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サービスサポートとファシリティマネジメント

ITパスポート 無料テキスト 単元20/第5章 プロジェクトとサービスの管理/マネジメント系/重要度 ★★★/出題箇所 マネジメント系/読む目安 35分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

サービスサポートには、システムの変更を安全に実施するための変更管理と、構成要素の情報を正確に管理する構成管理があります。ファシリティマネジメントは、電源・空調・セキュリティなど、情報システムを支える物理的な施設や設備を管理する活動です。

この単元を読み終えるとできること

システム運用を支える変更管理・構成管理などのサービスサポート活動と、施設や設備の面から情報システムを支えるファシリティマネジメントの考え方を説明できるようになります。

なぜこの順番でここに置いているか

サービスサポートとファシリティマネジメントは、単独でも出題されますが、単元19のサービスマネジメントとセットで理解しておくと関連問題に強くなります。停電対策や空調管理など、身近な例と結びつけて覚えると定着しやすい分野です。

変更管理と構成管理

稼働中のシステムに手を加える際には、思いつきで変更してしまうと、予期しない不具合や障害を招く恐れがあります。そこで、変更内容を事前に審査し、計画的に実施するための仕組みが変更管理です。変更管理では、変更を依頼する内容、変更によって想定される影響、実施のタイミングなどを整理し、関係者による承認を経てから変更を実行します。承認を経ずに勝手に変更を加えることを防ぐことで、システムの安定稼働を守ります。実際に変更したプログラムやデータを本番環境へ配布し、利用できる状態にする活動はリリース及び展開管理と呼ばれ、変更管理の後工程として位置づけられます。

これに対して構成管理は、システムを構成しているハードウェアやソフトウェア、それらのバージョン情報や設定内容といった要素(構成アイテム、CI)を正確に把握し、常に最新の状態で記録しておく活動です。構成管理がきちんと行われていると、「このサーバーにはどのソフトウェアがどのバージョンで入っているか」「ある変更が他のどの部分に影響するか」を正確に把握でき、変更管理やインシデント対応をスムーズに進めることができます。

両者の関係を整理すると、構成管理は「システムの現状を正確に把握しておくための土台」であり、変更管理は「その土台の上で、変更を安全に実施するための手続き」だといえます。構成管理の情報が古かったり不正確だったりすると、変更管理で影響範囲を正しく判断できなくなり、思わぬトラブルにつながります。この二つはセットで機能して初めて効果を発揮する仕組みだと理解しておきましょう。あわせて、サービスが約束した稼働率を維持できているかを管理するサービス可用性管理、災害などの非常時にもサービスを継続できるよう備えるサービス継続管理も、サービスサポートの代表的な活動として知られています。

これらの活動はどれも単独で完結するものではなく、互いに情報を受け渡しながら機能します。構成管理で把握した最新の構成情報をもとに変更管理が影響範囲を判断し、変更が実施された後は構成管理の記録を更新する、という流れが繰り返されます。日々の細かな運用作業の積み重ねが、結果としてシステム全体の安定稼働を支えていることを意識しておきましょう。

ファシリティマネジメントの目的

情報システムは、サーバーやネットワーク機器といったハードウェアが物理的に設置された場所で稼働しています。この物理的な設置環境(施設や設備)を最善の状態に保つための考え方をファシリティマネジメントと呼びます。建物や設備という資源が最適な状態になるよう、日々改善を続けていく活動だといえます。

ファシリティマネジメントが対象とする代表的な要素には、コンピュータを設置する部屋の電源、機器の発熱を抑える空調、不正な立ち入りを防ぐセキュリティ設備(入退室管理や監視カメラなど)、そして地震や火災といった災害への備えがあります。これらはどれもシステムの稼働そのものには直接関係しないように見えますが、電源が落ちればシステムは止まり、空調が効かなければ機器は熱で故障し、不審者が侵入すれば情報が盗まれる恐れがあります。つまり、施設や設備の管理は、情報システムの安定稼働と情報セキュリティの両方を土台から支える重要な活動なのです。

