

手付金のやりとり ― 前払金と前受金

商品を注文するときに、代金の一部を先に払うことがあります。この先払いを手付金内金と呼びます。

ここで重要なのは、手付金を払った時点では、まだ仕入も売上も計上しないということです。商品がまだ動いていないからです。簿記では、商品を渡した(受け取った)時点で売上(仕入)を計上します。

買う側の処理

① 手付金50,000円を現金で支払った

(借) 前払金 50,000 / (貸) 現金 50,000

前払金は資産です。あとで商品を受け取る権利だからです。

② 商品200,000円を受け取り、手付金を差し引いた残額は掛けとした

(借) 仕入 200,000 / (貸) 前払金  50,000
                        買掛金 150,000

この時点で初めて仕入200,000円が計上されます。そして前払金という権利は使われて消えます。

売る側の処理

① 手付金50,000円を現金で受け取った

(借) 現金 50,000 / (貸) 前受金 50,000

前受金は負債です。あとで商品を渡す義務だからです。

② 商品200,000円を引き渡し、手付金を差し引いた残額は掛けとした

(借) 前受金  50,000 / (貸) 売上 200,000
     売掛金 150,000

買う側と売る側で、まったく鏡のような形になっています。自社がどちらの立場かを問題文で確認してください。

手付金を払っても、まだ仕入も売上も立ちません

受取商品券

商店街や自治体が発行した商品券を、商品の代金として受け取ることがあります。この商品券は、あとで発行元に持ち込めば現金に換えてもらえます。

受け取ったときは受取商品券という資産で処理します。

商品100,000円を売り上げ、代金は商品券で受け取った

(借) 受取商品券 100,000 / (貸) 売上 100,000

受取商品券100,000円を発行元に請求し、現金で受け取った

(借) 現金 100,000 / (貸) 受取商品券 100,000

受け取った時点では現金ではないことに注意してください。単元9で見た通貨代用証券とは違い、銀行ではなく発行元に持ち込む必要があるからです。

動き方は売掛金とよく似ています。権利として立てて、換金したら消す。それだけです。

クレジット売掛金と支払手数料

商品をクレジットカードで売った場合、代金は信販会社(カード会社)から入金されます。この場合の債権は、売掛金ではなくクレジット売掛金という科目で処理します。

そして信販会社に手数料を払うので、支払手数料という費用が同時に発生します。

商品200,000円をクレジット払いの条件で売り上げた。信販会社への手数料は売上代金の4%である

手数料は 200,000 × 4% = 8,000円。信販会社から入金されるのは、200,000 − 8,000 = 192,000円です。

(借) クレジット売掛金 192,000 / (貸) 売上 200,000
     支払手数料        8,000

ポイントは2つあります。

  1. 売上は200,000円のままです。手数料を引いた金額を売上にはしません。売った値段は200,000円だからです。
  2. 手数料は売上時に計上します。入金されたときではありません。売った時点で手数料の支払いは確定しているからです。

後日、信販会社から入金されたとき。

(借) 当座預金 192,000 / (貸) クレジット売掛金 192,000

クレジット売掛金は、貸借対照表では売掛金にまとめて表示します(単元38)。

カード払いの売上は、手数料を先に引いて記録します

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. 諸掛りの処理を決めるために、問題文でまず確認すべきことは何ですか。2つ挙げてください。

A. 仕入のときか売上のときか、そして誰が負担するのか(当社負担か先方負担か)の2つです。

この2つが決まれば処理は自動的に決まります。逆にどちらかを読み落とすと、正解にたどり着けません。問題文を読むときに真っ先に探す情報です。

Q. 商品500,000円を掛けで仕入れ、引取運賃20,000円を現金で支払いました(当社負担)。借方に立つ科目と金額を答えてください。

A. 仕入 520,000円です。

当社負担の仕入諸掛は仕入に含めます。500,000+20,000=520,000円がこの商品の取得原価です。貸方は買掛金500,000円と現金20,000円になります。

Q. 商品300,000円を掛けで仕入れ、先方負担の運賃15,000円を現金で立て替えました。仕入の金額はいくらですか。

A. 300,000円です。先方負担の運賃は仕入に含めません。

立て替えた15,000円は立替金(資産)として処理します。あとで仕入先から返してもらうお金なので、当社の商品の原価にはなりません。

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諸掛りと商品売買の付随論点は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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