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確率・統計とデータ分析

ITパスポート 無料テキスト 単元25/第7章 基礎理論とアルゴリズム/テクノロジ系/重要度 ★★★/出題箇所 テクノロジ系/読む目安 40分 登録不要で読めます

ここだけ読めば

確率は、ある事象が起こりやすさを0から1の数値で表したものです。統計では、データの代表値として平均値や中央値、ばらつきの大きさを表す標準偏差を使います。

この単元を読み終えるとできること

確率の基本的な計算方法と、平均・中央値・標準偏差といった統計の基礎用語を理解し、実際に数値で計算できるようになります。あわせて、データ分析の基本的な考え方(相関関係と因果関係の違いなど)を理解します。

なぜこの順番でここに置いているか

確率・統計はビジネスの意思決定に直結する分野として、近年のITパスポート試験で出題が増えています。平均と中央値の違いや、標準偏差が表す意味を、実際に手を動かして計算できるようにしておくと得点しやすくなります。

確率と期待値の基本

確率や期待値は、保険料の設定やキャンペーンの当選確率など、ビジネスの意思決定でリスクを数値化するときに使われる考え方です。確率とは、ある事象(出来事)が起こる可能性の大きさを、0から1までの数値で表したものです。確率が0であれば「絶対に起こらない」ことを、確率が1であれば「必ず起こる」ことを意味します。パーセントで表す場合は、0%から100%の範囲になります。基本の計算式は「求めたい事象が起こる場合の数 ÷ 起こり得るすべての場合の数」です。

確率と混同しやすいのが期待値です。確率が「1回の試行でその事象が起こる可能性」を表すのに対し、期待値は「試行を何度も繰り返したときに、平均してどのくらいの結果が得られるか」を表す値です。この違いを押さえておくと、計算問題で何を求めているのかが見えやすくなります。

実際に計算してみましょう。1から6までの目があるサイコロを1回振ったとき、偶数の目(2、4、6)が出る確率は、起こり得る6通りのうち3通りなので3÷6=0.5、つまり50%です。次に期待値の例です。くじ引きで「当たり(賞金1000円)が出る確率10%、外れ(賞金0円)が出る確率90%」であれば、期待値は1000円×0.1+0円×0.9=100円と計算します。これは「このくじを1回引くと、平均して100円分の価値がある」という意味になります。

確率の計算は、複数の事象を組み合わせて考える問題も出題されます。AとBが互いに影響しない(独立している)場合、「AとBが両方とも起こる確率」は、それぞれの確率を掛け合わせて求めます。例えばコインを2回投げて、両方とも表が出る確率を考えると、1回目に表が出る確率は0.5、2回目に表が出る確率も0.5なので、両方とも表が出る確率は0.5×0.5=0.25、つまり25%になります。この「掛け合わせる」という考え方は、複数の条件が同時に成立する確率を求めるときによく使われます。

確率を求めるには、起こり得る場合の数を正しく数える力も必要です。ここで使われる考え方が順列組合せです。順列は「並べる順番まで区別して数える」場合の数で、例えば3人から2人を選んで1位・2位を決める並べ方は3×2=6通りです。組合せは「順番を区別せず、選ぶ組み合わせだけを数える」場合の数で、3人から2人を選ぶだけなら3通りになります。順番を考えるかどうかで数え方が変わる点が、この二つを見分けるポイントです。

代表値のちがい(平均値・中央値・標準偏差)

会社の平均年収や平均点を報告するとき、一部の極端な数字に引っ張られて実態と違う印象を与えてしまうことがあります。この問題を避けるために、データの特徴を一つの数値で表す代表値を正しく使い分ける必要があります。代表的なものが平均値中央値です。

平均値はすべてのデータを合計し、データの個数で割った値です。中央値はデータを小さい順に並べたときにちょうど真ん中に来る値です。違いは、平均値が極端な値(外れ値)の影響を受けやすいのに対し、中央値は受けにくい点です。

実際に計算してみます。5人の年収(単位:万円)が「300、320、340、360、2000」だったとき、平均値は(300+320+340+360+2000)÷5=664万円です。しかしこの664万円は、5人のうち誰の年収とも大きく異なる数字になっています。2000万円という外れ値に引っ張られているためです。小さい順に並べて真ん中(3番目)を取る中央値は340万円で、こちらの方が多くの人の実感に近い代表値だといえます。

