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プロジェクトマネジメント

ITパスポート 無料テキスト 単元18/第5章 プロジェクトとサービスの管理/マネジメント系/重要度 ★★★★★/出題箇所 マネジメント系/読む目安 45分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

プロジェクトとは、期限とゴールが決まった一度限りの取り組みのことです。プロジェクトマネジメントでは、プロジェクト憲章のもとステークホルダと連携しながら、スコープ・コミュニケーション・リスクなどの領域を管理します。

この単元を読み終えるとできること

プロジェクトマネジメントの基本的な考え方と、プロジェクト憲章やステークホルダといった体制、代表的な管理領域(スコープ・コミュニケーション・リスクなど)を説明できるようになります。また、WBSやガントチャート、アローダイアグラムを使ったスケジュール管理の考え方を理解します。

なぜこの順番でここに置いているか

プロジェクトマネジメントはマネジメント系の中で最も出題数が多い単元の一つです。特にアローダイアグラムを使ったクリティカルパスの計算問題は頻出で、計算の仕組みを理解しておくと得点源にできます。WBSやリスクの対応策といった用語もあわせて狙われます。

プロジェクトの基本と体制

プロジェクトとは、独自の成果物やサービスを生み出すために行われる、期限が定められた一度限りの取り組みのことです。毎日繰り返される定型的な業務(オペレーション)とは異なり、プロジェクトには必ず「始まり」と「終わり」があります。「新しい業務システムを開発する」「新商品の発売キャンペーンを企画する」といった取り組みは、いずれもプロジェクトにあたります。

プロジェクトを始めるときには、目的やゴール、責任者の権限などを記したプロジェクト憲章を作成し、関係者の間で合意しておきます。プロジェクトを進める責任者はプロジェクトマネージャと呼ばれ、実際に作業を行うプロジェクトメンバーとともにゴールを目指します。プロジェクトの影響を受けたり、逆に影響を与えたりする利害関係者はステークホルダと呼ばれ、依頼主や利用者、経営層など、社内外の幅広い関係者が含まれます。

プロジェクトの管理対象は複数の領域に分けて考えます。「何を作るか」の範囲を決めるプロジェクトスコープマネジメント、関係者への報告や情報共有の方法を管理するプロジェクトコミュニケーションマネジメント、プロジェクトに関わる危険な要因を洗い出し対応するプロジェクトリスクマネジメントなどです。リスクへの対応策には、原因を取り除く回避、影響を小さくする軽減、あえて対応せず受け入れる受容、保険などで第三者に移す転嫁の4つがあり、リスクの大きさに応じて使い分けます。

これらの管理領域は、どれか一つだけを見ればよいのではなく、互いに影響し合っています。例えばスケジュールを短縮しようとすると人員を増やす必要が生じ、コストが増加するといった具合です。このトレードオフの関係を意識しながら全体のバランスを取ることが、プロジェクトマネージャの役割です。ステークホルダへの報告を通じて、こうした判断を関係者と共有しておくことも欠かせません。プロジェクト憲章に立ち返り、当初のゴールと照らし合わせながら判断することで、目先の都合に流されずに全体最適を選びやすくなります。

WBSとガントチャート

プロジェクトの計画を立てる最初の作業は、ゴールまでにやるべきことをすべて洗い出すことです。このとき使われるのがWBS(Work Breakdown Structure、作業分解構成図)です。WBSでは、プロジェクト全体を大きな作業のかたまりに分け、それをさらに管理しやすい小さな作業単位まで階層的に分解していきます。家を建てる計画でいえば、「基礎工事」「骨組み工事」「内装工事」というように、大きな工程をさらに具体的な作業へと細かくしていくイメージです。作業を細かく分解しておくことで、それぞれの担当者や必要な期間、費用を見積もりやすくなります。

WBSで洗い出した作業のスケジュールを管理する代表的な図がガントチャートです。縦軸に作業項目を並べ、横軸に日付や週などの時間軸を取り、それぞれの作業がいつからいつまで行われるかを横棒で表します。各作業の開始日・終了日・所要期間が一目でわかり、複数の作業が同時並行で進んでいる様子も視覚的に把握できます。プロジェクトマネージャーはガントチャートを見ながら、今どの作業が遅れているか、次にどの作業に着手すべきかを判断します。

ただし、ガントチャートには弱点もあります。作業と作業の間の「前工程が終わらないと次工程が始められない」といった依存関係が表現しにくい点です。ある作業が遅れたとき、それが全体の完了日にどれだけ影響するかは、ガントチャートだけからは読み取りにくいという特徴があります。この弱点を補うのが、次の節で扱うアローダイアグラムです。

WBSとガントチャートは、役割の順番も押さえておくとよいでしょう。WBSで「何をやるか」をすべて洗い出し、そのあとにガントチャートで「いつやるか」を時間軸の上に並べていきます。作業の洗い出しが不十分なままガントチャートを作ってしまうと、後から抜けている作業が見つかり、スケジュール全体を組み直すことになりかねません。順番を守って計画を立てることが、プロジェクトを円滑に進める土台になります。WBSで洗い出した作業の単位が細かすぎても粗すぎても管理しにくくなるため、担当者一人が数日から一週間程度で終えられる大きさにそろえるのが実務上のコツです。

