無料ではじめる

サービスマネジメント

ITパスポート 無料テキスト 単元19/第5章 プロジェクトとサービスの管理/マネジメント系/重要度 ★★★★/出題箇所 マネジメント系/読む目安 40分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

サービスマネジメントとは、開発したシステムを安定的に運用し続けるための管理活動です。国際的なベストプラクティスとしてITILがあり、インシデント管理や問題管理といった考え方が整理されています。

この単元を読み終えるとできること

ITサービスマネジメントの目的と、その国際的な指針であるITILの考え方を説明できるようになります。あわせて、SLAとSLM、SLO・SLIといった関連用語の役割の違いを理解します。

なぜこの順番でここに置いているか

サービスマネジメントは、システムを「作って終わり」ではなく「作った後どう安定的に使い続けるか」を扱う分野です。ITパスポート試験ではITILやSLA、サービスデスクに関する用語の意味を問う問題が定番で、言葉の定義を正確に覚えておくことがそのまま得点につながります。

サービスマネジメントとITILの考え方

システムは開発して稼働を始めたら終わりではありません。むしろ、利用者が日々そのシステムを使い続ける「運用」の期間の方がはるかに長く続きます。この運用期間中に、サービスの計画立案・設計・提供・改善を指揮し管理する一連の活動をサービスマネジメント(ITサービスマネジメント)と呼びます。こうした活動を組織としてきちんと回すための仕組み全体をサービスマネジメントシステムといい、企業に対してどのような体制を整えるべきかの要求事項がまとめられています。

サービスマネジメントを実践するための国際的なベストプラクティス(良い実践例をまとめた指針)として広く知られているのがITIL(アイティル、Information Technology Infrastructure Library)です。ITILは特定のソフトウェア製品ではなく、「ITサービスをどのように計画し、提供し、運用し、改善していくか」というノウハウを体系的にまとめた考え方の集合です。多くの企業がITILの考え方を参考にして、自社の運用ルールを整備しています。改善を一度きりで終わらせず、計画・実行・評価・改善を繰り返すPDCAの考え方で回し続ける点も重要です。

ITILで扱われる代表的な活動の一つにインシデント管理があります。インシデントとは、サービスの提供を妨げる、あるいは品質を低下させる出来事(例えば「システムが突然停止した」「特定の機能が使えない」といった障害)のことです。インシデント管理では、発生したインシデントをできるだけ早く検知し、サービスを迅速に復旧させることを最優先の目的とします。

これに対して、インシデントの根本原因を突き止め、再発を防止するための活動を問題管理と呼びます。インシデント管理が「今起きている問題をとにかく早く収める」ことを目指すのに対し、問題管理は「なぜ起きたのかを分析し、同じことが二度と起きないようにする」ことを目指す点が異なります。この二つの違いは試験で頻繁に問われます。

インシデント管理と問題管理は対立する活動ではなく、むしろ補い合う関係にあります。インシデント管理で復旧を優先しつつ、並行して問題管理が原因究明を進めることで、同じ障害が繰り返し発生する事態を防ぎ、サービス全体の品質を底上げしていきます。こうした個々の活動を組み合わせ、サービス全体をどう改善していくかを継続的に考える姿勢が、サービスマネジメントの土台になっています。

SLAとSLM、SLO・SLIの関係

ITサービスを提供する側と、それを利用する側との間では、「どの程度の品質でサービスを提供するか」についてあらかじめ合意をしておくことが重要です。この合意を文書化したものをSLA(サービスレベルアグリーメント、サービス水準合意書)と呼びます。

SLAには、例えば「システムの稼働率は99.9%以上を保証する」「障害発生時の一次対応は30分以内に開始する」といった、具体的で測定可能な数値目標が記載されます。この数値目標一つひとつのことをSLO(サービスレベル目標)と呼びます。SLAが提供者と利用者の間で結ぶ「合意文書全体」だとすれば、SLOはその中に書かれた「個別の目標値」だとイメージすると整理しやすくなります。

さらに、SLOが実際に達成できているかどうかを判断するために、日々の稼働状況などを実測した数値をSLI(サービスレベル指標)と呼びます。稼働率SLOが99.9%だとすれば、実際にその期間どれだけシステムが動いていたかを計測した値がSLIにあたります。SLAは合意、SLOは目標値、SLIは実測値、という三段階の関係を押さえておきましょう。

