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マルチメディアとAI技術

ITパスポート 無料テキスト 単元34/第9章 技術要素/テクノロジ系/重要度 ★★★★/出題箇所 テクノロジ系/読む目安 45分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

マルチメディアデータは容量が大きいため圧縮技術が使われ、完全に元へ戻せる可逆圧縮と、一部を犠牲にする非可逆圧縮があります。色や解像度の考え方はグラフィックス処理の基礎であり、VR・AR・MRなど応用分野も広がっています。

この単元を読み終えるとできること

音声・画像・動画のファイル形式や圧縮の仕組み、グラフィックス表現の基礎、そして機械学習・ディープラーニング・生成AIの基本用語を説明できるようになります。

なぜこの順番でここに置いているか

画像や動画の圧縮技術、VR・ARの活用、そして生成AIの普及は業務や生活に急速に広がっており、ITパスポート試験でも重要度が高まっている分野です。基本用語を正しく理解しておくことで、AIサービスを導入する際の判断材料にもなります。

マルチメディアの基礎とファイル形式

文字だけでなく、音声・画像・動画など複数の種類のメディアをデジタル化し、コンピュータ上で統合的に扱うことをマルチメディアといいます。データを一定の形式に変換して保存することをエンコード、それを再生できる状態に戻すことをデコードといいます。データをすべてダウンロードし終える前から再生を始められる仕組みをストリーミング、著作権を守るためにコピーや再生を制限する技術をDRMCPRMといいます。文書のレイアウトを崩さずに保存・共有できる形式としてPDFも広く使われています。動画教材のオンライン配信や、業務システムでの帳票のやり取りなど、こうした技術は日常の業務でも自然な形で使われています。

音声データは、アナログの音の波を一定間隔で区切って数値に変換するPCM(パルス符号変調)という方式でデジタル化されます。演奏情報そのものを記録するMIDIは、音の波形を記録するWAVMP3AACとは性質が異なる点に注意が必要です。

静止画には、画素(色のついた点)の集まりで表現するラスターデータと、点や線を座標と数式で表現するベクターデータがあります。ラスターデータは拡大するとぼやけますが、ベクターデータは拡大しても輪郭が崩れません。写真の保存に向くJPEG、透過や可逆圧縮に対応するPNG、簡易なアニメーションを扱えるGIFのほか、BMPTIFFEPSといった形式もあります。

動画はフレームと呼ばれる静止画を連続表示して動きを表現し、1秒あたりのコマ数をフレームレートといいます。MPEGH.264H.265などの圧縮規格を用いて、AVIMP4といった形式で保存されます。データを完全に元通りに復元できる可逆圧縮は、ZIP形式や、同じ値の繰り返しをまとめるランレングス法、出現頻度に応じて符号の長さを変えるハフマン法などのアルゴリズムで実現され、一部の情報を犠牲にして高い圧縮率を得る非可逆圧縮とは区別されます。

可逆圧縮と非可逆圧縮の対応

グラフィックス表現とマルチメディア応用

コンピュータで色を表現する方法には、光を重ねるほど明るくなる光の3原色(RGB)による加法混色と、インクを重ねるほど暗くなる色の3原色(CMY)による減法混色があります。ディスプレイの表示はRGB、印刷物はCMYに黒を加えたCMYKで表現される、と考えると仕事の場面と結びつけて覚えやすくなります。色は色相・明度・彩度という3つの要素の組み合わせでも表現されます。

画像を構成する最小の点を画素(ピクセル)、画素の密度を解像度、色の段階数を階調といいます。印刷物のきめ細かさを表す単位がdpi(dot per inch)、画面表示のきめ細かさを表す単位がppi(pixels per inch)で、対象が印刷か画面表示かによって使い分けられます。画像編集ソフトには、写真の加工に向くペイント系(ラスター形式)ソフトウェアと、ロゴや図形の作成に向くドロー系(ベクター形式)ソフトウェアがあり、扱うデータの種類に合わせて選ばれます。

マルチメディア技術を応用した分野も広がっています。コンピュータで作り出す画像や映像全般をCG(コンピュータグラフィックス)、コンピュータが作り出した世界に没入するVR(仮想現実)、現実の映像に情報を重ねて表示するAR(拡張現実)、現実世界と仮想世界を組み合わせて双方が影響し合うMR(複合現実)といいます。インターネット上に作られたメタバースと呼ばれる仮想空間では、多くの利用者が同時に交流できます。ほかにも、立体的な表現を行う3D、航空機の操縦訓練などに使われるシミュレーターゲーム、高精細な映像規格である4K/8Kなども、マルチメディア技術の代表的な応用分野です。これらの応用分野は、静止画・動画・音声といった基礎技術を組み合わせて成り立っており、教育・医療・エンターテインメントなど幅広い業種で活用が進んでいます。たとえば製品の設計段階でVRを使って完成イメージを確認したり、工事現場でARを使って配管の位置を実際の風景に重ねて表示したりと、業務の効率化にも役立てられています。

AI・機械学習・ディープラーニングと生成AI

AI(人工知能)とは、人間の知的な活動をコンピュータで模倣する技術全般を指す幅広い概念です。人が判断ルールをあらかじめ設定するルールベースの方式に対して、データからコンピュータ自身が規則性を見つけ出す機械学習が登場し、AIは大きく発展しました。判断のもとになるデータの特徴を数値で表したものを特徴量といいます。