WBSの階層分解イメージ

アローダイアグラムとクリティカルパス

アローダイアグラム(PERT図)は、作業を矢印(アロー)で表し、作業の始まりと終わりを丸(結合点)でつないで、作業どうしの前後関係と所要日数を表現する図です。矢印の上には作業名と所要日数が書かれ、矢印の向きは作業の進む方向を表します。

アローダイアグラムを使う最大の目的は、クリティカルパスを求めることです。クリティカルパスとは、プロジェクトの開始から終了までのすべての経路の中で、最も日数がかかる経路のことです。この経路上の作業が一日でも遅れると、プロジェクト全体の完了日もその分だけ遅れてしまいます。逆に、クリティカルパス以外の経路には多少の余裕(フロート)があり、その範囲内での遅れであれば全体には影響しません。

実際の計算では、開始地点からすべての経路の日数を足し合わせ、最も日数の合計が大きい経路を探します。例えば、開始からA(3日)→B(4日)→終了という経路と、開始からC(2日)→D(2日)→E(2日)→終了という経路があれば、前者は合計7日、後者は合計6日となり、7日かかる経路がクリティカルパスです。

試験では、複数の経路の日数を計算して比較させる問題が定番です。焦らず、それぞれの経路の日数をすべて足し算し、最大値を選ぶという手順を踏めば確実に正解できます。ガントチャートが「いつ何をするか」を視覚化するのに向いているのに対し、アローダイアグラムは「作業間のつながりと、全体の所要日数への影響」を分析するのに向いている、という役割の違いもあわせて押さえておきましょう。

クリティカルパス上の作業は、プロジェクト全体の完了日に直結するため、遅れが許されません。プロジェクトマネージャーは、限られた人員や予算をクリティカルパス上の作業に優先的に振り向けることで、全体の遅延を防ごうとします。逆に、余裕(フロート)のある作業に人員を割きすぎると、本来もっと注意すべき作業への対応が手薄になってしまうこともあるため、経路ごとの余裕の差を意識した資源配分が大切です。日ごろからどの経路がクリティカルパスにあたるかを把握しておけば、遅れが出た瞬間にどこへ手を打つべきかを迷わず判断できます。

アローダイアグラムとクリティカルパスの計算例

PMBOKと進捗・コストの管理

プロジェクトの管理は、担当者の勘ではなく、共通の型に沿って進めます。その型を体系としてまとめたものがPMBOK(ピンボック)です。プロジェクトマネジメントの知識を分野ごとに整理したもので、試験では「何を管理する必要があるか」を問う形で顔を出します。

PMBOKが扱う分野は、大きくいえば次のようなものです。何を作るかの範囲を決めるスコープ、いつまでに終えるかのスケジュール、いくらでやるかのコスト、求める出来ばえを保つ品質、人と体制の資源、関係者との情報共有のコミュニケーション、起こりうる問題への備えのリスク、外部から買う・頼む部分の調達、そして発注者や利用部門といったステークホルダへの対応です。これらを個別にではなく、まとめて面倒を見るのがプロジェクトマネージャの役割になります。

進み具合を見るときの目印がマイルストーンです。工程の途中に置く節目で、「設計完了」「テスト開始」のように、達成したかどうかを誰が見ても判断できる点を選びます。日々の作業の進捗率は主観が入りやすいのに対し、マイルストーンは通過したか否かで判定できるため、遅れの発見が早くなります。

進捗とコストをまとめて見る手法がEVM(アーンドバリューマネジメント)です。作業の出来高を金額に換算して、計画と実績を同じ物差しで比べます。「予定では300万円ぶん終わっているはずが、実際に終わったのは200万円ぶんで、使ったお金は250万円だった」という形で表せるため、遅れているのか、使いすぎているのか、その両方なのかを切り分けられます。進捗を「何%終わったか」だけで見ると、遅れと予算超過が混ざって見えなくなります。

もう一つ、プロジェクトを壊しやすいのが途中の仕様追加です。要望を受けるたびに範囲が膨らむことをスコープクリープと呼びます。これを防ぐのが変更管理で、変更の要望は必ず記録し、納期・費用・品質への影響を見積もったうえで、決められた人が可否を判断します。断ることが目的ではなく、影響を示さないまま引き受けないことが目的です。

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. リスクへの対応策のうち、保険をかけるなどして影響を第三者に移す方法を何と呼びますか。

A. 転嫁です。

原因そのものを取り除く回避や、影響を小さくする軽減とは異なり、リスクの影響を自分以外に移す対応策だからです。

Q. プロジェクト全体を大きな作業のかたまりに分け、管理しやすい小さな単位まで階層的に分解した図を何と呼びますか。

A. WBS(作業分解構成図)です。

ゴールまでにやるべき作業を洗い出し、担当者や期間、費用を見積もりやすくするために階層的に分解する手法だからです。

Q. アローダイアグラムにおいて、開始から終了までの経路のうち最も日数がかかる経路を何と呼びますか。

A. クリティカルパスです。

この経路上の作業が遅れると、プロジェクト全体の完了日もそのまま遅れてしまう、プロジェクトの生命線となる経路だからです。

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プロジェクトマネジメントは、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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