もう一つ重要な指標が標準偏差です。これは、データが平均値からどのくらいばらついているかを示す値で、小さいほどデータは平均の近くに集まり、大きいほどばらつきが大きいことを意味します。平均点が同じ70点の二つのテストでも、標準偏差が小さい方は多くの人が70点前後に集まり、大きい方は高得点者と低得点者に大きく分かれている、と解釈できます。

データの散らばり具合を見るときには、度数分布表ヒストグラム(度数分布を棒グラフの形で表した図)もよく使われます。ヒストグラムを見れば、どの点数帯に人数が集中しているか、平均値の周りにどれくらいデータが集まっているかが一目で分かります。また、テストの点数を「平均を基準にどれくらい離れているか」で表し直した値を偏差値と呼びます。偏差値は、異なるテストどうしの成績を比較するときに使われる考え方で、平均点が異なるテストでも同じ基準で位置づけを比較できるという利点があります。平均値・中央値・標準偏差はどれも単独ではなく、組み合わせて使うことでデータの全体像が正確に見えてきます。

平均値と中央値、外れ値の影響

相関関係とデータ分析

売上や顧客データを分析するとき、「二つの数字がどれくらい関係しているか」を見る場面がよくあります。この関係の強さを表す考え方が相関関係です。相関関係とは、一方が増えるともう一方も増える(または減る)といった関係が二つの変数(データの項目)の間に見られることを指し、散布図(横軸と縦軸に2つの数値をプロットした図)で視覚的に確認できます。相関の強さは相関係数という数値で表され、-1から1までの範囲を取ります。1に近いほど正の相関が強く、-1に近いほど負の相関が強く、0に近いほど二つの変数の関係が薄いことを示します。

ここで注意したいのが、相関関係因果関係は別ものだという点です。相関関係は「二つの数字が一緒に動く」という事実だけを示し、因果関係は「一方がもう一方の原因になっている」ことを示します。相関があっても、必ずしも因果があるとは限りません。よく使われる例が「アイスクリームの売上」と「水難事故の件数」で、両者には正の相関が見られますが、アイスクリームが売れたことが事故の原因になっているわけではありません。実際には「気温が高い」という共通の要因が両方を押し上げていると考えられ、このように相関の裏に隠れた共通の要因を交絡因子と呼びます。データ分析の結果を意思決定に活かすときは、相関があるという事実だけで結論を急がず、背景にある要因まで確認する姿勢が大切です。

データ分析の実務では、相関関係をさらに一歩進めて、一方の値からもう一方の値を予測する回帰分析という手法もよく使われます。予測の元になる変数を説明変数、予測したい変数を目的変数と呼びます。例えば「広告費(説明変数)から売上(目的変数)を予測する」といった使い方です。ただし回帰分析も、相関関係を数式にしたものである以上、因果関係を保証するものではありません。

こうした分析の元になるデータを集めるときは、対象全体(母集団)からすべてを調べる全数調査が難しい場合、一部を取り出して調べる標本抽出(サンプリング)が行われます。標本の選び方に偏りがあると、分析結果自体がゆがんでしまうため、集め方にも注意が必要です。数字の裏にある業務の実態を確認しながら分析結果を読み解く姿勢は、確率・統計を学ぶうえで一貫して大切な視点です。

散布図で見る相関の強さ

この単元の確認問題

答えを見る前に、まず自分の言葉で答えてみてください。言葉にできないところが、そのまま本試験で止まるところです。

Q. 1から6までの目があるサイコロを1回振ったとき、偶数の目が出る確率はいくつですか。

A. 0.5(50%)です。

偶数の目である2・4・6の3通りを、起こり得るすべての場合の数である6通りで割ると、3÷6=0.5になるためです。

Q. 5人の年収(万円)が「300、320、340、360、2000」のとき、中央値はいくらですか。

A. 340万円です。

データを小さい順に並べたとき、5人のちょうど真ん中(3番目)にあたる値が340万円だからです。極端に大きい2000万円の影響を受けにくいのが中央値の特徴です。

Q. 二つの変数の間に相関関係が見られたとき、それは必ず一方が他方の原因になっていることを意味しますか。

A. いいえ、意味しません。相関関係があっても因果関係があるとは限りません。

見かけ上の相関の裏に、両者に共通する別の要因(交絡因子)が隠れている場合があり、相関と因果は区別して考える必要があるためです。

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確率・統計とデータ分析は、読んで分かることと、本番で点になることが別です。点にするための材料はこちらにまとめてあります。

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