SLAで定めた目標が実際に達成されているかどうかは、定期的に測定し、報告する必要があります。この一連の活動をSLM(サービスレベルマネジメント)と呼び、目標未達の場合には原因を分析し、改善策を講じていきます。SLAは「決めて終わり」ではなく、SLMによって継続的に見直しながら運用していくものだと理解しておきましょう。利用者側は期待する水準を明確にでき、その水準が守られなかった場合の対応(値引きや損害賠償など)についても事前に取り決めておけます。提供者側も、際限なくサービス水準を求められることを防ぎ、どこまでの品質を保証すればよいかの範囲を明確にできる点で、SLAは双方にとって利点のある仕組みです。

SLO・SLIのように数値で管理する仕組みは、感覚的な「サービスがちゃんと動いている気がする」という判断を避け、誰が見ても同じ結論に至れるようにするために欠かせません。試験では、SLA・SLO・SLI・SLMという似た略語がまとめて登場することがあるため、それぞれが「合意」「目標」「実測」「管理活動」のどれにあたるかを整理して覚えておくと安心です。

SLA・SLO・SLIの関係

サービスデスクとサービス要求管理

利用者からの問い合わせや障害報告を受け付ける、単一の窓口機能をサービスデスク(ヘルプデスク)と呼びます。窓口が複数に分かれていると利用者はどこに連絡すればよいか迷ってしまうため、サービスデスクはSPOC(単一窓口)として機能することが求められます。電話やメール、チャットなどを通じて問い合わせを受け付け、内容に応じて記録・分類・優先度付けを行ったうえで、適切な担当者や部署に取り次ぎます。この一連の流れをサービス要求管理と呼びます。

サービスデスクには複数の運営形態があります。一つの拠点に窓口機能を集約する集中型、利用者の近くに複数の拠点を設けるローカル型、世界各地の拠点をネットワークでつなぎ時差を利用して24時間対応を実現するバーチャル型などです。企業の規模や拠点の分布に応じて、どの形態を採用するかが選ばれます。

近年は、よくある質問と回答をまとめたFAQや、簡単な問い合わせに自動応答するチャットボットを組み合わせることで、利用者が自己解決できる範囲を広げる動きが進んでいます。さらに、AIを活用してインシデントの傾向分析や一次対応を効率化するAIOpsという考え方も広がっており、サービスデスクの運営はAIの活用によって省力化が進んでいる分野です。用意されているサービスの内容や申込み方法を一覧にしたサービスカタログを整備しておくと、利用者は自分がどのサービスを依頼できるかを迷わず把握できます。

担当者だけでは対応しきれない問題は、より詳しい専門部署や上位の担当者に引き継ぐエスカレーションという仕組みで対応します。一次窓口ですべてを解決しようとせず、適切なタイミングで的確な相手に引き継ぐことも、サービスデスクの重要な役割です。

こうした窓口の運用は、利用者から見える「サービスの入口」にあたります。その裏側では、サービスの需要を予測して必要な人員や設備を準備しておく需要管理も行われており、問い合わせが集中する時期にサービスデスクが対応しきれなくなる事態を防いでいます。こうした運用の仕組みは、単元20で扱うサービスサポートやファシリティマネジメントとも密接に関わっています。

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. システムの障害が発生したときに、まずサービスを迅速に復旧させることを目的とする管理活動を何と呼びますか。

A. インシデント管理です。

根本原因の追究と再発防止を目的とする問題管理とは異なり、インシデント管理は目の前の障害からいち早く復旧することを最優先するためです。

Q. SLAの中に書かれた個別の数値目標と、その達成状況を測るために実測した数値を、それぞれ何と呼びますか。

A. 個別の数値目標がSLO(サービスレベル目標)、実測した数値がSLI(サービスレベル指標)です。

SLAは合意文書全体、SLOはその中の個々の目標値、SLIは実際に測定した値という三段階の関係になっているためです。

Q. 利用者からの問い合わせを一つの窓口に集約する機能を表す用語は何ですか。

A. SPOC(単一窓口)です。

サービスデスクが問い合わせ先を一本化することで、利用者が迷わず連絡できるようにする仕組みだからです。

ここから先は無料登録で

サービスマネジメントは、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

無料で続きを見る メールアドレスだけで始められます。登録は無料で、インストールも不要です。
前の単元プロジェクトマネジメント次の単元サービスサポートとファシリティマネジメント

「第5章 プロジェクトとサービスの管理」の他の単元

← 単元一覧へ

この単元を、手を動かして確かめる

ITパスポートAIチューターでは、いま読んだ単元の四択問題をその場で解いて、 どこで間違えたかまで解説付きで確かめられます。 わからないところはITパスポート専用のAIチューターに訊けます。

この単元をアプリで開く 登録は無料。メールアドレスだけで始められます。