近年重視されている考え方にグリーンITがあります。これは、コンピュータやネットワーク機器の省電力化、空調効率の改善などを通じて、情報システムの運用にかかる環境負荷を減らそうという取り組みです。設備の信頼性を高めることと、環境への配慮を両立させることが、これからのファシリティマネジメントに求められています。

近年は、サーバーやネットワーク機器を集約して管理する専用の施設であるデータセンターを利用する企業も増えています。データセンターは、耐震構造や自家発電設備、厳重な入退室管理など、ファシリティマネジメントの観点から高度に整備されているのが特徴です。自社で施設を整備するよりも、専門の設備が整ったデータセンターを利用する方が、コストと信頼性の両面で有利になる場合があります。

ファシリティマネジメントは地味で目立たない分野ですが、システムの安定稼働の「土台」にあたる活動です。どれだけ優れたプログラムを作っても、それが動く場所の電源や空調が不安定であれば、サービスは成り立ちません。試験でも、直接的な技術用語というより、施設や設備の管理に関する常識的な判断を問う出題が中心になるため、身の回りの建物設備をイメージしながら理解しておくとよいでしょう。

データセンターの設備構成

停電対策と信頼性の確保

システムを止めないためには、電源トラブルへの備えが欠かせません。この分野では、UPS(無停電電源装置)という言葉が頻出します。UPSはバッテリーを内蔵した装置で、停電が発生した瞬間に自動的にバッテリーからの電力供給に切り替わり、システムが突然停止することを防ぎます。ただし、UPSが供給できる電力には限りがあり、あくまで「安全にシステムを終了させるための猶予時間を稼ぐ」ことが主な役割です。長時間の停電に備えるには、UPSに加えて自家発電設備を用意し、外部電源が復旧するまでの間、自前で電力を供給し続けられるようにします。

電源トラブルは停電だけではありません。落雷などによって瞬間的に異常な高電圧が流れ込む現象をサージと呼び、これによって機器が故障することがあります。こうした異常な電圧から機器を守る対策をサージ防護といい、UPSとあわせて電源設備の信頼性を高める代表的な対策の一つです。

また、災害などで施設そのものが使えなくなる事態に備え、遠く離れた場所にもう一つのシステムやデータのコピーを用意しておく考え方もあります。これをバックアップサイトと呼び、主要な施設(主系)が被災した場合に、離れた場所の予備施設(従系)に切り替えて業務を継続します。このような災害対策と業務継続の考え方は、単元22で扱う内部統制やリスク管理の分野とも関連が深いテーマです。

試験ではUPSと自家発電設備の役割の違いがよく問われるため、「UPSは瞬間的な停電対策、自家発電設備は長時間の停電対策、サージ防護は異常電圧からの保護」という対応関係を覚えておきましょう。

ファシリティマネジメントの目的を一言でまとめると、「電源・空調・セキュリティ・災害対策という、目に見えにくい土台をしっかり整えることで、情報システムというサービスを止めないこと」だといえます。停電も落雷も、いつ起こるか予測しづらい出来事だからこそ、平常時からの備えが重要になります。こうした備えは、単元19で扱ったSLAで約束した稼働率を守るための、いわば裏方の仕事だと捉えることもできます。普段は意識されにくい設備投資ですが、いざというときにシステムを止めないための保険のようなものだと考えると、その重要性が理解しやすくなります。

UPSと自家発電設備の役割分担

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. システムを構成するハードウェアやソフトウェアの情報を正確に把握し、最新の状態で記録しておく活動を何と呼びますか。

A. 構成管理です。

構成アイテム(CI)と呼ばれる構成要素の情報を正確に管理することで、変更管理やインシデント対応の土台となる活動だからです。

Q. 省電力化や空調効率の改善などを通じて、情報システム運用の環境負荷を減らす取り組みを何と呼びますか。

A. グリーンITです。

設備の信頼性を保ちながら、環境への配慮も両立させるファシリティマネジメントの近年の考え方だからです。

Q. 落雷などによる瞬間的な異常電圧から機器を守る対策を何と呼びますか。

A. サージ防護です。

落雷などで流れ込む異常な高電圧(サージ)から機器の故障を防ぐための、電源設備に関する代表的な対策だからです。

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サービスサポートとファシリティマネジメントは、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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