何でもこなせる強いAIを漫画のドラえもんだとすると、特定の作業だけが得意な弱いAIはお掃除ロボットに例えられます。機械学習の学習方法には3つの型があります。教師あり学習は「これは犬、これは猫」と正解のラベルをつけて教える方法で、売上予測に使われます。教師なし学習は正解を教えず、データだけを渡してAI自身にグループ分けをさせる方法で、顧客の分類に使われます。強化学習は、良い結果に報酬(ご褒美)を与えて最も良い行動を学ばせる方法で、ゲームAIやロボット制御に使われます。

人間の脳の神経細胞のつながりを模したニューラルネットワークを何層にも重ねて学習する手法をディープラーニング(深層学習)といいます。出力と正解の誤差を逆向きに伝えて重みを調整するバックプロパゲーションや、信号の伝え方を決める活性化関数で精度を高めますが、訓練データに慣れすぎて未知データへの対応力が落ちる過学習には注意が必要です。画像認識に強いCNN(畳み込みニューラルネットワーク)、文章や時系列データに強いRNN(リカレントニューラルネットワーク)、生成役と判定役の2つのネットワークを競わせて精巧なデータを作るGAN(敵対的生成ネットワーク)など、目的に応じた構造が使い分けられます。AI・機械学習・ディープラーニングは、AIという大きな枠の中に機械学習があり、その中の一手法としてディープラーニングがあるという包含関係になっています。

大量のデータを事前学習し、幅広い用途に応用できる汎用的なモデルを基盤モデル、文章生成や画像生成を得意とする基盤モデルを特に大規模言語モデル(LLM)生成AIと呼びます。基盤モデルを特定の業務向けに追加学習させることをファインチューニング、あるタスクで得た知識を別のタスクに応用することを転移学習といい、どちらも学習済みモデルを活用する点は共通しますが、モデル自体を調整するか、知識を別の目的に転用するかという違いがあります。生成AIから望む出力を引き出すために指示文を工夫する技術をプロンプトエンジニアリングといいます。生成AIがもっともらしい誤った情報を作り出すハルシネーションや、AIで人物の顔や声を精巧に偽造するディープフェイクは、利用にあたって注意すべき代表的な課題です。学習データの偏りが出力に表れるバイアス、AIの判断根拠を把握しにくい説明可能性(ブラックボックス問題)への対応も含め、AI開発・利用にあたって守るべき考え方をAI倫理として整備する動きが各国・各企業で進んでいます。

AI・機械学習・ディープラーニングの包含関係
3つの学習方法の比較

アナログをデジタルに変える仕組みとデータ量

音や画像はもともと連続した波や光で、そのままでは0と1で扱えません。これを数値に置き換える手順が決まっており、ここを押さえるとファイル形式や容量の話が一本につながります。

手順は3段階です。まず、連続した波を一定の間隔で区切って値を読み取る標本化(サンプリング)、次に、読み取った値を決まった段階の数値に丸める量子化、最後に、その数値を0と1の並びに直す符号化です。1秒間に何回読み取るかを表すのがサンプリング周波数で、1回の値を何段階で表すかが量子化ビット数です。どちらも数字を大きくするほど元の音に近づき、そのぶんデータ量は増えます。音質と容量は必ず引き換えになる、という関係を覚えてください。

画像では、細かさを表すのが解像度です。画素(ピクセル)がどれだけ細かく並んでいるかで、これも高いほどきれいで重くなります。1画素の色を何ビットで表すかを色深度といい、たとえば1画素24ビットなら、赤・緑・青にそれぞれ8ビットずつ割り当てる形になります。容量の見積りは「画素数×1画素あたりのビット数」で計算でき、1,000×1,000画素の画像を24ビットで表すなら、24,000,000ビット=3Mバイトとなります。

そのままでは大きすぎるので、圧縮して保存します。圧縮には2種類あり、元に戻せる可逆圧縮と、戻せない代わりに小さくできる非可逆圧縮があります。文書やプログラムのように1ビットも変わってはいけないものは可逆圧縮、写真や音楽のように多少の劣化が気にならないものは非可逆圧縮を使います。JPEGやMP3が非可逆、PNGやZIPが可逆にあたります。非可逆で保存し直すたびに劣化が積み重なる点にも注意してください。

音声や動画を圧縮したり元に戻したりする仕組みそのものをコーデックと呼びます。動画ファイルは、映像・音声・それらをまとめる入れ物という組み合わせでできており、拡張子が同じでも中のコーデックが違うと再生できないことがあります。

なお、立体を平面の画像として描き出す処理をレンダリングといい、コンピュータグラフィックスで使われます。

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. アナログの音の波を一定間隔で区切って数値に変換する、音声データのデジタル化の基本方式を何と呼びますか。

A. PCM(パルス符号変調)

PCMは音の波を一定の時間間隔で標本化し、数値の符号として記録する方式であり、音声をデジタルデータとして扱うための基礎となる仕組みだからです。

Q. 現実の映像に、コンピュータが生成した情報を重ねて表示する技術を何と呼びますか。

A. AR(拡張現実)

ARは現実の風景を土台にして情報を付け加える技術であり、コンピュータが作った世界に完全に入り込むVR(仮想現実)や、現実と仮想を融合させて双方向に影響し合うMR(複合現実)とは範囲が異なるためです。

Q. 基盤モデルを特定の業務向けに追加で学習させ、モデル自体を調整することを何と呼びますか。

A. ファインチューニング

ファインチューニングは、事前学習済みの基盤モデルの重みを特定の用途に合わせて追加学習で調整する手法であり、既存の知識を別のタスクへ転用する転移学習とは調整の仕方が異なるためです。

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マルチメディアとAI技術は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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